スポーティさとラグジュアリー性とを併せ持つSUVに
ヨーロッパ市場では、今、コンパクト&ミッドサイズのプレミアムSUVカテゴリーが爆発的な人気を博している。両マーケットともに前年比+25%前後のセールスを記録中で、新規参入もいまだ見受けられ、今後もしばらくは成長が続く見通しだ。今、欧州で最も売れているミッドサイズ・プレミアムSUVは、メルセデス・ベンツGLCクラスだ。2017年に入ってからは、なんと月に1万台ペースで売れた。二位が、今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれたボルボXC60。そして三位に入ったのが、2017年に二代目がデビューしたばかりのアウディQ5、である。
M・ベンツGLCクラスが、Cクラスのプラットフォームを活用したSUVであるのと同様、アウディQ5もまた、A4と同じ“MLBエボ”プラットフォームを使用する。BMWでいえば、X3と3シリーズの関係の同じ。つまり、ミッドサイズ・プレミアムとは、欧州Dセグメント相当ということになる。
ボディサイズは全長4680mm×全幅1900mm×全高1665mm、ホイールベース2825mm。先代モデルより全長50mm、ホイールベース15mm長く、全幅5mm高くなっている。また、モジュラープラットフォームのMLB evoを採用、軽量化も図られ60kg軽くなっている
ベーシックモデルでも十二分に魅力を味わえる
クワトロ(4WD)システムも改良され、従来はトルクを60%がリアに40%をフロントに振り分けていたものを、さらに効率化。負荷が小さい時にはFFで走行、各種センサーで走行状況を“先読み”してトラクションが必要になる直前に4WDへと切り替えてくれる
現時点では、2.0TFSIクワトロと、新開発の3.0V6TFSIを積むSQ5クワトロの2グレード展開で、もちろん後者のほうが全てに渡って上質かつ高性能なわけだけれども、2.0TFSIクワトロのベースグレードであっても、Q5の基本的な魅力を十二分に味わうことができると言っていい。
2.0TFSIクワトロにオプションのラグジュアリーパッケージを選択するとレザーシートが装着される(通常はステップクロス)。このパッケージにはアダプティブエアサスペンションとアンビエントライトが付き、37万円で用意される
“アウディテイスト”も濃厚
アウディのSUVというと、今ではQ2やQ3といった、比較的手頃な価格で狙えるできのよい妹分のモデルもある。いずれも昨今、ミッドサイズ以上に人気のコンパクトプレミアムクラスに属していて、なにもQ5など狙わなくても、同じような見映えのモデルがもっと安く買えると思う方も多いことだろう。もちろん、そういう考え方はあっていいし、世界的に見ても、Q2やQ3の人気は高い。けれども、その一方で、Q3とQ5との間には、大きさや価格以外にも、決定的な違いがある。それは、“アウディらしい走りのテイスト”の濃淡だ。正直に言って、Q3以下は、デザイン重視であり、軽快に走るものの、アウディらしいアシのしなやかさや安定感、手応えに関していうと“薄味”である。
比べてQ5は、さすがに大黒柱というべきA4と同じコンセプトで成立しているため、そのライドフィールはずっと濃厚だ。走り出した瞬間、もしくはハンドルを切り始めた瞬間といった、ごく微小領域における手応えや腰応えに奥深さがある。長距離移動のラクさもずっと上。疲れ知らずだ。普段乗りに使って、しみじみと“良いクルマだな”と思わせるだけの懐の深さもある。これらは全て、4以上の数字をその名に持つアウディモデルでしか味わえないテイストなのだ。
高いモデルには高いだけの理由がある。その差をしっかりと見極められる人なら、Q5を選んだほうが、毎日がいっそうシアワセになると思う。