3位「Jアラートが鳴る前に~金(Money)を買わず、金(Gold)を買う決断」
最近、金融業界でよく耳にする「地政学リスク」という言葉。「地球上のある特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張が高まることによって、その地域と地理的に近い地域の経済、あるいは全世界の経済の先行きを不透明にするリスク」と、解釈されている。たとえば、テロや戦争、国の財政破綻などによるリスクがこれにあたり、経済がグローバル化した今では、世界的に影響を及ぼすことが多い。今年は、この地政学リスクを背景に、安全資産として金が買われた。
8月28日、ニューヨーク金先物相場は昨年11月ぶりに、終値で1トロイオンスあたり1,300ドルを上回った。背景にあったのは、米国の政治リスクと利上げの不透明感。翌29日は、早朝に北朝鮮が発射した中距離弾道ミサイルが日本上空を通過したため、円が不安視され“有事の金買い”で金相場の上昇は加速した。
北朝鮮が6度目の核実験をした9月3日。その直後も金価格は急騰し、一時は1,360ドル台をつけた。その後、10月18日には中国共産党の党大会が開幕したが、その前後に懸念されていた北朝鮮のミサイル発射は実施されず、地政学リスクが後退し下げに転じた。しかし、ロシア疑惑浮上など、こうした近隣国におけるリスクが顕在化すると共に、金相場は再び上昇すると考えられる。
ガイドの解説コメント
投資信託ガイド 深野 康彦
景気の拡張を背景に世界同時株高となっているが、一皮むけば金価格が底堅いようにリスクがそこかしこにあることがわかります。景気もいつか後退することを考えれば、平時からリスクへの備えを怠らないようにすべきでしょう。有事が起こってから金を買うのは愚の骨頂。純金積立や金貨を活用すれば、少額からコツコツ金を買付けて行くことができます。
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