「恋は大人を子どもにする」から、中年の不倫は楽しい?
行為を思わせる写真が流出。若い世代は嫌悪感を示すが……?
自撮りキス写真、女優の下着をかぶった医師のはしゃいだ(ように見える)写真をめぐって、共感と反感が入り交じっている感がある。
若い世代からは否定的な声が聞こえてきた。
「いい年して何やってるんだって感じ。そもそも、あの年齢でも恋愛なんてするんですかね。うちの親より年上なんだけど……」(23歳・女性)
「不倫するのは勝手だけど、あの写真が出たときは“これはないでしょ”と絶句しました。まず流出したことが問題。あんなおバカな写真を撮っていることも大問題」(26歳・男性)
若い世代は、恋愛している中年に厳しい。
久しぶりの恋愛感情にときめく男たち
「パンツだってかぶっちゃう」と語る50代男性の心理とは?
「だって憧れていた女優と自分がつきあっちゃってるんだよ? そりゃもう、浮かれて当然でしょう。パンツだってかぶっちゃうのはわかりますよ!」
シゲトシさん(55歳)の声だ。彼自身、つい数年前まで昔片思いをしていた同級生の女性と5年にわたってダブル不倫をしていたそうだ。
「恋人ができてうれしくなって、ふたりきりの空間ではしゃいでしまう。中学生か高校生に戻ってしまうといってもいい。これ、男の性(さが)じゃないでしょうか」
結婚すれば多くの人間は、恋愛を封印する。だが、恋愛至上主義で育ってきた今の50代は、決して恋愛を忘れたわけではないのだ。だからチャンスがあってタイミングがあえば、いつでも恋愛感情が頭をもたげてくる。
相手が憧れていた女優でなくても、片思いしていた相手だったりすれば、恋愛感情に加えてもっと「はしゃいだ」気持ちがわき起こってきても不思議はない。
「恋は子どもを大人にし、大人を子どもにする」という言葉がある。思春期に恋すると、人は相手の気持ちを考えたり、恋している自分の心を分析したりしはじめる。思索は人間を深くしていくのだ。
ところが大人が恋をすると、周りの目を気にしなければいけないのはわかっていながら、ついはしゃいでしまう。心が浮き立つのを止めることができないのだ。
女性はそのあたりの切り替えがうまいが、男性はどう律しても浮かれた気持ちがにじみ出てしまう。
浮かれているから妻にバレる
路上キスするカップルなども、同じ心理?
「その昔、ちょっとよその女性とつきあっていたことがあるんです。あるとき家で爪を切っていたら、妻から『鼻歌なんか歌って、いいことでもあったの?』と声をかけられた。ドキッとしました。自分ではまったく気づいていなかったから」(52歳)
彼女とつきあい始めて、楽しくてたまらない時期だった。今度はどこへ行こうか、ふたりで何を食べようかという思いが頭を巡っていた。ちょうど桜の季節だったから花見に行きたいなどと爪を切りながら思っていたわけだ。自分で気づかないうちに鼻歌も出るだろう。それを妻は見逃さない。
分別があってしかるべき世代が恋愛に陥ると、こんなふうに若い世代からは想像がつかないほど浮かれてしまうこともあるのだ。
「だって恋愛って、基本的に楽しいものじゃないですか。人を好きになって、その人も自分を好きになってくれて……。一緒にどこかへ行ったり、何かをしたりして、感覚の違いを楽しんだりすることもできる。本当の恋は、結婚してから訪れるものかもしれないし」
マサヤさん(57歳)はそう言う。若いときの恋は、家庭を作り家族を作る「結婚」を目的としているが、年がいってからの恋は目的がない。相手と会うこと自体が楽しくて、言葉を交わし、体を重ねることが新鮮でもある。止めようとしても止められないのが恋でもある。不倫を肯定する気はないが、否定するつもりもない。なぜなら現実に起こっていることなのだから。
こんな都々逸がある。
「年をとっても浮気はやまぬ、やまぬはずだよ先がない」
これが最後の恋かもしれないという思いが、50代の情熱に拍車をかけているのかもしれない。