ストレスマネジメント/セルフケア(個人のためのストレス基礎知識)

仕事がうまくいかない時に!理想に近づく認知行動療法

「こうだったらいいな」と願う理想と現実とにギャップがありつらい……、ということはありませんか? 今回は、認知行動療法の一つ、問題解決療法を用いて、理想と現実を近づけ、暗い気持ちから脱却する方法をお伝えします。

蝦名 玲子

執筆者:蝦名 玲子

ストレスマネジメントガイド

「なんだか最近パッとしない……」の気持ちと向き合ってみましょう

問題解決療法のやり方

理想と現実を近づける問題解決療法


あなたはいま、幸せですか?

この質問の答えが「ノー」だった、あなた。その理由は、あなたが「こうだったらいいな」と願う理想と現実とにギャップがあるからではありませんか?

実は、そんな理想と現実とのギャップから生まれる苦しみを軽減するための方法があります。

そこで、今回は、認知行動療法の一つ、問題解決療法を用いて、理想と現実を近づけて、暗い気持ちから脱却する方法をお伝えします。

理想と現実を近づける認知行動療法=「問題解決療法」

その前に、そもそも認知行動療法とは何か、簡単にご説明しますね。

認知行動療法とは、ものの捉え方のバランスをとってストレスに上手に対応できる心の状態をつくる「認知療法」と、ストレスを感じたときに適切な行動がとれるようになるのを支援する「行動療法」とを統合したもの。

今回、紹介する問題解決療法とは、この認知行動療法の一つで、日常生活の中でストレスを感じるさまざまな問題に対して、その問題を取り扱うのに有効な解決策の選択肢を見つけ出し、それらの中から最も有効な手段を見つけ出すのを支援する際に用います。

言葉だけではわかりにくいので、さっそく、やってみましょう(※1)。

1.希望する状態を明確にする

「あぁ、こんな状態だったらいいな」と希望する状態をイメージし、紙に書いてみてください。

例)成長を感じたり、ワクワクしたりしながら働いている

このとき、「今から行うことが、その希望の状態に近づく道なんだ」と信じながら、書いてくださいね。そうすることで、「今から行うことには意味がある」と思えやすくなります。

2.現状を振り返る

今度は、現状を振り返り、今の状態を書いてください。

例)労働時間は長いのに、変化のない、退屈な日々を送っている

いま、あなたがつらいのは、「こうなりたい」「こうすべき」とあなたが感じていることと現状とにギャップがあるからです。

1.と2.とを比較し、まずは希望と現状との間にギャップがあることに気づく。それが、求める未来を手に入れるための第一歩となります。

3.希望する状態と現状とのギャップを縮めるための目標を立てる

理想と現実のギャップを縮めるための目標を立てよう

理想と現実のギャップを縮めるための目標を立てよう


希望と現状との間にギャップがあることに気づいたら、今度は、「そのギャップを縮小させるには、どんな状態になると良いか」を考え、紙に書きましょう。

「希望する状態と現状との間にギャップがある、今のつらい状態を抜け出すには、どんな状態になるといいのか」という視点から目標となる状態を考えるのです。

たとえば

希望は、「1.成長を感じたり、ワクワクしたりしながら働きたい」 
⇔ 
現状は、「2.労働時間は長いのに、変化のない、退屈な日々を送っている」

このギャップがあるために、自分は不満を感じているんだということに気づけたとしたら、「 “同じ日は1日もない” ということを実感できるようになる」という状態になれば、ギャップを縮小することができるといった具合です。

例)“同じ日は1日もない” ということを実感できるようになる

4.目標を達成するために、ブレインストーミングする

では、今度は「その目標を達成するために、自分がどう動くと良いか」を考えましょう。

その際、まずは、思いつくことを、なんでも、自由に考えましょう。ひとりで、ブレインストーミングするのです。

現実的になる必要は全くありません。思いつく限り、全部、書き出しましょう。

例)「 “同じ日は1日もない” ということを実感できるようになる」ために
1)より良い仕事につながる本を読み、読み終わったら、SNSに感想を書く
2)毎日、小さくても、今までの自分だったらやらないことをやってみる
3)仕事中、ホッとしたこと、嬉しかったこと、褒められたこと等、よかったことを思い出して日記に書く

5.「SMART」の視点から見直す

書き出したら、今度は、それらを「SMART」の視点から見直しましょう。

SMARTというのは、
  • S (Specific:具体的か?)
  • M (Measurable:できたかどうか測定・確認できるか?)
  • A (Achievable:難しすぎず、達成できそうか?)
  • R (Relevant:これは適切な行動か?)
  • T (Timed:限られた時間・期間内でできそうか?)
から構成されています。

たとえば、「1)より良い仕事につながる本を読み、読み終わったら、SNSに感想を書く」というのは、具体的で(S)、できたかどうかも確認でき(M)、たしかに成長も感じられそう(R)だけど、仕事で疲れている日々のなかで読書をすることが難しく(A)、SNSを始め実際に使いこなせるようになるまでに時間もかかる(T)と感じた場合、それは、今のあなたにとってのSMARTな行動とは言えません。

小さな行動かもしれないけれど、確実に一歩、前に進める行動を考えましょう。

例)
・毎日、小さくても、今までの自分だったらやらないことをやってみる
・仕事中、ホッとしたこと、嬉しかったこと、褒められたこと等、よかったことを思い出して日記に書く

6.実行と振り返り、ときに軌道修正

確実に、前に進める行動を考えたら、今度は実行してみましょう。

一定期間やってみて、希望する状態と現状とのギャップが小さくなり、暗い気持ちが軽減されたら、成功です!(ワクワクできたら、最高!)

SMARTな行動が理想と現実を近づける

SMARTな行動が理想と現実を近づける


もし実行してみても、希望する状態と現状とのギャップを縮まらず、つらいままなのであれば、もう一度、やり直しです。

目標と行動を振り返ってみて、修正したうえで、もう一度実行しましょう。

このとき、行動だけでなく、ぜひ目標も見直してくださいね。というのも、「絶対、こうでなければならない」という信念や固定観念をゆるめて目標設定してみることで、うまく折り合いがつくこともあるからです。

このように、希望する状態と現状とのギャップが小さくなるまで、振り返りと実行を繰り返すことで、きっとあなたの求める人生を歩めるはず!

Good luck!


【引用文献】
※1蝦名玲子(2016).生き抜く力の育て方~逆境を成長につなげるために.大修館書店.
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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