株主優待/戸松信博オススメの株主優待レポート

ヱスビー食品の株主優待はお得?1500円分の自社製品

ヱスビー食品はスパイスとハーブのリーディングカンパニーです。足元の好調な業績に加え将来性も踏まえると、株価は割安にも?そんな同社の株主優待が本当に魅力的なのかどうかに迫ります。年間3000円の自社製品がもらえます。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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ヱスビー食品<2805>の株主優待は本当にお得?1500円分のレトルト食品・調味料等がもらえる

ヱスビー食品はスパイスとハーブのリーディングカンパニーです。今回はそんな同社の株主優待の魅力に迫ります!

ヱスビー食品はスパイスとハーブのリーディングカンパニーです。今回はそんな同社の株主優待の魅力に迫ります!

ヱスビー食品<2805>はスパイスとハーブのリーディングカンパニーです。創業理念“美味求真”のもと、日本で初めてカレー粉の製造に成功して以来、コショーやガーリックパウダー、わさびなどチューブ入り香辛料、カレールゥ、パスタソースなど多彩で豊富な商品を展開しています。スパイスで約6割、即席カレーで約3割、パスタソースで約2割という圧倒的なシェアを誇ります。

スパイスを起点とした事業展開で、そのノウハウは栽培段階から蓄積している模様。1987年には生鮮ハーブの展開もスタートさせており、昨今のヘルシーな食文化にマッチしているように思えます。ハーブ栽培では最近ブームとなっているパクチーも1992年から栽培しており国内生産量の3割を担っているリーディングカンパニーと言えます。

ここ数年でハーブを野菜売り場で見ることが多くなりましたが、この、食文化の健康志向の流れを汲むと、生鮮ハーブを手がけ技術やノウハウを持つ同社には将来性があると思います。この辺りは割と長い目で見る必要がありますが、足元の業績も好調で見通しも明るく、株価もきれいな右肩上がりで推移しています。将来性、確立された市場ポジション、欠かせないアイテムを供給していること、などを加味すると、現在の株価は割安と考えることが出来るかもしれません。

今回はそんな同社の株主優待が魅力的なのかを検証していきたいと思います。

【銘柄名】ヱスビー食品
【市場:コード】東証2部<2805>
【予想配当+予想優待額面利回り】:1.0%
【2017年12月1日株価】10,700円
【株主優待獲得最低投資額】 100株=107万円
【今期予想現金配当(1株あたり)】80円
【株主優待権利確定月】 3月末、9月末
【優待内容】1500円相当の自社製品

※詳しくは同社のHPをご覧ください。
※今回は100株を購入して年間で3000円分の自社製品を獲得したケースを想定しています。株主優待は3000円で評価し、利回り計算を行っています。


スパイスとハーブを核とした事業を展開するスパイスメーカー

創業のきっかけとなったカレー粉をはじめ、チューブ入り香辛料、スパイス、カレールゥなどスパイスを起点とした商品を手がけるスパイスの国内最大手メーカーです。スパイスはシェア6割超でトップ、即席カレー(ルゥ)では3割で業界2位、パスタソースでは2割弱で業界2位です。中でもカレー粉は8割を誇ります。

ヱスビー食品といえば、通称「赤缶」と呼ばれるカレー粉や、「ゴールデンカレー」などのルゥ、コショーやチューブ入りわさびなど、私達の食卓に馴染み深いものが想起されます。

それもそのはず、同社が市場に投入する商品アイテム数はおよそ3000品目に及びます。昨今は昭和時代に食文化として根付いた洋食に加え、タイ料理やベトナム料理などのエスニック料理と、食文化が多彩・多様化しています。

こうした料理が日本に上陸したら、まずはレストランで供され、巷で話題となり、もっと手軽に食べたいと思うようになります。話題に上ればたちまち食品メーカーが商品開発に身を乗り出し市場が拡大していきます。

日本の食文化発展に貢献した「純国産カレー粉」~カレーに魅せられた17歳創業者~

そのなかでも、最もポピュラーとなったのがカレーでしょう。カレーはインドから日本に渡ったものですが、それは植民地を持っていたイギリスを通して日本に上陸しました。明治時代の事です。その頃から「C&B」というイギリス人が作ったカレースパイスが伝来してはいたものの、それがどうやって作られているのかは日本人にとって未知でしかありませんでした。製法が「東洋の神秘」としか伝えられなかったその高級な舶来品は、多くの食品会社が喉から手が出るほど自社開発したかったことでしょう。実際、色々な食品会社がカレー粉を発売しました。ところがそれはただ単に舶来品を混ぜたものでした。

長らくこのような状況が続いた日本カレー文化も、ある青年の行動で一変します。そうです、同社の創業者である山崎峯次郎こそが、日本カレー食文化を築いた重要人物なのです。

カレー粉の正体が何かが全く分からないところから、「純国産」のカレー粉を作り出すその努力は血のにじみ出るようなものでした。まさに「0から1を作り出した」わけです。

当時はまだ「香辛料=薬」という位置付けであり、17歳の山崎青年は香辛料を手に入れるために薬問屋などに走り回ったと言います。運よく知り合ったインド居住経験のある老人をつてに数種類のスパイスを手に入れられたものの、それが何の香辛料なのかもさっぱり分かりません。鼻で匂いを嗅ぎ分けて探し調合を繰り返すことしか方法はなく、失敗を繰り返しながら、イギリスから来たカレー粉を目指しました。

