プット・コール・レシオとは?
2017年8月19日(土)の報道で、日本株の「売る権利」需要増により、プット・コール・レシオが1.41と、約7年ぶりの高水準となったことが伝えられています。プット・コール・レシオとは、オプション取引のプット(売る権利)の建玉数を、コール(買う権利)の建玉数で割る事で計算され、数字が高くなるほどプットを買う人が多い、つまり相場下落に賭ける、或いは下落に備えて保険的にプットを買う投資家が多い事を示します。日本ではプット・コール・レシオが高水準であることを理由に、海外発の株安リスク警戒として、さらに相場が荒れる可能性があるといった伝え方もされていますが、同日の米国の投資新聞では逆に相場の「底打ち」シグナルとして紹介されています。
1.15ライン超えは「底打ち」シグナルとして活用できる
米国でも日本と同様にプット・コール・レシオは急上昇しています。このレシオは心電図のように飛び上がったりすることもあり、一瞬の上下運動をなるべく無視し、趨勢として上下どちらの方向に向かっているかに注目できます。2017年8月現在の趨勢としては、2016年の大統領選前の相場警戒時のレベルにまで上がってきた形です。その前は2016年初めの世界同時株安時もこのレベルを超えています。レシオが1を超えるということは、プットの数の方が多いことを意味し、弱気派が台頭していることになります。しかし、このレシオは永久に上がるものでなく、リーマンショックでもない限り、ある程度株価が下がれば、プットオプションを売って利益確定させる、或いは結局下がらなければ慌てて損切りとなります。米国では趨勢的に1.15ラインを超えれば、それは短期的な弱気相場の終焉であり、「底打ち」シグナルとして強気に見られます。
勿論ここまでレシオが上昇している背景には米国と北朝鮮の軍事衝突への懸念や、トランプ政権の空中分解(政策遂行能力の低下)など悪材料あっての事ですが、これだけプットが溜まっている中でもう一段相場が下がれば、一気に売り方は利益確定とするのではないでしょうか。それは、思ったほど日経平均は大きく下がらず、景気動向や企業業績はとても良い為、プットを買っている方に焦りもあると思うからです。9月頃までは株価が下がりやすい時期であり、また、悪材料も出やすい時期でもありますが、それが過ぎれば何事もなかったかのように次の金融政策へ視点は移って行き、株価は上昇基調に戻ると見ますが、どうでしょうか?
参考:日本株通信
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