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トヨタ、ダイハツのスポーツカーブランド戦略とは?

トヨタが発表した新スポーツカーブランド「GR」は、ドレスアップやチューニングにより3段階の仕様を設定することで、幅広い層を取り込もうとしている。子会社のダイハツには、専用ブランドはないが、新たな芽吹きを感じさせる動きが出てきている。新たなスポーツカーブランドの動きをトヨタとダイハツをテーマに探ってみた。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

スポーツカーブランドとは?

2017年9月、トヨタが「GR」を立ち上げたことで、注目を集めているスポーツカーブランド。かつて「マツダスピード」を展開していたマツダ、またスズキも「スズキスポーツ」というモータースポーツを担当する会社に出資(いまは別会社)するなど、かつてはほぼすべての自動車メーカーがスポーツカーブランドを所有、もしくは支援していた。

しかし、モータースポーツ、とくに国内のレースシーンが少し下火になると、存在感が低下していた。

そんな中、トヨタの「GR」、日産の「ニスモ」、SUBARUの「STI」など、モータースポーツを担うだけでなく、スポーティな市販車もラインナップすることで、メーカーのスポーティイメージ、ブランド力向上を図るため、再びスポーツカーブランドが注目されている。

ベースとなる市販車との違いは、エアロパーツなどによる見た目だけが違うソフトなモデルから、エンジンやサスペンションまで手を入れるハードなものまで様々で、各メーカーがニーズに応じて複数用意するケースもある。当然ながら価格は、そのドレスアップやチューニングの度合いによって異なってくる。

スポーツカーブランドは、レースで培われたノウハウを市販車に投入し、そのメーカーのクルマとしての能力を引き上げるのが狙いで、景気などに左右されるが、今後も各メーカーが力を入れるのは間違いなさそう。

トヨタが新スポーツカーブランド「GR」を大量投入へ

トヨタGR

トヨタの新スポーツカーシリーズ「GR」。第1弾としてヴィッツ GR、ヴィッツ GR SPORT、プリウスPHV GR SPORT、マークX GR SPORT、ハリアー GR SPORT、ヴォクシー GR SPORT、ノア GR SPORTが設定された


トヨタの新スポーツカーブランドの「GR」は、従来の「G's(G Sports)」に変わって登場したシリーズ。「EVシフト」などにより、クルマがコモディティ化されるのでは? という声もある中、どんな意図をもって投入されたのだろうか。

第1弾として発表されたヴィッツ GR、ヴィッツ GR SPORT、プリウスPHV GR SPORT、マークX GR SPORT、ハリアー GR SPORT、ヴォクシー GR SPORT、ノア GR SPORTというラインナップを見れば分かるように、スポーツカーはない。なお、現在トヨタで唯一のスポーツカーである86のGRは今冬に発表予定とされている。

「GR」シリーズは、実用的なミニバンやSUVにスポーティテイストを与えることで、家族構成などの事情により、スポーツカーに乗りたくても乗れない層に訴求している。

また、スポーツカーそのものは市販化しにくい時代であっても、実用的なモデルをスポーティに仕立てることで、少しでも多くのファンを獲得したいという狙いもあるはず。ただし、ここまでなら「G's(G Sports)」時代とはそう大きくは変わらない。

「GR」は3つのドレスアップ&チューニングの仕様を用意

トヨタGR

写真は今冬発売予定とされている86 GR。GRシリーズの中でもベース車が唯一のスポーツカーであるため、最もコアなファンからの注目度が高くなりそうだ


そこで、エンジン内部にまでチューニングが施された限定車の「GRMN」を頂点に、「GRMN」のエッセンスを投入し、もう少し幅広いユーザーに訴求する量販スポーツモデルの「GR」、そしてスポーティな内・外装を気軽に楽しめる最もライトな「GR SPORT」という3段構えとすることで、よりマニアックな層からライトな層まで「G’s(G Sports)」時代よりも幅広い層を取り込もうとしている。

トヨタがこうした「スポーティ」や「走り」を強調した「GR」シリーズを自ら投入するのは、先述したように、カーシェアリングやEVシフトなどの時代背景もあって、クルマがコモディティ化し、単なる移動手段になってしまう、という危機感があるのかもしれない。

また、トヨタの「GR」シリーズの発売により、日本の自動車メーカーによるスポーツカーブランドが注目を集めているが、この分野は輸入車ブランドがいち早く一定のマーケットを確立し、1台あたりの高い利益率を確保している。

スポーツカーブランドとして認知されれば、素のモデルよりも利益率を高く設定できるほか、素のモデルを含むブランド全体のイメージも引き上げることも可能になるかもしれない。

■関連サイト
トヨタ GR | About GR

スポーツカーブランドはないが、可能性を感じるダイハツ

ダイハツ・ブーン

コンパクトカーのダイハツ・ブーンにアクセサリーパッケージを用意することで、スポーティテイストを付加


軽自動車を中心に、小型車を用意しているダイハツ。軽自動車のスポーツモデルであるコペンを市場に投入している。

ダイハツでは、新たなスポーツカーブランドなどは用意していないが、コンパクトカーのブーンにアクセサリーパッケージを設定することで、ニーズに応えている。

ダイハツ・ブーン

ダイハツ・ブーンのアクセサリーパッケージ「ブラックストライプ」


2017年10月に発売されたブーンのアクセサリーパッケージ「スポルザ リミテッドパッケージ」は、スポーティな印象を与える外観用パーツやエアロパーツ、ストライプ柄のステッカーなど計13点をひとつのパッケージとして用意。さらに、「ブラックストライプパッケージ」と「レッドストライプパッケージ」の2パターンを設定しているのが特徴。

2017年の東京モーターショーでもスポーツカーコンセプトを参考出品するなど、ダイハツからもクルマに走りやスポーティムードを求める層に対する姿勢が感じられる。

毎年1月に開催されている東京オートサロンは、数多くの来場者を集めることから自動車メーカーも非常に注力していて、必死にユーザーニーズを探っている。東京オートサロンを中心に、こうしたショーでは従来以上に新モデルが登場する可能性が高まっていて、トヨタを代表とする自動車メーカーによる新しいスポーツカーブランドがさらに注目を集めそうだ。

■関連サイト
ダイハツ | BOON CILQ SPORZA Limited Package

■関連スポーツブランド記事
SUBARU、日産、ホンダのスポーツカーブランド

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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