乗用車と違って、キャンピングカーは複数台比較が難しい。比べるならキャンピングカーショーに行こう!
車を買うとなったら、新車にせよ中古車にせよ、ディーラーに行くのが普通だろう。都市部ならば、ちょっと思い浮かべるだけでも国産車・輸入車、いくつものショールームがある。1日で数軒まわって見比べるのも簡単だ。ところがキャンピングカーはそうはいかない。トヨタや日産の車がベースになっていても、残念ながらメーカーのディーラーでは売られていない(ごく一部例外はある)。キャンピングカーはキャンピングカー専門店で、ということになるのだが、これまた全国に約170軒(2016年12月現在)と、圧倒的に軒数は少ない。1日で複数を見比べるのはいささか無理がある。
高価な買い物だし、一般の車以上に「チェックすべき点」は数多い。雑誌広告やカタログ、ビルダーのサイトに基本的なデータはあるものの、装備の使い勝手やサイズ感は見て確かめないとわからないことも多い。あれこれ比較して選びたいのは当然だが、ではどうしたら見比べられるのか? そんなときは是非、キャンピングカーショーに足を運んでみて欲しい。
ショーはいつ?どこで?何ができる?
キャンピングカーショーは全国各地で開催されている。日本RV協会主催の大規模なものは東名阪九州で開催。幕張メッセや東京ビッグサイト、インテックス大阪など大きな会場に全国のビルダーが集結するので、ありとあらゆる商品を同時に見比べることができる。大規模なショーのほかにも、数社のビルダーや販売店が合同で開催する小規模なショーも、ほぼ毎月どこかで行われている。会場はビルダーや販売店の展示場だったり、中小規模の展示スペースだったりと多彩だ。
規模の大小にかかわらず、ショーでは一体、何ができるのか。もちろん、見ることができる。触って確かめる、ビルダーの説明を聞く、ショーによっては試乗ができる場合もある。また、普通車のモーターショーとちがって、その場で見積もりを作ってもらうことも、何なら契約することだってできるのだ。
キャンピングカーショーの楽しみ方
慣れない人が初めてショー会場に足を踏み入れたら、まず当惑するかもしれない。見渡す限り並んでいるのは、トラックやバン。確かにキャンピングカーなのはわかるが、見た目があまり変わらない。慣れない人の目には、累々とハイエースやキャラバン、2tトラックが並んでいるようにしか見えないだろう。だが、ここは住宅展示場なのだと思えば、見方も少し変わって来るだろう。同じハイエースが並んでいても、車内のレイアウトはまったく違う。キャンピングカーのレイアウトとは住宅の間取りと同じ。ベッドは? キッチンは? 収納はどこに……? など、使う目線で見始めれば、かなり違うことがわかってくるはずだ。
では具体的に、どんなことをチェックしたらいいのか。まとめてみよう。
実際に○○してみる
内外観のデザインももちろん大事だが、キャンピングカーの肝は何といっても室内空間。実際の使い勝手が最重要ポイントだ。もちろん、使って見なければわからないことも多い。が、ショーの会場である程度確かめられることもある。・リビングスペースをチェックする
4人が座れますといっても、車種によって大きさもさまざまだ。実際に座ってみて充分なスペースがあるだろうか。テーブルの大きさは?高さは?座り心地は?などを確かめてみよう。
・ベッドをチェックする
ベッドはキャンピングカーの要。ベッドメイクの手順は必ず確認しよう。できれば実際にベッド状態にする(展開する)ところを見せてもらおう。状況が許すなら、教わりながら自分でやってみるのがおすすめだ。
・ポップアップルーフを持ち上げてみる
屋根がせり上がってスペースを作るポップアップルーフも、上げる・下げるの動作の重さなどを確認したい。女性一人でもできそうか。持ち上げた状態でどの程度の高さになるのか。室内の広さは?など体感してみたい。
・動線はどうだろう?
展示車には一切荷物が載っていないが、実際には着替えや寝具など様々な荷物が積み込まれることになる。移動中、荷物はどこに?食事中や就寝中(ベッド展開した状態)では、荷物や乗員はどこにいる? 車内で暮らす間、人がどこにいて、動きたい時邪魔になる物はないか?などなど。車内で座って見て、立ってみて、あらゆるシーンを想像してみよう。
もちろん、実際に使ってみないと想像しきれない部分もあるだろうが、可能な限りいろいろなシチュエーションを思い描いて、いろいろな機能をチェックしていこう。
その荷物、全部乗りますか?
