アクシスシリーズの最新型・アクシスZが登場!
ヤマハのアクシスシリーズの最新モデルが登場しました。その名もアクシスZ。先代モデルはアクシストリート、その前のモデルは最後の2ストロークエンジン搭載車両のグランドアクシスになります。グランドアクシスやアクシストリートは、中古車市場にもそれなりに台数が出ているので町で見ることが多い車両です。
ヤマハの原付プロモーション担当・菊池さんによれば、アクシストリートは通勤の足に安い原付2種が欲しいという方が購入されるケースが多いとのこと。実際アクシストリートは、ヤマハのほかのラインナップに比べて価格はリーズナブルになっていました。
そうなると期待されるのは価格ということになりますが、ヤマハはアクシスZの心臓部にブルーコアエンジンを採用た。高燃費・高出力の優れたエンジンで、国内モデルはNMAXに搭載されており高い評価を得ています。
NMAXに搭載されているエンジンとは異なるものの、ヤマハの最新技術が投入されたアクシスZ。ただ安いだけのスクーターのわけがありません。
早速アクシスZを都内の通勤に使ってみたので、試乗インプレッションをお送りします。
まずはアクシスZの装備をチェック
アクシスZの装備の中で、まず注目すべきは前後に10インチのタイヤを採用しているということ。原付2種カテゴリで10インチタイヤを採用している車両と言えば、スズキのアドレスV125シリーズ。車体が小さく、小回りが効く同車と印象は近いような気がします。原付2種クラスになると12インチ以上のタイヤサイズを採用していることが多く、10インチを採用する車両は軽く小回りがきくことを重視する車両だからです。
車体重量はアクシスZが100kg。アドレスV125Sが101kgなのでほとんど変わりません。ただ馬力面でみると、アクシスZが8.2PSなのに対してアドレスV125Sは9.9PSなのでアドレスのほうが優れているといえます。
その代わり燃費はアクシスZがWMTCモード値で55.7km/Lなのに対して、アドレスV125Sは42.6km/Lと大幅に差がついています。パワーを優先するか燃費を優先するか、違いがはっきりと出ています。
アクシスZのユーティリティ面を見てみると、シート下トランクスペースはなんと37.5L。同じヤマハのシグナスXが29Lであることを考えると、かなりの容量といえます。
しかし、アクシスZのシート下スペースは底が浅く入れられるものは限られる印象。私はMサイズのジェットヘルメットをふたつ持っていますが、ひとつは収まったものの、もうひとつは収まりませんでした。
給油口はハンドル下スペースにありますが、ヒンジタイプになっているので給油の際の利便性は高く、その下にあるフロントポケットにはグローブを一時的に入れたり、ペットボトルを納めるのに便利です。
ハンドル下スペースにはコンビニフックもついており、シート下トランクスペースと同時に使えばかなりの荷物が積載できそうです。
それと個人的にアクシスZの装備の中で便利に感じたのが鍵の部分です。アクシスZの鍵は集中キーとなっており、エンジンをかける際もシートを開く際も同じところに鍵をさして行います。
一般的にはエンジンオンの状態から左に鍵をまわすとシートが開く仕様が多いのですが、アクシスZは左にまわしても、右に回してもシートが開く仕様。これがどのようにメリットがあるかというと、鍵を左にまわすとエンジンはストップしてしまいますが、右にまわすとエンジンがかかったままでシートが開くのです。
シート下の物を出すのにいちいちエンジンを切らなければいけないのは、時として煩わしく感じることがあります。アクシスZのこの機構は、個人的に非常に素晴らしいと思いました。
装備面の使い勝手は非常に良いアクシスZ。それでは実際の走りはどうかをインプレッションします。
アクシスZはパワー感はないが乗りやすさは抜群
早速アクシスZを取り回してみると、スペック通りに抜群の軽さを体感できました。これならちょっとコンビニへ買い物に行くのにもまったく苦にならないでしょう。走り出してみると低速のパワー感はあまり感じられませんが、法定速度域までフラットに加速します。アドレスV125シリーズや現行のシグナスXのような元気のよい加速感はありませんが、シビアなアクセルコントロールが必要とされないので気軽に乗れる印象です。
10インチのタイヤを前後に装備しているので、ハンドリングもさぞかしシャープなのかと思いましたが、実際に乗ってみるとニュートラルで扱いやすい印象です。
前後のサスペンションは乗り心地重視のソフトなセッティングになっており、走行時の乗り心地が良いのはもちろんですが、街中でのコーナリング時にも素直で曲がりやすい特性を生み出しています。
ブレーキはフロントがディスクブレーキで、リアはドラムを採用。ブレーキキャリパーは新ブルポッドのシンプルな装備ですが、軽量な車体ゆえに必要にして充分。タッチもハードすぎず扱いやすい印象です。
総じて目立ったひとつのキーワードは「扱いやすさ」という点です。走りやすく、曲がりやすく、止まりやすい。バイクの全ての動作がライダーに負担をかけません。
過剰な性能はないが通勤にちょうど良い一台
毎日バイクを通勤に使うとなれば、気になるのはランニングコスト。アクシスZのタイヤサイズは前後共に100/90-10。このサイズは他の車種でも使われているサイズなので選択肢の幅も広く価格もリーズブルです。燃費性能も非常に優れており、装備もシンプルなので修理や前述したタイヤのような消耗品の交換費用も安く済ませることができるでしょう。
日本の市場ではコストパフォーマンスに優れた車両よりも、多少高くとも性能に優れたモデルの方が受け入れられやすい特徴があります。
ヤマハで言えばシグナスXやNMAXのほうが販売台数は伸びると思いますが、扱いやすさ気軽さで言えばアクシスZのほうが優れているといえるでしょう。
とくに原付2種初心者の方や、スピードや性能を重視しない方なら扱いやすさは原付2種クラスの中でもトップクラスですのでオススメです。
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