※シェフの交代に伴い、現在は品揃えなどが変更となっています。詳細は店舗にお問い合わせください。(2018年4月現在)
中華料理×フレンチのデザートが話題の店からスピンアウト!業界初の注目パティスリー「ポール・サンセール」
2017年11月6日、JR田町駅東口から徒歩5分程の芝浦エリアに、フランス菓子店「ポール・サンセール」がオープン。シェフパティシエの細越誠氏は、高幡不動の名店「パティスリー・ドゥ・シェフ・フジウ」藤生義治氏に師事し、フランスに渡ってプロヴァンス地方やブルターニュ地方のMOF(フランス国家最優秀職人章)をもつシェフの名店や星付きレストランで計4年間腕を磨きました。渡仏中、パリ郊外で開催される「ガストロノミック・アルパジョン・コンクール」にも挑戦し、ショコラ部門で優勝されています。2012年、芝浦エリアにオープンした中国飯店「倶楽湾(くらわん)」シェフパティシエに就任し、中華料理の食後に提供される本格的なフランス菓子のデザートで評判に。そんな細越シェフのお菓子を、これからはテイクアウトで気軽にいただくことができます。
「PORT SINCÈRE(ポール・サンセール)」という店名は、フランス語で「誠実」を意味する「Sincère」と、住所の港区から「港=port」を組み合わせたもの。そして実は、細越シェフのお名前の「誠」にもかけられています。
お店に並ぶ生ケーキや焼き菓子、さらにヴィエノワズリーと呼ばれる菓子パン類、コンフィズリーと呼ばれる砂糖菓子など、一つ一つに、細越シェフが修業店で学んでいらした技術や、多くの思い出が感じられ、誠実に丁寧に作られた温かさが伝わってきます。
「ポール・サンセール」で食べるべき生菓子、ここに注目!
「レ・リボ」は、細越シェフが修業したブルターニュ地方で伝統的に作られている発酵バターミルク「Lait Ribot(レ・リボ)」をイメージし、これを日本で再現したものを使ったグラス仕立てのヴェリーヌ。一番底がライチのジュレ、その上に木苺など赤いベリー類のムース。一番上に、削ったライム表皮の緑色も点々と混ぜ込み、爽やかさをプラスした「レ・リボ」のムース。上にはサクサクしたクランブルやベリー類を飾りに載せ、赤いフルーツのムースの中には、粒のままの赤スグリも入っていて、食感や酸味がアクセントになっています。「レ・リボ」は、細越シェフも初めて現地で出会った時、牛乳と思って買って飲んだら予想もしない酸味があって驚かれたそう。濃厚なクリーミーさがありつつ甘酸っぱく爽やか。フランスの中でも美味しい乳製品に恵まれているブルターニュ地方ならではの思い出が込められた一品です。
「Bormes les mimosas ボルム・レ・ミモザ」は、南仏の「ミモザ街道」の出発点となっている村の名前で、細越シェフが南仏で最初に修業したMOFグラシエ(アイスクリーム職人)の店「Roland Del Monte ローラン・デルモント」のある場所です。花々の咲くとても美しい村だったそうで、そのイメージをお菓子にしたのがこちら。柑橘類を使ったジュレで表面を覆った中に、マスカルポーネのムース入り。みずみずしく、南仏らしい色彩と味わいで仕上げられています。
「マカロン・アナナス」は、ブルターニュ地方で修業したMOFパテイシエの店「ル・ダニエル」で、細越シェフが一番好きだったというお菓子。細かく刻んだパイナップル入りのパイナップルのクレーム・ムースリーヌを2枚のマカロン生地でサンドし、全体にも薄くクリームを塗った上から細かく砕いたココナッツをまぶしています。ココナッツとパイナップルとの相性が抜群!バターとカスタードクリームを合わせたリッチなムースリーヌですが、パイナップルの爽やかさで、ずっしりさせず軽やかに食べさせてくれます。
