大学入学時に奨学金の利用をする上での注意点
世帯の平均年収が伸び悩む昨今、奨学金の利用も増えています。教育費は子どもの未来への投資でもあるので、奨学金を利用してでも大学進学することは価値のあることでしょう。しかし、奨学金を借りることは、すなわち「借金」です。返還の義務を負うからこそ、奨学金を借りる前から、奨学金についてしっかりと知識を身に付けましょう。
今回は日本学生支援機構が発表している平成27年度奨学金の返還者に関する属性調査結果を元に、なぜ奨学金を延滞してしまうのか? また、延滞せずにしっかり返済していくには、どのようなことを心掛けていればよいのか、お伝えしていきたいと思います。
1.本人が奨学金の申請書類を作成する
奨学金申請時から書類作成を通じて本人が主体的に関わっていない場合は、関わっている場合に比べて延滞となる傾向があることがうかがえます。やはり、本人が書類作成を行い、奨学金を借りたという意識付けが大切といえるでしょう。2.返済義務があることを伝える
「奨学金=借金」という感覚は大人からしてみれば当たり前のように思えますが、学生にとっては親からしっかり「奨学金は借金だから返済の義務があるんだよ」と教えられていなければ、返済義務があることすら知らないという現実が以下のグラフになります。3.返済ができているか声をかける
奨学金の返済期間は10年超と長期にわたることが一般的です。その間、離職や転職、結婚、出産といった生活の変化が起こることでしょう。奨学金返済を延滞した理由の80%は「収入が減った」ことです。仕事や生活環境の変化時や、1年に1~2回は必ず「奨学金の返済はできているの?」と声かけをして、返済が終わるのを見届けてあげましょう。4.「収入-奨学金返済-貯蓄=生活費」でやりくりする
就職活動時から、卒業後の収入と支出を予算化し、「収入-奨学金返済-貯蓄=生活費」ができるようにシミュレーションしておきましょう。給料をもらったら一番最初に奨学金返済やその他の借入れ返済、次に貯蓄、残ったお金で生活をするというお金の使い方の優先順位を必ず守るようにします。5.奨学金を返還しているつもりで先取り貯蓄
奨学金の返還は卒業後すぐではなく、10月から始まります。10月まで返還がないからとお金を使ってしまうのではなく、返還しているつもりで先取り貯蓄を始めましょう。貯蓄は日々の生活に安定をもたらし、もしもの時の強い味方となってくれます。また、10月から返還がスタートしても貯蓄も並行しておこないましょう。6.最悪の場合も想定しておく
そもそも、返済能力があるかどうか測れない高校生の時点で、奨学金利用を決定するわけですから、もしかしたらスムーズに就職ができないなどの理由で奨学金の返済が難しいケースもあるでしょう。多くの場合、連帯保証人は親ですので、子どもの代わりに奨学金を返還する覚悟をもっておきましょう。お金に関しては「最悪」の場合を想定しておくことも、リスク管理という意味でとても大切です。いかがでしょうか? 親子で奨学金について知識をつけることがまずは第一歩といえるでしょう。
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