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MT-07のバリエーションモデルXSR700がついに登場!
ヤマハはエンジンやフレームなどバイクのメインになるパーツを共通にしつつ、セッティングや外装などを変更したバリエーションモデルをリリースしていくことを発表しています。MT-07の兄貴分であるMT-09の場合はスポーツツアラーテイストを採用したTRACER900とネオレトロ外装を纏ったXSR900、更にフロント二輪のスポーツバイクNIKENも含めれば4バリエーションという事になります。
MT-07も日本では人気のあるバイクなのでバリエーションモデルの発表が望まれていましたが、2014年の発売以降、発表されていませんでした。しかし海外ではMT-09同様にスポーツツアラーテイストを採用したMT-07 TRACERやネオレトロ外装を纏ったXSR700が先行して発売されていたので、日本でのリリースを待ち望んでいたユーザーも多いはずです。ついに発売されたMT-07のバリエーションモデルXSR700。違うのは見た目だけか?一週間しっかりと通勤で試乗してインプレッションをお届けします。
まずはXSR700の装備をチェック
MT-07とXSR700の外観上の最も大きな違いはヘッドライトの形状です。ストリートファイターらしい異型ヘッドライトを採用しているMT-07に比べてXSR700はXSR900同様に丸目ヘッドライトを採用しています。ただしXSR700のヘッドライトは奥行きがある砲弾型。
メーターの位置はあまり変わっていませんが、カクカクとしたデザインから小さい丸型になりました。小型にはなりましたが時刻やシフトポジション、回転数に燃料計と必要な情報が詰まっています。外装はプラスチック(ABS)を多用しているMT-07と比べて軽量なアルミを多用しており高級感があります。MT-07ではブレーキがロックするのを緩和してくれるABS付きと無しのモデルを選ぶことができましたが、XSR700はABS付き一択となりました。
XSR700の足つき性は?
シートはMT-07の薄いライダーとパッセンジャーシートがセパレートになっているタイプから厚みのある一体型シートに変更されています。フレームも基本的には共通ですが、リアフレームが専用設計となりシート高は835mmとやや高くなっています。数値的にはわりと高めですがXSR700の足つき性に関してはサスペンションが柔らかいセッティングになっているためにライダーが跨ると沈み込みが大きく車両重量が186kgと軽量であることもあり不安は感じません。
XSR700はポジションの違いが絶妙な軽快さを生み出していた
MT-07に初めて試乗したのは2014年なので、もう3年も前になります。スペックだけ見ると特に現行のモデルと変更されていないようです。ですが走り出してみると当時よりも若干トルクが増しているように思いました。CPUのセッティングが変更されているからか、ポジションが変わったことによる体感的なものなのか、タイヤの銘柄が変わったことによるものなのかはわかりません。
タイヤは初期型のMT-07はミシュランのパイロットロード3が装備されていましたが、XSR700はピレリのファントム スポーツコンプが採用されていました。ハンドルはMT-07に比べて若干広めのタイヤが装備されておりシート高が高くなったことによりハンドリングやコーナリング時の倒しこみがしやすくなっています。
もともとMT-07も車両重量が軽く73PS/9000rpmを出力するエンジンを搭載している為、加速の軽快さはありましたし、ハンドリングも決して重くはありませんでしたが、ポジションが変わっただけで体感がここまで変わるのは驚きです。
XSR700のブレーキはMT-07と共通のブレーキシステムを採用しており、フロントはダブルディスクに対向の4ポッドキャリパーを採用しており、車体が軽いこともあり、制動力にはかなり余裕があります。XSR700はABSが標準ですが、リアブレーキは比較的ABSが効きやすい印象です。ギアを落としながらリアブレーキをかけている時など瞬間的にABSが働いている感触がありますが、バランスを崩したりする心配はありません。
XSR700は質感、動きもよいが問題は価格か?
兄貴分のMT-09はモデルチェンジをきっかけに装備が充実し価格が高くなり100万4400円~(税込み)となり、バリエーションモデルのXSR900は104万2200円~(税込み)なのでお値段がそこまで変わりません。しかしそれに比べてMT-07ABSが76万320円~(税込み)に対してXSR700は89万9640円(税込み)と割高感があるのです。価格差は13万9320円。
MT-09は2017年のモデルチェンジを機会にXSR900には装備されていないLEDヘッドライト、フロントサスペンションの減衰力調整、クイックシフター、アルミ鍛造ステーの片持ちリアフェンダーなどが採用されたので価格が上がったのは装備が充実した結果。
MT-09が2014年に発売された際の価格は84万9960円(税込み)です。2016年のモデルチェンジ直前のMT-09もお値段変わらず84万9960円(税込み)。ABS付きモデルは91万5840円(税込み)でした。つまりこの時点での価格さは12万6360円
現行のプラスチック(ABS)外装を多用しているMT-09に対してアルミ外装を多用しているXSR900と価格差がほとんどない理由は上記のように沢山の装備が追加されているからです。個人的にはコレだけ質感の高い外装を採用しているのですから価格差は当たり前と感じる部分はありますが、価格差は決して安くはありません。XSR900は2016年に最も販売台数を伸ばした大型バイクです。弟分のXSR700が兄貴分同様に大ヒット車両になるかどうかは、この価格差をユーザーがどう判断するかによって決りそうです。
XSR700を少しカスタムするなら
好みの部分にはなるのですが、XSR700はハンドルのクランプ上に装着されており位置的には「もう少し前の方に付いていた方が良いのでは?」と思っていたのですがデイトナから「まさにそこつけたかった!」という場所にメーターをリロケートするキットが販売されています。パイプのステーは質感も高いのでお勧めの一品。
サスペンションが柔らかいので165cmの筆者でも足つきに不安は感じませんでしたが、もしも足つきが不安ならエンジンガードを装着しておくとよいでしょう。DIMOTIVのエンジンガードは見た目にもスッキリしているのでお勧めです。