10年で株価10倍となった南米の楽天

南米の楽天6年前に買ってたらどうなった?などで何度か、米国に上場しているアルゼンチンのeコマース企業、メルカド・リブレ(MELI)をご紹介してきました。一番最初にご紹介したのが2010年8月でしたので、かれこれ約7年経過しました。
業績は順調に拡大中!

業績は順調に拡大中!

アリババと同様のマーケットプレイス方式の運営を行う同社の業績は、引き続き順調に拡大を続けています。同社の長期的な株価上昇の原動力は変わらず、それはネット通販が「中南米」で拡大し続けるというシンプルかつ当然の理由です。アマゾンの場合は、同じ理由が「世界中で」ということになります。

ITバブル期に米国留学し、ネット通販やインターネットの萌芽を目の当たりにした同社創業者は、「何か物凄いことが起きようとしている」との感覚を得てこの事業をアルゼンチン帰国後すぐに模倣しました。黎明期にいち早く起業したことと、eBayから資金を調達して進めたところが中国におけるアリババと似ています。アリババの馬会長も中国で先行して同じ事業をはじめました。当時同じ発想を持つ人は他に沢山居たでしょうが、運良くソフトバンクから多額の出資を受けたことが最大の成功要因だったと思います。後は時代の波が事業を自然と後押ししてくれます。

中南米ではネット通販に大きな成長余地がなお残っている

10年で株価10倍となった南米の楽天!中南米ではネット通販に大きな成長余地がなお残っている

10年で株価10倍となった南米の楽天!中南米ではネット通販に大きな成長余地がなお残っている

「ネット通販は既存の小売り事業を凌駕していく」(米国では大手百貨店、量販店が続々と閉店し、株価も下がり続けています)というシンプルな事実が、アマゾン、アリババ、メルカドリブレの長期投資理由になってきました。小売業に落ちていた富がネット業者に移転しているのです。しかも一等地に実店舗を持つよりも、ネット上でクラウド運営すれば各段にコスト抑えられ、儲かるのです。

同社事業地域の最大はブラジルで、2位は本社のあるアルゼンチンです。これら二国で売上の約8割を占めます。ブラジルは、世界のGDPトップ10のうち唯一アマゾンが進出していない国であり、この事で中南米でネット通販といえば同社が圧倒的な強みを持ちます。3位以下にメキシコ、ベネズエラが続きます。

6億人の暮らす中南米では、ネット通販は小売り市場全体のまだ3%と、中国の20%に比べ大幅に出遅れています。その分同社の規模、時価総額も数十兆円のアマゾン、アリババに比べて格段に小さいのですが、中国の10年遅れという目線で長期的な伸びしろを見て行きたいところです。いずれ中南米で3%という数字は15%を超えて行き、この時最大勝者(10年後はアマゾンが支配している可能性もあります)の時価総額は低く見ても数兆円から10兆円ほどになっているでしょう。

顧客の利便性向上のためにバランスシートは急拡大

顧客の利便性向上のためにバランスシートは急拡大中

顧客の利便性向上のためにバランスシートは急拡大中

バランスシートは、直販型のアマゾンに比べて小さくて済むものでしたが、ここ3年で売上以上の急拡大を見せています。南米でも競合が激しくなっており、価格、サービスでアップグレードが求められています。この為、同社も出展者にネットモールの賃料(出店料)を取ることを止め、アマゾン・マーケットプレイスのような成功報酬型とし、また送料無料サービスを一部地域で開始するなどしています。

顧客の利便性向上のためにバランスシートも拡大させ、設備を充実させて行く必要があります。損益面ではコスト増加につながり、粗利益率も低下していますが、サービスが受けて売上高を急伸させているところです。
依然としてマーケットプレイスからの手数料収入が大きく、フリーキャッシュフローが生まれ続けている

