絶景の桜を見に行く、春ならではの鉄道旅行

SL列車

家山の桜トンネル付近を走るSL列車

蒸気機関車(SL)保存運転の老舗大井川鐵道は、4両もの機関車を保有し、冬季以外は、ほぼ毎日SL列車を運転している。沿線は四季を通じて魅力あるエリアで、とくに春は桜が咲き誇り人気がある。とりわけ家山駅周辺は桜の名所として有名なので、今回は桜とSL列車を中心にレポートしてみたい。


大井川鐵道とは?

元南海電鉄の車両

大井川鐵道は電車も珍品揃い。これは元南海電鉄の車両


大井川鐵道は、静岡県のやや西寄り、JR東海道本線に隣接した金谷駅から大井川に沿って北上し千頭(せんず)に至る大井川本線と、千頭から南アルプスに分け入って井川まで延びる井川線の2つの路線を運営する鉄道会社である。2つの路線は線路幅こそ1067mmとJR在来線と同じだが、井川線の車両限界が小さいため直通運転はできない。
元近鉄の特急電車

こちらは元近鉄の特急電車


大井川本線は、金谷駅から本社のある新金谷、家山、川根温泉笹間渡、田野口を経て千頭に至る39.5kmの路線である。全線電化され、金谷から千頭までの所要時間は各駅停車の電車で1時間15分程だ。


SL動態保存の老舗

C11形227号機

1976年から活躍を続けるC11形227号機


大井川鐵道の名を高めたのはSL保存運転で、大井川本線で本格的に運行を始めたのは1976(昭和51)年夏、旧国鉄のSL牽引定期旅客列車の最終運行(1975年12月14日、室蘭本線室蘭~岩見沢)から半年後のことだった。旧国鉄で最初の定期的動態保存列車である「SLやまぐち号」が運転を開始したのは1979年8月のことだったから、それに先立つこと3年、軽便鉄道用の小型SL以外では日本初の快挙となった。
C56形44号機

C56形44号機は第2次大戦中にタイに送られ、1979年に帰国した


旧国鉄から譲り受けたC11形蒸気機関車227号機が旧型客車3両を牽引するSL急行「かわね路号」としてデビュー。その後、蒸気機関車はC11形190号機、C11形312号機、C12形164号機、C56形44号機、C10形8号機と増え続けたが、老朽化や諸般の事情により休車中の機関車があり、現在動態保存されているのは、C11形227号機、190号機、C10形8号機、C56形44号機の4両となっている。
旧型客車

新金谷駅にたむろする旧型客車


SLが牽引する客車は、旧型客車が18両あるほか、電車を改造した展望車とお座敷客車を保有している。また、JR北海道から冷房付き自動ドアの14系客車を4両譲り受けたが、まだ運行されていない。

なお、SL列車は、すべて新金谷~千頭の運転となっていて、東海道本線に隣接した金谷駅と新金谷駅の間は電車で移動する(所要時間4分、運賃150円)


大井川鐵道の車窓から

大井川本線・金谷駅を発車すると、しばらく東海道本線に並走したあと、大きく左にカーブする。その後、列車は大井川に沿って北上を続ける。
新金谷駅にある転車台

新金谷駅にある転車台(ターンテーブル)


新金谷駅は大井川鐵道の拠点駅で車両基地が併設されている。SL列車は、この駅から千頭へ向けて発車する。SLの方向転換をする転車台(ターンテーブル)もあり、外からの見学が可能だ。

家山駅周辺で桜が咲く時期には、大井川鐵道のSL列車は3往復する(上りの最初の列車は回送扱い)。乗ってしまえばSL列車の走行シーンは撮影できないけれど、3本も走るので、最初のSL列車に乗って家山まで行くことにした。通常のSL列車は「かわね路号」という愛称がついているけれど、この列車は千頭まで行かず家山駅で折り返すので「さくら号」と命名されている。機関車にも「さくら」というヘッドマークが付いていた。
入換作業中のSL

新金谷駅で入換作業中のSL


新金谷駅のホームには客車がすでに横付けされていて、まもなく車両基地からSLが登場。一旦ホームの脇をすり抜けて千頭方面まで進んで本線に転線し、バックして客車に連結された。

車内は平日のためか空いていた。おそらく後の列車の方が混むのであろう。4人向かい合わせのボックス席を独り占めし、車窓に見入る。まもなく右手に大井川が現われ、以後ほぼ川に沿って進む。

次第に山深くなり、神尾駅を通過する。右手に大井川が望めるが、ここでは左手の線路際に注目したい。何と信楽焼のたぬきが何匹も列車を見送っているのだ。「たぬき村」というそうで沿線の名物のひとつである。
車窓から見えた桜

SL列車の車窓から見えた桜


線路際には桜が咲き乱れており、目を楽しませてくれる。トンネルを抜け、茶畑の脇を走り、やがて右手に桜並木が見えてくると、大井川の支流である家山川橋梁を渡ると家山駅に到着する。

