自社株買いは効果的な株主還元策

近年は自社株買いを実施する企業が増えています。企業が自社株買いをする理由は何かというと株主還元策となるからです。

近年は自社株買いを実施する企業が増えています。企業が自社株買いをする理由は何かというと株主還元策となるからです。

自社株買いとは上場している企業が自社の株式を買い取ることです。もともと日本では金庫株(自社株買いを行って、購入した自社株を償却や売却等をせずに保有し続けること)が規制されていたこともあって、自社株買いはあまり行われてきませんでしたが、近年は自社株買いを実施する企業が増えています。企業が自社株買いをする理由は何かというと株主還元策となるからです。

株主還元策として有名で分かりやすいのは現金配当や株主優待だと思います。ストレートに株主に配当金(現金)が入ったり、商品やサービス、割引券などが貰えるからです。しかし、自社株買いも非常に効果的な株主還元策なのです。どうして自社株買いが株主還元策になるかと言えば、自社株買いが行われると株価が上昇しやすくなるからです。

まず、一般的に自社株が買いを行うと、投資家からみた総発行株式数からは自社保有株式数が差し引かれます。このため、1株あたり利益や純資産が増えることにつながって株価が上昇する要因となります。

たとえば、株価2000円、総発行株式数100万株、純利益1億円、1株あたり純利益100円の会社があったとします。この場合、PERは20倍です。この会社が10万株の自社株買いを実施すると、総発行株式数は90万株で計算されるようになりますので(注:厳密には後に述べる償却を行わなければ、自社株買いをしても物理的な総発行株式数は100万株のままですが、投資家が計算時に利用する総発行株式数は自己保有株式が差し引かれます)、1株あたり純利益は1億円÷90万株=111円11銭になります。この時PERは2000円÷111.11銭=約18.0倍となります。ここで従来通りのPER20倍で評価されるとすると、2222円まで上昇する余地が出来ることになります。

加えて言えば、市場から購入すれば、一時的な需給改善にもつながります。さらに、自社株買いを行うと株主資本も減少することに繋がり、近年重要な指標となってきているROE(自己資本利益率)の向上にもつながります。ROEは純利益÷自己資本で計算されるため、自己資本が減少すれば(分母が小さくなれば)上昇するからです。当然これらも株価の上昇要因となります。

自己保有株の売却に注意

一方、自社株買いをしたあと、金庫株として自社で株式を保有したままにしておいて、後に売却を行う場合があります。これは株価が下落する要因になるので注意が必要です。

まず、そもそも日本では償却などを行わなければ自社株を購入することはできませんでした。ところが平成13年の商法改正によって自社株を購入して自己保有株(金庫株)として保有し続けることが認められたのです。

金庫株として保有された株式はそのまま保有されたり、最終的には償却されたりします、他者への売却が行われることも当然あります。問題は他者へ売却された場合です。この場合は自社株買いとは逆の効果が出ます。

つまり、自社株買いで減少した総発行株式数が逆に増えてしまうことになりますので、EPSやBPS、ROEの低下に繋がってしまい株価が下落する要因になるのです。この点は注意が必要と言えるでしょう。

参考:日本株通信

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