ビットコインとは
ビットコインは、ブロックチェーンという新技術によって生まれた「仮想通貨」の1つです。サトシ・ナカモトを名乗る人物によって投稿された論文に基づき2009年に運用が開始されました。現在、世界での利用者は2000万人、時価総額は2兆円を超え、仮想通貨全体の7割を占めるまでになっています。「取引所」を通じて購入し、ネット上の専用の電子財布「ウォレット」に入れて、保管することもできます。パソコンやスマホに「ウォレット」のアプリを入れておけば、物やサービスを買う際の決済手段として、いつでもどこでも使えます。
一方で、ビットコインは、その値動きの激しさから投資対象としても人気があります。4月には金融庁が取引所に登録制を導入し、7月からは購入時にかかる消費税も不要となります。使える店舗も増え、加速度的に普及することが予想されます。
メリット
ビットコインの最大の特徴は、日本銀行や米国のFRBのような中央銀行にあたる管理機関がなく、国によるコントロールも受けないので、世界中どこでも同じように使うことができます。中央銀行の金融政策によって通貨の発行量がコントロールされている日本円や米ドルなどの法定通貨とは大きく異なります。コンピュータのネットワーク上に参加している人たちみんなで管理していきますので、「民主的な通貨」とも言われています。
個人間で送金を行う場合、銀行を仲介する必要もなく、直接支払うことができます。さらに電子データであるために迅速に世界中に送金することが可能です。また手数料は無料か格安になります。海外旅行の際にも、両替といった煩わしさもなく、世界中で利用できます。
デメリットと注意点
デメリットもあります。決済手段として使う場合、ビットコインを取り扱っている相手としか取引できません。国内でも取り扱い店舗は徐々に増えてきていますが、現状ではまだ限られています。また、価格の変動が激しく、投機的な側面があり、決済手段として向かないといった意見もあります。国による価値の担保もありませんので、システム上の欠陥(バグ)が見つかった場合や、各国の規制やルール作りの影響により、ビットコインがその価値を大きく失った場合、誰も保証してくれません。全ては自己責任となります。
ビットコイン投資を騙った悪質業者による投資勧誘などトラブルも問題になっています。
投資対象としてのビットコイン
投資対象としてのビットコインをみてみます。ビットコインはあらかじめ発行量の上限が決まっている「有限」の通貨です。2100万枚発行された時点で打ち止めになります。計算上は2141年に全てのビットコインが発行済みとなります。有限で希少価値が高く「デジタル・ゴールド」といわれるように、金(ゴールド)に似た資産ともいわれています。
ビットコインの価格は、為替や株のように、「売りたい人」「買いたい人」の需給関係で決まります。今後も上昇が続くと思っている人が多くいれば、価格は上がり続けます。
販売所や取引所を通じて円と交換することで手に入れることが可能です。取引単位は、販売所・取引所によって異なりますが、0.0001BTC(ビットコイン)のところもあり、100円以下でも取引が可能です。
投資対象として考えた場合、「そもそもビットコインは信用できる通貨なのか?」が重要です。2014年に、ビットコインが消失したマウントゴックス事件があり、ビットコインに対する盗難や偽造のリスクが問題視されました。しかし、この事件は同社固有の問題であり、ビットコインの技術面に問題があったわけではありません。ビットコインは「民主的なお金」で、複数の人でお互いに承認し合って初めて取引が成立するため、不正をすることはむしろ難しいと考えられています。
ビットコインに投資する目的は2つ考えられます。
1つは、値動きの激しさを利用して安くなったときに購入し、高くなったら売却して値上がり益を狙うことです。365日24時間、土・日も取引できることや、レバレッジ取引も可能なことから、FXと同じように短期的な利益を狙う投資家も多くいます。
一方で、発行量の上限があるというビットコインの希少性やグローバルな通貨という特徴から、分散投資先の1つとして考えることもできます。これは、決済もできる金(ゴールド)という位置付けになります。
ビットコインは、法整備が進み、安心して取引できる環境になれば、利用できる場所も増え、認知度が広がると予想されます。現段階では、国内の店舗では、外国人の利用がほとんどですが、2020年の東京オリンピックに向けて、加速度的に普及するのではないでしょうか。投資の対象としてみた場合は、取引の目的を意識して資産全体の中で無理のない範囲で取り組むことが重要になります。