桜の名所、家山の桜トンネル

家山駅に到着したSL列車

家山駅に到着したSL列車


家山駅周辺は、静岡県内でも有数の桜の名所として知られており、例年3月下旬から4月上旬にかけてが見頃と言われている。これにあわせて「かわね桜まつり」が開催される。大井川鐵道もSL臨時列車を増発。

2018年は、定期のSL「かわね路号」に加えて、「さくら13号」(新金谷発10:38、家山着11:06)、「さくら15号」(新金谷発12:10、家山着12:38)、「さくら14号」(家山発14:59、新金谷着15:27)の下り2本、上り1本が3月24日から4月8日までの毎日運転される。下りは、新金谷と家山の間で3本ものSL列車が走る予定である。

家山駅付近の大井川鐵道の線路際は、大井川寄りの土手を中心に桜並木となっている。また、家山川を渡ると、線路に並走する国道473号線沿いの桜トンネル、線路からは離れるけれど家山川沿いの緑地公園などが人気スポットだ。
SL列車

家山川橋梁に差し掛かったSL列車


SL列車の撮影スポットとしては、家山駅から金谷方面へ10分程戻ったところにある家山川橋梁が場所も広く撮りやすい。
家山の桜トンネル

家山の桜トンネル付近を走るSL列車


鉄橋に並行する国道で家山川を渡ると、桜トンネルがあるけれど、人が多く中々撮りづらい。家山駅から千頭方面へ少し歩くと県道が立体交差で大井川鐵道と大井川を跨ぐ駿遠橋がある。そこから俯瞰して列車も撮れるけれど、大井川鐵道は電化路線なので、架線や架線柱がかなり目障りである。
駿遠橋から

家山駅の北側にある駿遠橋から


あとは、各自で歩いて好みのスポットを見つけてもらいたい。くれぐれも踏切ではない場所で線路を横切ったり、線路に近づきすぎないよう注意したい。

大井川本線のその先の沿線はどうなっている?

また、今回は、絶景の桜トンネルを見ることを目的としたため家山駅で下車したが、この先の沿線を簡単に紹介しておこう。
大井川を渡るSL列車

大井川第1橋梁を渡るSL列車(川根温泉付近から撮影)


家山を出て、茶畑の中を走ると初めて大井川を渡る。川を渡りきった右手には川根温泉があり、露天風呂から大勢の人がSL列車に向かって手を振ってくれる。

ここからしばらくの間、大井川は左手に見える。地名(じな)には短いトンネルがあるけれど、山はなくコンクリートのトンネルだけという不思議な構造物だ。塩郷には線路と大井川を跨ぐ吊り橋があり名物となっている。

さらに進み、しだれ桜で有名な駿河徳山を過ぎ、大井川を3回渡ると終点の千頭に到着する。

千頭駅構内には転車台をはじめ、保存中のSLや各種鉄道車両が置いてあるので、それらを観察して金谷へ戻るもよし、井川線に乗り換えてトロッコ列車の旅を楽しむもよし、あるいはバスに乗り換えて名湯寸又峡温泉を目指すのも定番コースだ。



大井川鐵道までのアクセス、料金、区間などデータ

■鉄道利用
<首都圏や名古屋、関西方面から>
東海道新幹線で静岡、もしくは掛川へ行き、在来線(東海道本線)に乗り換え金谷へ。
東海道本線の金谷駅

鉄道利用の場合は東海道本線の金谷駅で大井川鐵道に乗り換える


<東京駅発>
東海道新幹線「ひかり」で静岡乗り換え、1時間50分ほど。「こだま」2時間15分ほど。静岡~金谷 普通電車で約30分。ラッシュ時以外は20分毎。島田行きは金谷の一つ手前の駅止まりなので後続電車に乗り換えなければならない。

<新大阪発>
「ひかり」で浜松へ。在来線乗り換え 浜松~金谷(40分程)
「のぞみ」で名古屋へ、「こだま」に乗り換えて掛川へ。
掛川~金谷 普通電車で約15分。ラッシュ時以外は1時間に3本。ほぼ20分に1本。いずれも2時間20分前後。

■車利用
新東名「島田金谷IC」から国道473号線を南へ10分ほどで新金谷駅。新金谷駅に駐車場あり。駐車料金マイカー1日800円、2日間1500円、先着順

■大井川鐵道の運賃など
金谷~千頭 運賃=1810円
金谷~家山 運賃=820円
新金谷~家山 運賃=680円
SL急行料金=大人 800円、子供 400円
*期間限定運転のトーマス号料金=大人 1280円、子供 640円

大井川本線フリーきっぷ=大人3440円、子供1720円(2日間有効)
*SL料金は別払い

大井川鐵道公式サイト


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