そして、「トゥマコ70%」もまた、フランス時代のある出会いがきっかけで生まれたチョコレートケーキです。2004年、ブルターニュのレンヌという町の市場で出会ったという二人。細越シェフが作るチョコレートの評判を聞いて寄り、たまたま話しかけたら作っている本人だったと語る彼女。その相手とは、現在、南米のコロンビアを拠点に、「CACAO HUNTERSカカオハンター」という自身のビーントゥーバーチョコレートブランドを起ち上げ、世界を舞台に活躍する小方真弓さんでした。そんな小方さんの「CACAO HUNTERS」の中から、コロンビアのトゥマコ地区産カカオを使ったカカオ分70%のチョコレートを使用したケーキがこちら。
構成は、カカオの風味を主役として味わってもらうために、ガナッシュと生地を交互に重ねたごくシンプル。ガナッシュには、チョコレートと合わせて乳化するために生クリームを入れるのが一般的ですが、こちらには生クリームでなく牛乳を使うことで、乳脂肪分を低く抑えています。その分、カカオの風味がマスキングされず、ガツンと強く感じられるのです。生地は、小麦粉を入れずに作るしっとりしたビスキュイショコラ。濃厚なガナッシュとなじみ、まさに「CACAO HUNTERS」のチョコレートを主役として活かす製法で作られたチョコレートケーキです。
「シチリア・ヴェルド」は、細越シェフが日本への帰国後、「ルクサルド・グランプレミオ」というコンクールに出場した際に出品した作品。イタリアのチェリー酒「マラスキーノ」を使うことがテーマとなっていて、このお菓子も、ピスタチオのババロアの中に、グリオットチェリーのジュレと、マラスキーノを利かせたシャンティーショコラのクリーム入り。ピスタチオの香りと、さくらんぼの種子の核の香りを移して製造するマラスキーノの香りには、杏仁を思わせるような共通点があり、そこにチョコレートを合わせた3つの素材がバランスよくまとまっています。
「フロマージュ・クリュ」は、フランス語でレアチーズケーキ。と言っても、フランスでは日本のようなレアチーズケーキは一般的ではないのですが、フランス産クリームチーズ「キリ」を使い、クリーミーな中にほのかな塩味が印象的です。さらに、黄色い水玉模様がとてもキュートなビジュアル。これは、棒状に絞ったレモンクリームを中に仕込んだもので、キュンとした酸味が、まろやかなチーズのアパレイユの中でアクセントとなっています。上にのせられたサクサクのクランブルやレモン皮の砂糖煮も、食感や味覚の変化をプラス。
最近、パリでも日本でも人気の高いサントノーレという伝統菓子ですが、クラシックなスタイルは、クリームはクレーム・シブーストというもので、プチサイズのシューはカラメルがけにするのが王道。ですが、今はどちらかというと、カラフルなフォンダンをかけたり、クリームもより軽い生クリームベースにしたり様々な味を足したりと、アレンジしたものの方を多く見かけます。
こちらの「サントノーレ・カラメル」は、クリームは中にカスタード、上に絞っているのはキャラメル味の生クリームと、少しアレンジしていますが、シュー生地にはパリッとしたカラメルがけと、古典と現代的なアレンジの折衷スタイルです。生クリームには、しっかり香ばしく焦がしたカラメルのほろ苦さが感じられ、たっぷりの量でもすっきりとした味わいでいただけます。シュー生地もしっかり焼き込んであり、茶色い見た目どおり、芳しい大人向けの味わいです。
ピンク色が愛らしい「ペッシュ・ド・ヴィーニュ」は、フランス語で「赤桃」のこと。表面はつるんとした赤桃味のジュレ。中にバニラムースが閉じ込められ、その中に砕いたフランボワーズが散りばめられています。上にちょこんとのったビビッドな色合いの飾りは、フランボワーズ味のイタリアンメレンゲを絞ったものです。
さらに、バターの風味リッチな菓子パンのヴィエノワズリー類、お土産にもぴったりの可愛らしいコンフィズリーや焼き菓子もご紹介します。