中長期的に継続した成長が期待できるグローバルニッチトップ

浜松ホトニクス<6965>は光電子部品のリーディングカンパニー。光電子増倍管では世界シェア約90%を誇るほか光半導体においても圧倒的な市場ポジションを構築しています。

浜松ホトニクス<6965>は光電子部品のリーディングカンパニー。光電子増倍管では世界シェア約90%を誇るほか光半導体においても圧倒的な市場ポジションを構築しています。

浜松ホトニクス<6965>は、「光」にまつわる電子部品や電子機器の研究開発・製造・販売を行う電子部品メーカー。光関連部品を主力とする売上高1300億円規模の中堅企業ですが、「光」にまつわる研究と製品で世界に誇れる技術を有す、知られざるグローバルニッチトップです。

真空管を使う「光電子増倍管」と、半導体を使う「光半導体素子」の2種からなる光センサを主力とし、半導体レーザーやフォトダイオードなども展開します。光電子増倍管では世界シェア90%超えとほぼ市場を独占。半導体レーザーやフォトダイオードなどでも圧倒的ポジションを築いています。同社の光技術は様々な業界で使われており、時代の最先端を担っています。

2017/9期における業界別売上高構成比は、医用機器が37.4%、産業機器が27.7%、分析機器が122%、計測機器が5.1%、学術が5.5%、その他が12.1%。

売上の半分を医療業界向け売上が占める売上構造が長く続いてきましたが、ここ数年で自動車向けが急増しています。欧州や米国の自動車メーカー向けに車載用フォトICが伸びているほか、車内の光通信用フォトIC、防眩ミラー用フォトICなどはグローバル規模でシェアを拡大しています。ちなみに自動車はその他事業に含まれており、まだ成長初期段階ということになります。自動車は電装化が著しく進展している分野であることから、今後売上比率を拡大させていくと思います。

4つのノーベル賞受賞研究に貢献した世界オンリーワン技術

同社の創業は1953年。テレビ関連の真空管・CRT製造を手掛ける「浜松テレビ」として出発しました。その後、テレビ開発だけではなく、光電子(Photo-Electronics)技術の“究極”を目指す方針に転換。「人類未知未踏の追求」を経営理念に、真空管製造における高度なガラス加工技術を応用した技術開発に没頭。そうして開発に成功した代表的製品が「光電子増倍管」です。

光電子増倍管は、医用機器から産業用途、学術向けや自動車など様々な業界で使われており、世界シェア90%超えと、市場をほぼ独占しています。

それもそのはず、同社の光電子増倍管の光電変換効率は量産品で世界トップの評価を得ています。また、同社だけが持つ技術で同社だけが製造できる製品を開発しており、世界オンリーワンのポジションをものにしています。

例えば、50cm径の大型光電子増倍管。ニュートリノの観測装置「スーパーカミオカンデ」に11,200本使われたものです。大型光電子増倍管の製造では光電変換膜というアルカリ金属を蒸着する工程が非常に難しいとされ、他社は真似できません。

同社は学術向け技術提供も活発で“ノーベル賞学者御用達企業”とも称されるほどです。実際、スーパーカミオカンデのほか、「神の粒子」と呼ばれる「ヒッグス粒子」の発見や、つくば市高エネルギー加速器研究機構(KEK)の実験にも関わっており、4つのノーベル賞受賞研究に貢献しています。

〔同社の創成期である1960年代には同社の計測技術はあのNASAよりも進んでいると言われていました。NASAですらロケットの軌道追尾に連続写真フィルムを使っていた時代に、画期的な「ロケット追尾用XYトラッカー」の開発に成功するなど、最先端技術の開発を支えてきたのです〕

研究開発型の製造業としては突出の高利益体質

同社は研究開発型企業でありながら、営業利益率が約17%と、製造業としては突出した高利益体質を維持しています。このような高利益体質を維持できる理由は2つあります。

まず、高付加価値製品を提供していること。同社のような中堅企業が市場で生き残っていくためは、大手の資金力と大勢の人員を要するビジネス展開ができない事から、圧倒的な競争力をもつ製品や技術を開発するしかないのです。差別化された製品は汎用品と違って低価格競争に巻き込まれにくく、メーカーからの買取価格が高くなる傾向があります。同社が医用機器向けで売り上げを伸ばしてきたのは、高品質・高機能を求められる分野だからです。敢えてしんどい方で勝負してきたのです。
結果的に高品質・高付加価値製品を生み出すことになり、同社はニッチトップを取っています。

2つめが、部門採算性の採用です。部門長は製品の設計、製造、販売までの経費などをすべて管理し、毎月報告しています。例えば、生産現場において、何人の作業員で、どんな作業をして、どれだけの時間を掛けていくつ製造したのか、それに一日いくらかかったか、などかなり細かく管理しています。一方、部門長は設備投資や開発に関してある程度の裁量権を持つため、不採算製品を最小限に抑えることができ、かつ機動的な開発・製造を可能としているのです。

