木造注文住宅のトップメーカーである住友林業のなかでも、特に技術や提案力、顧客対応力を極めたクリエイター達の精鋭集団――それが「建築デザイン室」です。通常の家づくりと何が違うのか、同業他社や著名建築家とはどこが差別化されているのか。住宅事業本部 建築デザイン室 副部長の中垣慶之さんに聞きました。
 

設計からインテリア、工事、外構も在籍する一気通貫の体制

住友林業住宅事業本部 建築デザイン室 副部長の中垣慶之さん

住友林業の精鋭集団、建築デザイン室を取りまとめる 住宅事業本部 建築デザイン室 副部長の中垣慶之さん。長い設計担当経験を経て現職に就く。

住友林業における家づくりの精鋭集団といえば、かつてデザインパートナーグループ(DESIGN PARTNER GROUP:略称DPG)がありました。建築デザイン室はDPGの後継となるセクションということです。

「DPGの発足は2001年で、その後、2015年に建築デザイン室に変わり、今年3年目を迎えました。

DPGと建築デザイン室の最大の違いは、以前は設計担当主体の集団だったのに対して、今は、インテリアコーディネーター、工事担当、外構担当など家づくりの全ての過程における専門家が在籍していることです。ですからここのメンバーだけで1棟つくりあげることができるんですね。最初の段階からインテリア、外構もしっかり見据えた上で設計提案をしていますので、スタート時から完成度の高いプレゼンを行うことができます」

仮に設計ではなく、インテリアや外構などに何か修整などが発生した場合でも、この体制なら素早く対応することができます。
住友林業建築デザイン室事例

 

住友林業建築デザイン室事例

 

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家の内外すべての場所に「驚き」と「インパクト」を吹き込む

住友林業は全国に数多くの建築士を抱えており、その中で建築デザイン室所属の設計担当になるのは非常に狭き門です。そんな“精鋭”たちが集まる建築デザイン室では、どのような家づくりを行っているのでしょうか?

「主に私たちが手がけるのは高額物件なのですが、それ以外にもお客様の要求の難易度が高い、建てる場所の規制が強く高い技術を求められる、お客様からのリクエストで建築デザイン室にお願いしたい、といったケースもあります。

これは建築デザイン室の家づくりに限った話ではありませんが、お客様の生活スタイルのヒアリングは非常に大切です。例えばこんな質問をしますね。休みの日はどこでくつろいでいますか? ごはんを食べた後はどんな過ごし方をしますか? テレビはどこに置いていますか? お子さんは食後はどこに行きますか? ご家族はそれぞれ何時ごろ家に帰って来て、お風呂は何時ごろに入りますか? 

――それこそ取材のように、平日、休日、それぞれの家族皆さんの行動をお尋ねします。すると徐々に新居で繰り広げられるご家族の暮らしのさまざまなシーンがイメージできます。そして、お客様のこれからの人生をゆっくりと積み重ねていけるような居心地の良い空間設計を目指し、一本一本心を込めて線を描いていくのです」

さらに家を建てる現地を訪ねて、住環境を解析することも重要だと言います。

「敷地の形状によって設計が大きく変わるので、もちろんそこも見るのですが、同様に周辺の住環境も大切なチェックポイントです。周囲の景観から浮いてしまうような外観にならず、それでいて存在感のある美しい家をつくることが目標です」

そして、その後は設計をビジュアル化する作業に移るとのこと。
 
住友林業建築デザイン室事例

 

「パソコンでCGをつくって動きをシミュレーションできるようにしたり、あるいはスケッチ、模型をつくることもあります。そしてそれをお客様との打ち合わせでお見せして、何故こういう動線になっているのか、ここにこのスペースがある理由などをひとつひとつ解説していきます。そして、お客様と我々のイメージのギャップを埋め、精度を上げていくのが基本的なフローですね。

建築デザイン室の特徴は、この段階でお客様にご満足いただき、インパクトを与えられる多彩な提案力です。建築デザイン室で家づくりを進めるお客様は、こだわりが強い方が多いですし、既に理想の家の具体的なイメージを持っている方もいます。

そんな要求水準が高く審美眼も優れている方々にご満足いただくためには、提案の中にお客様の想像を超えた驚きやインパクト、個性などを仕込む必要があります。外構、玄関、リビング、キッチン、浴室……つまり、家の内外のすべての場所にそうした要素を吹き込むのが、私たちの仕事といえます」
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切磋琢磨を生む環境が建築デザイン室のボトムアップに

お客様の想像を良い意味で裏切り、インパクトをもたらす提案力。これを養うのは設計担当同士の切磋琢磨を生み出す社内風土ではないでしょうか、と中垣さん。

「若手が作るプレゼンを、各エリアの設計の管理職が常にチェックし、フィードバックをしています。また、社内コンペを毎年開催するなど、全国にいる他の設計担当の作品を見る機会も得られるので『負けていられない!』と刺激を受ける。そうして全国の設計担当の競争意識を高め、切磋琢磨させていくことが、最終的には建築デザイン室のクオリティの高さにつながっていると思います」

そもそも設計の自由度が高い木造注文住宅というジャンルだからこそバリエーションに富んだ家づくりが可能であり、それが設計担当の能力向上へのモチベーションにつながっている、とも言えます。

「社内において建築デザイン室は決して隔離された存在ではなく、時には一般の設計担当と共同で家づくりを進めるケースもあります。建築デザイン室メンバーの仕事を間近で見ることによって、その設計担当の経験値アップにつながるだけでなく、『いつかは自分もこうなりたい』という意欲が生まれる好循環を生んでいます」
住友林業建築デザイン室事例

 

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著名建築家同様の提案力+木造ハウスメーカーの企業力

ところで高額物件になればなるほど競争相手も増えるもの。時には著名な建築事務所とも競わなければなりません。そうした状況で住友林業の建築デザイン室が差別化できる点は何かを聞いてみると、

「簡潔に言えば建築デザイン室は“企業内建築家集団”のような存在。フリーの著名な建築家が提案する家と比較しても我々のプレゼンの内容は遜色ないと自負しています。それに加えて、木を育み、営業・設計・施工・インテリア・外構・リフォームなど住まいに関わる全プロセスを扱う企業の安心感がある。さらに品質保証、アフターサービス、長期のサポート体制が整っていることも建築事務所にはない差別化のポイントだと思います」

では、同業他社にもある同様の組織と、住友林業の建築デザイン室との違いは何でしょうか。

「何と言っても当社には、十分な耐震性を確保しながら、設計の自由度が高く、開放的な大空間をつくれるBF構法という独自の強みがあります。さらにこの構法は、上下階の通し柱が不要のため、各階の柱の位置をそろえる必要がなく、各階ごとに独自の空間をつくることも可能という、強力なアドバンテージです。その下地を最大限に活かしながら、お客様の想いやこだわりに対応しています。そうすることで私たちが目指しているのは“○○(ハウスメーカー名)の製品”ではなく“世界にひとつしかないお客様ご自身の邸宅”なのです。

最後に建築デザイン室における設計のやりがいは何ですか?と尋ねてみました。

「シンプルなのですが、やはりお客様からいただく感謝の言葉です。引き渡し時の満足そうな顔を見た時や、入居後にお招きいただいた際に、お客様が嬉しそうに室内を案内してくださる時など、本当にこの仕事をしていて良かったと思います。あの笑顔を、あの声を聞きたい。それが最大のモチベーションですね」
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