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優れた投資家が持っている記憶力と記録力

投資で勝つために必要なスキルは、いろいろあります。中でも必須だと思うのは、記憶力です。優れた投資家は、どんなことを記憶しているのでしょうか?そして、それを真似るために、私たちにできることはどんな習慣でしょうか?

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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投資には特定のスキルが必要です

これまで、お金のトレーニング講座として、投資力の中身を、分解してご案内してきました。数学力、読解力、歴史観、比較力、英語力、切換える力、信じる力、疑う力、決める力、選ぶ力、耐える力、貫く力、抑える力などなど、投資には、本当にいろいろな力とスキルが必要となります。中でも重要だと思うのは、記憶する力です。

投資に必要なスキルとは

投資に必要なスキルとは



トレードであれ、長期投資であれ、どんな一流投資家にも共通しているのは、過去のことをよく覚えているという強みです。いわゆる記憶力が良いということ。どんなことを覚えている人の投資力が優れているかというと、主に次の三点に集約できます。

一流の投資家は過去のチャートを覚えている

暴落が始まったとき、大底を打ったとき、強気相場が弱気に転じたとき(またはその逆)に、どんな値動きをしたのかを、チャート上のロウソク足や移動平均線で覚えています。これはテクニカル分析の中でも、チャート分析による図解的手法と呼ばれるものです。

今では、コンピューターで自動的に数値分析をする手法が様々ありますが、どれも完璧ではありません。人間の直感や記憶でしか切り分けられない情報もあります。コンピューターを活用しつつも、自分の脳みそのなかに、判断の基準となるデータの蓄積があることは、優れた投資家に共通しています。

一流の投資家はイベントが与えた影響を覚えている

株価は、世界のイベントの影響を受けて、大きく動きます。1929年の大恐慌のとき、1987年のブラックマンデーのとき、2008年のリーマンショックのとき、イベントが株価はじめ資産価格に与えた影響を覚えている人は大勝します。

そこまでの大イベントだけでなく、並みのイベントがマーケットに与える影響を覚えておくことも大切です。たとえば、中央銀行が金利を上げたとき、為替介入が行われたとき、選挙により政権が変わったときなどに、マーケットが示す激変も、実はパターンの繰り返しに過ぎなかったりします。

あるいは、JALのような大企業が破たんしたとき株価はどう動いたか?スキャンダルにより評判を落とした企業の株価はどんな軌跡を残したのか?業績好調で自社株買いにまい進すると株価はどう動いたのか?これらの記憶があると、判断が速くなり、未来への展開が読みやすくなります。

一流の投資家は、感情の揺らぎを覚えている

株価は物理学の法則で動いている、イベントは経済学のルールに基づき株価に影響を与えている。こう書くと、株価変動は、天候や潮汐のように人智で予測可能と思いこみかねません。

しかし、さにあらず。株価や資産価格が、自然科学の法則と違ってランダムなのは、そこに人間心理というスパイスが効いているからです。ですから、過去のチャートやイベントを覚えているだけでは十分といえません。一流投資家になるには、人間心理に対する記憶も追加される必要があります。

人間心理には、2種類あります。一つは、大衆(世間)の心がどう動いたのかということと、二つ目には自分の心がどう動いたのかという履歴です。言い換えれば、その時代が持つ空気や感情の変化と自分の内面的な感情の揺らぎです。そして、その心の衝動が、どんな結果を招いたのかも、覚えていれば鬼に金棒です。

記憶力に自信がないという人におススメしたい習慣作り

このように、優れた投資家は、3つの分野で記憶する力を持っています。記憶力に自信がない人は、自分には投資は無理とあきらめるかもしれませんが、そうとも限りません。記憶力がある人は先天的にそうなのではありません。記憶力がある人は、覚えるための努力を工夫をしています。だれでも、努力と工夫により、記憶力を向上させることはできます。

記憶力を高めるための、一番確実な方法は、記録を取ることです。投資の結果と経過をマメに記録する工夫と努力を続けられれば、記憶力はついていきます。上の記憶すべき3つの分野にならっていえば、記録も次の3つの分野で取っておくことをオススメします。

1、相場を象徴するチャート集 
必要に応じて、5分足、時間足、日足、週足で、チャートをプリントして保存しておく。自分だけの、シンボリックなチャート集です。生涯の羅針盤となるはずです。

2、イベント後のデータ集
イベントがマーケットを揺るがしたときの、新聞記事や解説記事。さらに、その影響を知りうる数値のデータ(たとえば、株価変動、為替変動の数値)と共に、保存しておく。騰落率などのデータ集です。

3、投資日誌
マーケットが動いたとき、人はどう動いたかという記録。大衆はどう動いたかという記録と自分がどう感じて、どう行動して、どんな結果を招いたかという記録。

記憶力を養うために、記録をつける。こんな習慣をつけると、あなたの投資力は向上するはずです。お金を増やすリソースを、自分の中に育んでください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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