依然としてマーケットプレイスからの手数料収入が大きく、フリーキャッシュフロ-が生まれ続けている

設備投資を含む資本的支出は拡大しているのですが、依然としてマーケットプレイスからの手数料収入が大きく、フリーキャッシュフローが生まれ続けています。営業キャッシュフローは売上高の22~35%ほどで推移しており、純利益利率(16%ほど)よりも大きく、余裕のある財務内容です。ROEは多くの年で30%を超え、昨年は35.5%と非常に高いものでした。資産回転率は低下しているのですが、負債の水準が増えて財務レバレッジが掛かっていることもROEを押し上げています。

2017年1-3月期は大きく成長率が加速

直近1-3月期は大きく成長率が加速

直近1-3月期は大きく成長率が加速

2017年1-3月期は大きく成長率が加速しました。売上高は前年同期比+73.8%増の274百万ドルに、粗利益率は減速傾向続くも61.3%の高水準、純利益は+60.4%増の49百万ドル、一株利益+61.8%増の1.10ドルでした。売上成長率はここ数年で最も高いものとなっています。2015年を成長鈍化の底として、以降徐々に加速してきている様子です。送料無料サービスが功を奏してきている模様です。

売上高は市場予想平均を+11%超過し、一株利益は同+39%も超過して着地しました。ここ数年、市場予想を上回って着地することが常態化している同社ですが、今回は一段と大きな上振れとなり、株価は発表直後の1週間で+22.3%高ともなりました。

売上ベース(手数料)でなく、同社サイト上で売買成立した総取扱高ベースで見ると、1-3月期に前年同期比+38.6%増となる5,320万アイテムが取引きされ、同+31%増(為替調整後)となる2,334百万ドルの取扱高となりました。金額の伸び率は15年以降最大となっているのが分かります。

長期的な魅力は変わらないが、短期的な株価は再び過熱ピークに

アリババの「アリペイ」のように「MercadoPago」という決済サービスも行っている同社の決済サービス総額は、+89.0%増の2,601百万ドルと大きく成長しています。マーケットプレイスでの決済だけでなく、他のサイト上の取引決済にも利用が進んでいる模様です。決済のほか配達や広告などの付随サービスも行っており、それぞれ収益増に貢献しています。

好決算と株価上昇を受け、同社に対する強気見方もピークに達し、目標株価の上方修正も相次ぎました。こうした事は過去もあったのですが、意外にこのあと成長スピードが期待に比べて鈍化するということも、アマゾンにおいて繰り返し見られてきたことです。アマゾンと同様に同社も最近競争に勝つためのサービス拡充を図っており、それなりのコスト増に繋がるはずです。売上成長加速と引き換えに一時的な利益を犠牲にすることもあるでしょう。

結局、アマゾンや同社のような長期に有望な銘柄は、長期的には自然と高値を更新して行くのですから、下がったところで買うのが得策と思います。長期上昇銘柄を短中期の底で買う戦略です。特にネット通販比率が急上昇するフェーズでは、成長と一時的な利益の犠牲が綱引きのように進んで行くもので、下がる場面は必ず来ると思います。またアマゾンが遂にブラジルに進出するという噂もあり(同地で人材募集を開始)、ニュースが出れば株価の下押し材料になりえます。
ダブルボトムを形成し、教科書通りフォーム真ん中高値を上へ抜けたところがブレークポイントとなり、一段高態勢に

ダブルボトムを形成し、教科書通りフォーム真ん中高値を上へ抜けたところがブレークポイントとなり、一段高態勢に

週足チャートは、15年夏場~16年初めの世界的な相場調整時にダブルボトムを形成し、教科書通りフォーム真ん中高値を上へ抜けたところがブレークポイントとなり、一段高態勢に入りました。その上昇波動もブレークポイントから2倍を雄に超えてきています。流石に短期的に過熱感もあります。しかし、平均線まで下がったところはエントリーすべき好機になると思います。

参考:米国株通信

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