電気自動車(EV)に関連する話題が増加し人気が加速
電気自動車(EV)に関連する話題が増加し、株式市場でも関連銘柄を物色する動きが強まっています。昨年までは米国のカリフォルニア州が環境に負荷をかけないゼロエミッション自動車(ZEV)の販売促進策を打ち出し、18年にはハイブリッド車がZEVから除外されることになりました。加州以外の9週もこれに追随する見通しです。また、中国では深刻な大気汚染問題を背景に、2020年にEV・EVバスの生産台数で累計500万台(2015年までで48万台)を目標にしています。
欧州印でも早期導入に前向き
今年に入ってこの動きはさらに加速しています。イギリスとフランスは2040年までにガソリン車の販売を中止する方針を明らかにし、インドに至っては2030年までに販売する車を全てEVにすると報じられています。また、EVよりも燃料電池車を優先していたトヨタ自動車が、マツダとEVで協業すると発表。EV化の流れが一気に加速する可能性が出てきました。そこで、今回はEV関連銘柄を取り上げます。EVのバッテリーであるリチウムイオン電池は正極材、負極材と、ショートを防ぐためのセパレータ、電気の通り道の役割をする電解液から構成されています
関東電化など電池関連は業績にも反映
●関東電化 <4047> 、ステラケミファ <4109>電解液の元になる電解質を手がけています。六フッ化リン酸リチウムという物質ですが、この販売が好調です。両社の製品は他社に比べて結晶がきれいで、これがEVの走行距離の増加に寄与するとされています。ステラケミファは18年3月期通期業績予想を、関東電化は上期の予想を、それぞれ上方修正しています。
●田中化研 <4080> 、戸田工業 <4100>
正極材(乾電池の+極)を手がけています。これまで価格の下落に苦しんできましたが、田中化研は第1四半期(4~6月期)に営業黒字転換、戸田工は2.8倍になりました。
●ダブルスコープ <6619>
EV用のセパレータを手がけています。業績の下方修正を発表しましたが、これは将来を見据えた積極投資も一因です。セパレータには低コストの乾式と、単価は高いが高性能の湿式がありますが、同社はいち早く湿式に注力。欧州などでの受注も狙います。
モータコア、コイルなどにも期待感
●三井ハイテック <6966>モーターコアの有力企業です。モーターコアとは、モーターの中核部品で、モーターの特性を上げるためのローター(回転部分)、ステーター(ローターを回転させるための力を発生させる部品)などから構成されます。カナダの新工場が今年5月に生産を開始。数年内に100億円の売上げを目指しています。現在はトヨタ、日産、ホンダが主な納入先ですが、カナダ進出を機に海外メーカーへの採用も働きかけます。モーターコアは黒田精工 <7726>も手がけています。
●日特エンジニアリング <6145>
コイル用自動巻線機の最大手で、全自動システムに特色があります。同社EV駆動用モーター向けの巻線機に本格参入するようです。同社の巻線技術を使い、既存工法に比べてコイルが短く、効率の高い新たな工法を生み出したということです。具体的にはコイルの円周が従来よりも3%程度短くなる特徴を活かし、モーターの小型化と銅線材料の削減を実現。小型化でコイルの抵抗を低くし、品質の安定や向上を可能にしたとのこと。今後の展開が期待されます。また、小田原エンジニアリング <6149>はモーター用の自動巻線機で国内首位です。
●ジーエス・ユアサ コーポレーション <6674>
電池の大手です。EVが1回の充電で走行できる距離を2倍に伸ばす新型電池の量産を2020年にも始めると報道されています。走行距離がガソリン車に近づくことで、普及に弾みがつくかもしれません。価格は据え置きの方針だそうです。
●エスペック <6859>
環境試験器のトップメーカーです。EVの普及加速で、バッテリー安全認証センターの引き合いが活発化しているようです。