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構造改革が実ったソニーに注目!

日本初の携帯ラジオやウォークマンなど新しい商品を生み出し、業界に新たな価値を提供してきた電気メーカー大手です。業績不振が続いてきた同社ですが構造改革に取り組み、それが実ってきた様子です。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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「人のやらないことをやる」をモットーに新商品を生み出してきた電機メーカー

業績不振から構造改革に取り組み、それが実ってきたソニー!株価上昇のカタリストが複数存在し注目したい銘柄です!

業績不振から構造改革に取り組み、それが実ってきたソニー!株価上昇のカタリストが複数存在し注目したい銘柄です!

創業以来、「人のやらないことをやる」を原点に、成長を遂げてきた日本を代表する企業です。1950年代に遡れば前身の東京通信工業による日本初の携帯ラジオ「トランジスタラジオ」の開発をはじめ、ビデオテープレコーダー、ウォークマンなど、みんながワクワクするような画期的な商品を生み出してきました。

他の企業がやらないことをやって新しいマーケットを作り出してきた同社ですが、その事業領域も他社との融合によって広くしてきました。例えば、1968年に誕生した音楽分野のSonyMusicはCBSと、1981年の生命保険ソニー生命はプルデンシャルと、1993年誕生のゲーム分野及び1995年のISP事業So-netはSonyMusicと、2001年のモバイル「XPERIA」はエリクソンと。そして2013年の医療分野Sony Olympus Medical Solutionsはオリンパスと設立した医療事業合弁会社です。

このオリンパスとの合弁会社では、同社のイメージング技術などを活かした4K外科手術用内視鏡システムの製品化等、同社の強みを活かした製品が産みだされています。

2015年のベルギーのイメージセンサー開発ベンチャーの子会社化も、今後の次世代技術が育っていく中で有意義な買収でした。このソフトキネティックシステムズは、イメージセンサーを用いて対象物までの距離を測定する「距離画像センサー」の技術に強みを持っていて、今後、距離測定が欠かせない自動運転やドローンなどへの技術応用が見込まれます。他にもVRやロボットなど同社の技術力が発揮される市場が拡大しており、新たな事業展開が期待されています。

競争激化でエレクトロニクス分野を利益重視の構造改革へ

同社は「人のやらないことをやる」をモットーに新たな市場を創出することを得意としてきましたが、海外メーカーの台頭などによって競争が激化したテレビやPCの分野では、事業縮小・撤退という道を選ぶこととなりました。

テレビ事業は、2005年3月期から10年で8000億円の損失を出す赤字体質が染みついていましたが、高コストの液晶パネル生産から手を引き、分社化を実施し、コスト削減施策の実行を進めた結果、2016年3月期には営業利益率5%まで改善。筋肉質な事業構造に変革しました。

加えて、4Kを中心とした大画面の高付加価値製品への移行を進めており、平均単価は57000円から67000円まで上昇する見込みとなっています。また、スマホの普及によって市場が急激に縮小したデジカメも、同様に高付加価値製品に注力しています。

このように、自分の強みを発揮できるポイントを把握し「規模を追わず、違いを追う」という考えで、それまでの量の拡大によってコストをカバーするやり方から、事業規模が半分以下でも損失を出さないぞ、という構造に方針が全面的に改められたのでした。

2018年3月期、つまり今期を最終年度とする中期経営計画では、ROE(株主資本利益率)で10%以上、営業利益5000億円以上、の2つの利益指標が掲げられました。売上高目標は設定されず、利益重視の姿勢が示されたわけです。

ITバブル崩壊後の2003年に起こった「ソニーショック」からこっち、構造改革をやっても何らかの問題や災害が起こるために業績不振が続いてきましたが、やっと構造改革の成果が実乗ってきた様子です。

ゲーム分野、主力事業に育つ!~イメージセンサはIoTの進展も追い風に需要拡大へ

成長を見込んだ分野は、市場を拡大させています。例えばモバイル向けイメージセンサは同社の強みを発揮できる分野です。モバイル向けイメージセンサは複眼化、フロントカメラの高画質化、動画性能の重視というところがトレンドとなっており、また高画質が求められるセキュリティ分野や自動運転分野でもSONYの高性能付加価値製品への引き合いが強まることが期待できます。

実際、2016年にはデンソーの自動ブレーキシステム用画像センサーへの搭載、ボッシュとビデオセキュリティ事業での協業を発表しています。

また、ゲーム分野はプレイステーションの好調で、主力事業に成長してきました。
同社は大手電機メーカーですが、長年バランスシートを支えていたのは保険などの金融分野ですから、これは特筆すべきことではないでしょうか。

プレイステーションビジネスは、引き続き好調に推移しています。18/3期にはPS4は1800万台の販売を予定しており、期末には累計販売台数7,800万台を達成する見込みです。さらにPS4向けのゲームが出ることで増収増益に寄与すると思います。「PS VR」の導入にも成功しましたが、100万台弱と、今のところ驚くような伸びではない印象です。

また、構造改革では、こうした事業の筋肉質化に加え、安定的収益源の確保にも焦点が当てられています。同社が「リカーリング事業」と呼ぶ、蓄積型ビジネスの強化です。これは特定の顧客と継続的で安定したビジネスを意味するもので、例えば、保険金融が代表的。ほかに、プレイステーションネットワークをプラットフォームとする音楽や映画などの販売、医療分野への内視鏡展開なども含みます。
こうした分野が収益化して来れば、収益の安定化が進みます。

株価上昇のカタリストが複数存在

2018年3月期第1四半期の業績は、半導体の黒字化が効いて営業利益が前年同期比2.8倍という大幅増益での着地となりました。確かに、熊本地震の反動や保険金計上など一時的影響によるところも大きいですが、こうした一時影響を除いても10.4%の営業増益となっており、足取りは好調です。

むしろ前期の、熊本地震、映画、電池、半導体事業での減損による約1800億円の費用が消えたことで、利益の伸びがよくなりそう。こうした明るい見通しの下、18/3期は、株式相場の好調を背景に金融分野、イメージセンサの需要拡大を背景に半導体分野、そしてネットワーク販売が好調なG&NSが業績を牽引する見通しです。

2017年3月期末時点の財務状況は、自己資本比率14.1%、有利子負債1兆1995億4100万円。自己資本比率が低いのは金融事業を営んでいるためです。

金融を除いた分野で着実にキャッシュが生み出せる状況になってきているので、財務の改善も進むと見られます。

2017年6月末時点で現金等は9842億円(金融分野を除いたら前期末比8.8%減の6308億円、前年同期比44.3%増)。同社ではこの他に円換算で総額5,268億円(17/6月末時点)の未使用の金融機関とのコミットメントライン(融資枠)を保持しており、十分な流動性を確保していると言えます。

ゲームや映画のヒット、各種業界でのイメージセンサ需要の拡大、特にデンソーとの協業のような収益拡大に繋がるニュース、金融事業の子会社化、各分野での収益化実現と増配の可能性、と株価上昇のキッカケとなるカタリストを複数持っていることから、株価が調整したところを狙いたいです。

参考:日本株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。
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