お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

45歳、医学部進学で学費が3500万!捻出できるか不安(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、3500万円の教育資金に不安を感じている40代の女性会社員。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 今後数年間が支出のピークと割り切ることが大切

先に結論から申し上げます。現状の生活費や収入が維持できるなら、お子さんの教育費を準備した上で、老後資金も十分用意できると思います。理由は、生活費が基本的に抑えられ、貯蓄率が高いからです。では、実際に試算してみましょう。

現在の貯蓄ペースですが、毎月25万円にボーナスからは全額の40万円とのことですから、年間340万円となります。また、2019年には住宅ローンが完済を迎え、その分が貯蓄にまわるとすれば、100万円貯蓄ペースが上がりますので、この年から440万円貯めることができます。

一方、私大医学部の費用は3500万円。ただし、入学金の支払いは入学時ですが、授業料と施設利用費は毎年、その年の分を支払うことになります。つまり、医学部ですから6年生となる5年半後に支払い終わるよう、手持ち資金が回ればいいということになります。

その5年半後、貯蓄の上積み分は約2200万円。今ある貯蓄と合わせると4100万円となります。年内に予定されている、自宅のメンテナンス費用90万円を差し引いても、お子さんが6年生になった時点=大学費用が支払えた時点で500万円が手元に残っています。さらに、現在発生している教育費の月7万円は、大学費用を差し引いた段階で実質不要なりますので、その5年分の420万円も手元資金として残りますから、計算上、少なくとも900万円は貯蓄が残るわけです。

ただし、相談者のかんがるーさんは、計算上は足りるとわかっても、精神的に不安に感じることは考えられます。大学費用3500万円の内訳はわかりませんが、仮に入学金500万円、授業料+施設利用費が年間500万円とするなら、初年度で1000万円が手元からなくなり、以降毎年500万円ずつ支払っていく。手持ち資金がどんどん減っていく状況は、やはり心細くなるものです。しかし、おそらく今後、数年間が人生でもっとも支出がきびしい時期。ここは「仕方がない」と割り切るしかありません。
 

アドバイス2 生活費が大きく変わらないなら老後資金も大丈夫

次に老後資金を考えます。本格的にその準備ができるのは、お子さんが大学6年生になり、最後の大学費用を納めてから。そのとき、かんがるーさんは51歳。定年までの9年間、ご主人の収入もその間、今の金額を維持できて、しかも基本的生活が変わらないとすると、実に毎月42万4000円貯蓄できることになります。ボーナスは、旅行や不定期の支出に充てることにして、貯蓄には回らないとしても、年間500万円の貯蓄が可能です。かんがるーさんが定年の時点で今ある貯蓄と合わせて、5400万円。これに退職金を加えた額が老後資金となります。

問題は、この金額が足りるかどうか。それを考えるひとつの基準になるのが、ご夫婦の老後の生活費です。現在と同じなら月13万円。これに、年間にかかる不定期の支出を月割りにして加えて、月15万円とします。
定年から65歳まで、この間の生活費をすべて貯蓄から取り崩すとすると、トータルで900万円。退職金を考慮しなくても4500万円がまだ残ります。

65歳以降は、公的年金を受給できます。その額ですが、かんがるーさんは未納金があるとは言え、一定期間厚生年金に加入していたことになります。また、ご主人は「年金がなく」ということですが、厚生年金に加入している時期はなく、国民年金のみという意味だとすれば、夫婦合算で月15万円の支給はあるのでは。ここから社会保険料と税金を差し引いて、手取額を13万円とすると、毎月2万円の赤字です。90歳まで生きるとすると、25年間で補てん額は600万円。つまり、90歳の時点で3900万円が残り、長生きリスクやそれまでに予期せぬまとまった支出(入院、介護など)があっても、資金不足で困ることは考えにくいと言えます。

例えば、先の年金受給額が実際は想定した額より低く、毎月の赤字が5万円としても、25年間で補てん額は900万円増えるだけなので、資金的にまだ足りています。しかも、この試算はあくまでご夫婦が60歳でリタイアした場合。60歳以降、たとえ少額でも、働いても収入を得ればさらに老後資金に余裕が生まれます。今から過剰に心配する必要はないでしょう。
 

アドバイス3 貸与型の奨学金は不要、Wワークも必要なし

その他、心配されていることについてですが、回答いたします。

まず、「教育資金不足分は、Wワーク検討」とありますが、先に教育資金は間に合うわけですから、それは不要です。逆に、オーバーワークになって、かんがるーさんが体調を崩す方が避けたい事態です。今ある収入を維持するために、普段から自身の健康維持に気を付け、元気に働き続けることが重要です。したがって、奨学金も給付型を申し込むことはいいですが、貸与型については必要ないと考えてください。

保険についても新たに加入する必要性はあまり感じません。あえて言うなら、かんがるーさんに万が一のことがあった場合に備えて、お子さんの大学費用に充てる資金確保を、定期保険で確保するということでしょうか。たとえば、10年定期で死亡保障1500万円なら月の保険料は3000円ほど。そして、大学費用を払い終えた時点で保険は解約してもいいでしょう。

住宅ローンの繰上返済は、焦る必要はありません。お子さんが大学卒業してから、手持ち資金が増えてくる2、3年後あたりで行えばいいと考えます。

最後に「家計はどんぶり勘定」とありますが、これだけ貯められるのですから立派です。今後は、細かい部分は気にしていなくて構わないので、実際に予定しているとおり毎月25万円貯められているか、住宅ローンや教育費がなくなった時点で、それも貯蓄に回すことができているか。そこだけ、きっちり管理できていればいいと思います。
 

相談者「かんがるー」さんから寄せられた感想

この度は貴重なアドバイスを頂戴し、助かりました。教育資金及び老後資金とも絶対的に不足していると思っておりましたのでご教示頂き、有り難い限りです。息抜きの旅行も楽しみながら、定年退職後も仕事ができるようにして行きたいと思います。この度は深野先生、誠にありがとうございました。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武



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