前の項目でも少し触れたが、展示されている車には着替えも食料も遊び道具も載せられていない。実際使うときには様々な荷物が乗るはずだ。普通の車なら積めればそれでいいのかもしれないが、キャンピングカーはその中で「暮らす」必要がある。キャンピングカーのベッドは「寝台」なので、上にかける寝具は用意しなければならない。寝袋を使うのか? 毛布は? 布団は? 枕は? それだけでも結構な体積になることは想像つくだろう。
子連れやファミリーなら遊び道具のことも考えよう。出かけるときはきれいだったおもちゃやボールも、一日思い切り遊んだら、泥だらけになることだってある。さて、その泥だらけのおもちゃをどこに載せる?
ペット連れならペット用品。アレルギーのある人だったらある程度の食糧も持参したいかもしれない。家ごと移動して旅をするなら、何を持っていきたいか、それをどこに収納したらいいのかイメージしながら車を見てみよう。
時間帯や天気を考える
ショー会場は照明で照らし出されているし、室内も見やすいようにライトアップされていたりする。屋内会場なら外が雨でも雪でも関係ないし、会場の空調が利いていれば暑さ寒さも気にならないかもしれない。だが、キャンピングカーを使う場面は、そうはいかない。ただ眺めているだけのショーとちがって、そこで生活するのだ。ベッド展開をする間、荷物はどこへ?自分や家族は室内にいたままで展開できるのか?温暖な季節で晴れていればいいかもしれないが、雨だったら、寒い季節だったら…家族は外でベッド展開が終わるまで待たせておくのか、荷物だって外に出すのか。そして、そうした作業をするのは大抵が夜で体はクタクタだったりもする。また、冬の旅だったら、室内はどのぐらい温かいのか? 夏はどうだろう…。
なかなか想像しにくいかもしれないが、昼と夜、夏と冬、雨と晴天…あれこれイメージしてみるのがおすすめだ。
会場へは脱ぎ履きしやすい・慣れた靴で
ショー会場はとにかく広い。東京ビッグサイトや幕張メッセのホール3,4個分を使って展示されている。なので、あちこち見て歩くとなれば結構な距離を歩くことを覚悟しよう。そのためにも、歩きやすい、履きなれた靴で出かけるのが賢明だ。また、キャンピングカーは車でなくて家。展示車両は基本的に土足厳禁なので、脱ぎ履きしやすい事も大切なポイントだ。
お子さん連れは迷子に注意!
大規模なショーになるほど、迷子のトラブルは多い。親が夢中になって車を見ている間にはぐれてしまうケースも少なくない。また、子どもだけで車内に入ってしまうと、親がどんなに探しても見つからない場合もある。キャンピングカーショーでは「子どもだけで展示車両には入らない」のが基本的なマナーだ。キャンピングカーの中は子どもにとっては面白い設備だらけ。バンクベッドは秘密基地みたいだし、ソファで飛び跳ねたり収納スペースにもぐりこんだり、それはもう、ワクワクすることだらけだ。だが、車内には便利に使えるような「仕掛け」も数多い。うっかりするとケガをしたり、装備を破損してしまうことだってある。
迷子、ケガ、破損、落としものを防ぐためにも、「子どもだけで車両に入らせない」「子どもから目を離さない」「抱っこ、おんぶの際には落とし物に注意(靴やおもちゃの落とし物が多い)」。大きな会場では授乳室があったり、子ども向けのステージプログラムを用意していることもあるので、会場設備をあらかじめ確認して無理なく楽しめるようにしよう。
メジャー、カメラ、メモの「三種の神器」を忘れずに
メジャー、カメラ、メモはキャンピングカーショー三種の神器だ。沢山の車を一度に見ると、混乱してきてしまう。気になった車両はパンフレットをもらって、メモや記録はきっちりと。天井までの高さ、ベッドの幅、シンクの大きさなど、細かいことが快適さ加減を左右する。やみくもに写真を撮っても、後から「どこの・なんていう車だったっけ?」とわからなくなっては意味がない。できればパンフレットを一緒に写すなどの工夫をしよう。飲食物を持ち込まない
展示車は基本的に「商品」だ。場合によってはすでに売約済みで、ショー終了後そのまま納車予定、なんてこともある。ショー会場にはフードコートや自販機もあるが、飲食は指定された場所で。飲み物を持ち歩くときは、確実にフタのできるものにしよう。万一こぼしたり、商品を汚してしまっては大変! 会場内はもちろん、車内に飲食物はもちこまないようにしよう。今年も2月2日(金)から4日(日)まで「ジャパンキャンピングカーショー2018」が千葉県の幕張メッセで開催される。このショーは全国のビルダーが一堂に会し、約300台が展示される日本最大級規模のもの。この日を楽しみにしている愛好者も多い。また、このショーを皮切りに春のショーシーズンの幕開けでもある。
詳細は日本RV協会のイベント情報サイトJRVAイベントドットコムをチェックしてみよう。