「ED治療薬は心臓に悪い」は迷信
「ED治療薬が心臓に悪い」というのは迷信。心臓病の薬と併用することこそが危険
最初のED治療薬はもともと高血圧の薬として開発されていたものです。ところが、本来の目的よりも勃起作用のほうが注目されたため、ED治療薬という新たな使命を帯びて世の中に登場しました。
確かにED治療薬を飲むと血管が広がるため、動悸がしたり、心拍数が増えたりします。しかし、それは心肺機能が高まった結果であり、決して心臓に悪さをしたり、負担をかけたりするものではありません。要するに、ED治療薬が悪いのではなく、ニトログリセリンなどの硝酸剤と併用することが危険なのです。
残念ながら絶対に使えない硝酸剤服用者
では、どうしてED治療薬と硝酸剤を併用することが危険なのでしょうか。その理由は2つの薬に共通する働きにあります。ED治療薬は血流をよくするために血圧を下げます。硝酸剤にも血管を広げる働きがあるため、一緒に飲むと急激に血圧が低下し、時に重い副作用を招くことがあります。ですから、心臓病などで硝酸剤を使用している人はED治療薬を使うことができません。硝酸剤には飲み薬だけでなく、舌下錠、貼り薬、吸入薬、注射、塗り薬、スプレーなど、さまざまなタイプがあります。一見しただけではわからない形状や使用していることが判断できないものもあるため注意が必要です。
自分が使っている薬に硝酸剤が含まれているかどうかは、医師または薬剤師に相談することが大切です。万が一、ED治療薬の服用後に狭心症の発作が起きても硝酸剤は使えないので、発作の治療を受ける場合はED治療薬を服用していることと、服用した時間を医師に伝えるようにしましょう。
硝酸剤服用以外にも注意が必要な人も
心臓病の治療などで硝酸剤を服用している人以外にも、ED治療薬が使えない人はいます。例えば、心血管系障害などで医師から性行為を控えるように言われた人、不安定狭心症のある人または性交中に狭心症を起こしたことのある人などです。最近3カ月以内に心筋梗塞を起こしたことのある人、最近6カ月以内に脳梗塞や脳出血を起こしたことのある人、コントロール不良の不整脈のある人、低血圧症の人、コントロール不良の高血圧症の人、重い肝障害のある人、網膜色素変性症の人も残念ながらED治療薬を服用することができません。
しかし、逆に言えば、こうしたことに当てはまらなければED治療薬は安心して使える信頼性の高い薬であるということです。
より実感を得たいのであれば、リラックスした状態で
ED治療薬はリラックスした状態で服用すると、より効きやすくなる
しかし、ED治療薬の服用に伴う副作用はいずれも軽く、かつ一時的なことが多いため、そこまで気にする必要はないでしょう(もちろん、気になる症状が出れば、きちんと医師に診断してもらいましょう)。
ED治療薬による副作用にはほてりや鼻づまり、頭痛、下痢、軽い色覚変化などがあります。服用して効き始めのころに顔のほてりを感じることがありますが、これは付随作用の一種でお酒を飲んだときに顔が熱くなるようなものです。頭痛や下痢は頭痛薬や整腸剤を一緒に飲めば防ぐことができます。
副作用ではありませんが、神経質でプレッシャーに負けやすい人は精神安定剤と併用するとよいでしょう。リラックスした状態のほうがED治療薬はより効きやすくなるからです。
以上、都市伝説的に残る「ED治療薬は危険」の背景と、どのような点に注意すればいいか紹介してきました。いずれにせよ、きちんと医師の判断のうえ服用し、考えられるリスクを避けるためにも気になる点があれば個人で勝手に処理することなく、きちんと医師の指示をあおいでください。
>>ED治療薬と一緒に飲んではいけない薬