足元の業績では医用機器向けが伸びていることで製品ミックスが改善し、粗利益率が向上。部門採算性によって余計なコストが削られることで販管費は減少し、営業利益率が上昇しているようです。

足下の販売状況は総じて好調

光電子増倍管やイメージ機器・光源を展開する電子管事業においては医用向け、産業機器向けが好調に推移し、また光半導体事業も、歯科医用や産業向けにフラットパネルが伸びたほか、産業用ロボットの制御などに使うシリコンフォトダイオードや半導体製造・検査装置向けのイメージセンサが大きく売り上げを伸ばしました。

利益面に注目です。売上高原価率は51.0%→48.5%に低下し、粗利益率は49.0%→51.5%に改善。同社では付加価値の高い製品が主要製品となっていますが、医用向けを中心に高採算製品が好調であることが利益率を改善させています。

また販売管理費率も34.7%→33.5%に低下し営業利益率14.3%→18.0%に大幅改善しています。減価償却費の計上や収益基盤拡大を睨んだ人員増強のための人件費増をこなしながら利益を改善しており、好印象です。

なお、経常利益の伸び率が営業利益よりも鈍いのは前年に計上のあった為替差益が3億7000万円から7000万円に減ったことが主な要因です。また純利益の伸び率が低いのは、ここから今期に厚生年金基金解散損失引当金繰入額を特別損失に計上しているためで、心配いりません。

世界有数の技術力をより活用し、需要を取り込むべく投資増強

同社は設備投資に積極的で、ここ数年工場の新増設を加速しています。今期2018/9期は、過去最大級に設備投資額が大きくなる計画となっています。設備投資関係で注目されるのは、赤外光市場の拡大を見据えた受発光素子の生産増強投資です。

赤外光は、食品検査や医療用ガスモニタ、車載向け生体認証や防災検知、産業用レーザ加工など、その用途は広きに渡り、需要拡大が見込まれます。急速な市場拡大が期待される応用分野が、車載LiDAR(Light Detection And Ranging)。赤外光を用いた先進運転支援システムや自動運転システム向けの物体検知システムで、将来的に需要が拡大すると見込まれています。

そして、ここからがポイントです。市場拡大が見込まれる赤外光応用市場においては、受発光素子の性能をその用途に合わせて最適化しなければなりません。この点、同社は受光も発光も両方を手掛けることから、用途に合った素子を開発・製造することができます。受光素子と発光素子の両方を手掛けているのは世界に数社しか存在せず、これはかなりの競争力です。

同社はこうした強みを活かしながら、複数拠点で化合物半導体素子の製造を行ってきたのですが、最近、市場拡大を見据え生産能力の増強や生産性の向上に注力しています。昨年11月には都田製作所内に43億円を投じた第3棟が完成しました。この新棟では、これまで事業部別に運営していた前工程が共通化され、生産管理やノウハウが共有されることとなり、事業横断的なノウハウ・技術活用が進められました。集約された効果として稼働率や設備投資効率の向上が見込まれます。さら同社は自動化を進めたことから生産効率が一層上がり、全社の生産能力は2インチウエハ換算で月産1,000枚から月産2,000枚に大幅増強されました。

稼働予定は4月で、それから順次移行作業などの準備に取り掛かり、生産開始は2020年と計画されています。同社では10年間、年率9%で成長すると予測しており、まだ先の話ではありますが、今後の動向が注目されます。

また、光半導体素子の後工程(組立・検査)においても生産能力を増強。約28億円を掛け、月産600万個の工場を建設しました。すでに稼働しており、X線非破壊検査装置、自動車、産業機器などに向けた受発光素子の増産に対応しています。

その他、半導体検査装置用光源の開発・製造・販売を手掛けるエナジティックテクノロジー社を5300万ドルで買収しました。この企業は、極紫外線光源というより短い波長の光源を世界で唯一製品化しており、買収効果として、光源製品のラインナップ拡充、そして同社の光源とのシナジー効果が期待されます。

需要拡大を見据え、盤石の財務基盤をベースとした設備投資増強を評価

業績は、事業拡大を見据えた設備投資や人員増による人件費など販管費の増加が見込まれるものの、売上の伸びは順調であり、事業は総じて好調に推移しています。

事業規模拡大に向けた設備投資を積極化していますが、下記のような盤石な財務基盤に加え、需要拡大を背景とした営業キャッシュフローも好推移していることから財務的な影響はないと思います。

18/9期第1四半期末(17/12月末)の財務内容は、自己資本比率が78.4%、有利子負債が90億6500万円。およそ692億円の現金等を考慮すると実質無借金経営です。総資産の約3割を現金等が構成するキャッシュポジションの厚い盤石な財務基盤となっています。

17/9期実績ROEは10.0%。四季報では18/9期予想ROEを9.4%としています。事業の好調による利益増と、また自社株買いも実施していることから、ROEについてはさらなる改善が期待できると思います。

参考:日本株通信

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