今どきの缶コーヒー、振るの? 振らないの? どうするの?
缶コーヒー、振る・振らない問題
ところが最近は、缶に『振らないでください』と書いてある缶コーヒーを見かけることもあります。振ってからこの表示に気がついて、おあずけを喰らうことも時々あります。
振ろうか、振るまいか、悩みます。
そこで今回は、この1年間に当方が入手した缶コーヒー178本について、振る・振らないを見分ける条件を調査をしてみました。
缶内の圧力は「陰圧」? 「陽圧」? そこがポイント!
陽圧缶のアルミ缶(上)のみ缶底が弧状になっている。下2本は陰圧缶(TULC缶・スチール缶)
振れる缶コーヒーは缶の内圧が陰圧(外気圧より低い圧力)になっています。陰圧にする理由は、レトルト釜による加熱殺菌を行うためです。そうしないと加熱で缶の中の空気が膨張し、缶が変形してしまうからです。
振ってはいけない缶コーヒーは缶に窒素ガスを充填し、内圧を陽圧(外気圧より高い圧力)にしています。そのため、缶を振ってしまうと内圧が上がってしまい、開缶すると中身が噴き出てしまいます。
陽圧缶の場合、レトルト釜による加熱殺菌と、缶底が平らではないので叩いて缶の膨張や内容物の漏れを調べる『打検』(だけん)と呼ばれる検査ができないことから、加熱殺菌した内容物を充填したり、HACCP(ハサップ)と呼ばれる総合衛生管理を行うことにより食品の安全性を確保しています。
缶の材質・形状は?アルミ缶・TULC缶・スチール缶による違い
アルミ缶・TULC缶・スチール缶
陰圧缶の場合、缶に剛性が無いと凹んでしまうため、スチール缶を使用します。スチール缶には底が白い缶をときどき見かけますが、これは東洋製罐のTULC(タルク)と呼ばれる缶です。この缶は製造時の環境負荷を大幅に低減した缶で、白い色は熱圧着されたポリエステルフィルムの色です。
陽圧缶の場合は、内圧を利用して強度を保つことができますので、スチール缶よりも柔らかいアルミ缶を使用することも可能です。
最近の飲料缶はアルミ缶を使用した品が多くなっていますが、これはスチール缶に比べアルミ缶のほうが軽いので、輸送時にかかるエネルギーが少なく済むというメリットがあります。また、アルミ缶から再生地金を作るエネルギーが原料のボーキサイトから製造する場合のエネルギーの3%で済むことも、アルミ缶使用のメリットといえるでしょう。
缶コーヒー178本による集計調査結果!
今回調査したノーマル缶の一部
対象は、この1年間に当方が入手した缶コーヒー178本です。これらを、プルタブのついている一般的な飲料缶(以下『ノーマル缶』と記す)と、ボトル缶に分けて集計を行いました。
■ノーマル缶の集計結果
まずはノーマル缶です。缶の種類別ですと、アルミ缶は振らないか、軽く振るかのどちらか、スチール缶は振ってよいのがわかります。しかし、TULC缶については軽く振る・振る・よく振るの3種類があり、判断に悩みます。
振ってはいけないUCCブラック無糖
■ボトル缶の集計結果
ボトル缶・飲み口の口径の違い(超広口・広口・狭口)
アロマックス(ポッカサッポロ)
結論:ノーマル缶=ほぼ振っていい、ボトル缶=ほぼ振っちゃだめ
今回の集計結果をまとめますと、概要は見出しのとおりですが、詳しくは以下の内容となります。- 振ってはいけないノーマル缶:UCC『ブラック無糖』のみ
- 振ってはいけないボトル缶:ポッカサッポロ『アロマックス』以外のボトル缶コーヒー
- メーカー別の特徴:コカ・コーラとダイドーの製品は軽く振ってよい
今回は缶コーヒーのみでしたが、茶飲料や果汁飲料などコーヒー飲料以外でも振ってよい・振ってはいけないという分類ができると思います。お子さまの夏休みの自由研究にいかがでしょうか。
【参考Webサイト】
東洋製罐
アルミ缶リサイクル協会
公益社団法人 日本缶詰びん詰レトルト食品協会