多くの人が見守った海老蔵さん・麻央さんの夫婦愛
その人生は私たちに「愛」を教えてくれました
麻央さんの癌を、海老蔵さんが記者会見で公表したのが2016年6月のこと。
その後、2016年9月に麻央さんはブログ「KOKORO.」をスタートさせます。
「ブログという手段で陰に隠れているそんな自分とお別れしようと決めました。」
という決意のもとにはじめられたブログには、がんと戦う自分のありのままの姿や、家族及び周囲の人々への愛や感謝の気持ちが率直につづられていました。
同じくブログに、家族や妻への愛を率直に綴る海老蔵さんとのブログを通じた夫婦のやり取りに、多くの方が感銘を受けたことでしょう。
小林麻央さんの死去を受けて、私のところにも、多くの取材の方からの質問が寄せられました。
「海老蔵さん・麻央さんの二人の夫婦愛についてどう思われますか?」
「麻央さんのお見せになった特別な夫婦愛は、彼女のどんなところから生まれたと思いますか?」
「どうやったら、市川海老蔵夫妻のような素晴らしい夫婦になれるでしょうか?」
……などなど、多くはお二人の夫婦愛のすばらしさに感動し、お二人を普通とは違う稀有な存在だとだととらえている記者の方が多かったです。
確かに、お二人は著名人という立場にあり、みずからのブログやニュースなどを通じてその言動が報道されることで、「理想の夫婦」「完璧な夫と妻」というイメージが爆発的に広がりました。私はどちらともお目にかかったことはありませんが、お二人共素晴らしいお人柄で、素敵なご夫婦であることは間違いないと思います。しかし、決して普通の人とは違う、特殊な存在ではないと思っています。
どんなご夫婦も「えびぞうさんとまおさん」
どんなだんな様の中にも海老蔵さんはいます。どんな妻の皆様の中にも麻央さんはいます。
どんなご夫婦も実は「えびぞうさんとまおさん」なのです。
でも、残念ながら私たちは、日々目の前にあるものが、永遠にそこにあると錯覚しがちです。本当はだれ一人として明日の命など保障されていないのに、明日は突然パートナーとの別れが来るかもしれないのに、そんなことは忘れて日々を過ごしています。
そして、目の前にあるものが、限りある存在で永遠ではないと分かった時、あるいはそれを失ってしまって初めて、その大切さに気付くのではないでしょうか。
どんなご夫婦だって、海老蔵さん・麻央さんのようにお互いに相手を思いやる気持ち・大切に思う気持ち・優しくいつくしむ気持ちを持っています。
誰の心の中にだって、えびぞうさん・まおさんがいるのです。
でも、パートナーがいることが「当たり前に」「永遠に」だと思ってしまうと、ついつい日常で愛を示したり、感謝を口にしたりすることがおろそかになってしまっているだけなのです。
市川海老蔵さん・小林麻央さんご夫妻が命がけでみんなに伝えてくれた、温かい夫婦愛の形。
それを、まだ幸いにもこの世に生かされていて、まだパートナーに愛を伝えることができる私たちは、絶対に忘れずにいましょう。
大切な人に愛を伝える機会を見失わないように
海老蔵さん・麻央さんは特別な人ではありません。
みんなのなかにえびぞうさん、まおさん、がいるのです。
そのことを私たちに思い出させてくれた小林麻央さんの愛と勇気に心から敬意を表しつつ、ご冥福を心よりお祈りします。