「純国産カレー」の製造を決心してから3年たった1923年(大正12年)、ついに製造に成功。この時若干19歳でした。同社の前身となる「日賀志屋」を創業し、この後、純国産カレーの普及に東奔西走しました。当時使われていたのはイギリス伝来の「C&B」カレー粉。値段は1円15銭でした。

一方日賀志屋のカレー粉は65銭。それでも販売は思うように伸びなかったといいます。そんな時、神風が吹きました。一部の輸入品に偽装品が見つかったことで輸入がストップしたのです。その時他に国産カレー粉を作れるメーカーは同社だけでしたから、同社にカレー粉の需要が一極集中することになりました。これがキッカケとなって同社のカレー粉が広く使われるようになり、カレー粉メーカーとして確固たる地位を確立することに成功しました。

この後1950年に発売した通称「赤缶」と呼ばれるカレー粉は、70年近くたった今も、シェア8割を握る圧倒的な存在を維持しています。カレー作りに欠かせない存在として、ルゥやレトルトカレーが登場してもなお、シェアを落とさないというのは、非常に強い商品ということです。

(ちなみに、赤缶の配合レシピは当初からスパイスの調合を一切変えていないそうで、社内でも限られた人にしか明かされていないトップシークレットとされているようです。)これが変わると、もはや、日本人が慣れ親しんだカレーの味が変わる、といったレベルです。

18年3月期は主力製品好調で連続最高純益、増配の見通し

同社が展開する事業は、スパイス・ハーブを核とする食料品事業と、調理済食品事業に分けられます。18/3期2Q末時点の売上構成比は、食料品が86.3%、調理済食品が13.7%。18/3期上半期は、スパイス&ハーブグループや香辛調味料グループなどの主力製品が牽引するとともに、調理済食品も伸長しました。全体的な増収に加え、利益面でも原価低減努力も奏功し、2桁増益を達成しています。

同社は中期経営計画で20/3期に営業利益59億円を目指すとしていますが、今期に達成する見通しです。

パクチー栽培量国内トップの同社に追い風~将来性:長期で事業柱としての成長可能性も~

新しい食文化といえば、最近なら3年前頃からブームが到来したパクチーブームでしょうか?(パクチー:英名コリアンダー、中国でシャンツァイ)このパクチーは、マヨネーズをこよなく愛す「マヨラー」よろしく、「パクチニスト」という言葉が誕生するほど、食文化に一種の旋風を巻き起こしました。

スパイス・ハーブの本家であり、1992年からパクチーを手がけ国内栽培料でシェア3割強を担う同社としては見逃せないブームです。業務用「パクチーシリーズ」で日本食糧新聞社 業務用加工食品ヒット賞受賞しているほか、今年2月に発売した「きざみパクチー」は、発売から3カ月で年間売上目標を達成したと言います。これは練りスパイス分野の新商品の平均売上の約7倍の実績ということになります。

パクチーは香りが独特で人によって好き嫌いが分かれることから、商品化するには相当の苦労があったはずです。

2010年には、桃屋が起した「食べるラー油」ブームに乗りました。(この時にも、カレー粉普及のキッカケとなった神風のように、食べるラー油の爆発的人気で桃屋の商品が品切れ状態になったところで、同社が発売し、販売に成功しました。)今度のパクチーブームは同社がリードしています。

同社はこのブームが到来する20年以上も前からパクチーの栽培と販売を手掛けてきた強みがあります。北海道-沖縄の十数道府県にわたって農家と契約栽培し、安定供給ができる体制が構築されていることに加え、病害虫対策や栽培技術をはじめとするパクチー栽培についてのノウハウを蓄えています。

ブーム到来によって、パクチーは風味づけの薬味として使われるだけではなく、パクチーサラダやパクチーカクテル、パクチースナックなど主役として食べられることが多くなりました。空前のパクチー需要を取り込みたい農家からはパクチーを栽培したいとの問い合わせが増えているといいます。

同社では概ね2020年の東京五輪・パラリンピック開催まで需要増が続くと見込み、生産量について2018/3期に前年の2倍となる200トン、2021/3期に300-400トンの供給体制を目指すとしています。

パクチーは、食べるラー油とは違ってブームに終わらず、野菜売り場で一定の地位を確保できる可能性があります。そうなれば、パクチー市場でトップシェアを築いている同社は新しい柱となるかと思います。

同社は1987年にはスパイス事業で培ったノウハウを活かし、生鮮ハーブをいち早く商品化して大きな事業に成長させました。今年、発売30周年を迎え、家庭用、業務用ともに取引拡大にむけて注力しています。

こうした生鮮ハーブとして見ても、将来性として要注目だと思います。

足元の好調な業績に加え、将来性も評価!同社の株主優待は魅力的!

主力製品が好調で、パクチーブームも追い風に新製品が絶好調です。原価低減努力も奏功して増益基調が続く見通しです。足元の業績に加え、フレッシュハーブ事業の拡大や、惣菜事業の回復も見込まれ、見通しは明るいと思います。

17年9月末時点の財務内容は、自己資本比率が36.1%、有利子負債が358億円。170億円の現金等を考慮したネットDEレシオは0.48倍。流動比率1.25倍、当座比率は0.85倍、固定長期適合率0.78倍と、まずまずの内容。17/3期実績ROEは7.7%。四季報では18/3期予想ROEを8.9%としています。

同社の株主優待は1,500円相当の自社製品(レトルト食品・調味料等)を年2回です。残念ながら最低売買金額が高いため、利回りは低いのですが、ファンダメンタルが優れているという点で長期に株主優待を獲得しながら株価上昇を待つという点で優れている銘柄と思います。

参考:日本株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。
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