苦痛は嫌い、だけど逃げない!

人間、だれでも苦しいことや痛いことは嫌いです。できれば、楽に気持ちよく暮らしたいと思っています。しかし、現実には、苦痛を避けようとすることで、苦痛が繰り返し襲ってくるのもよくあること。そして、苦痛に向き合えることで、苦痛から解放されるという逆説が真実なのも人生です。

投資の苦痛をマネジメントする

投資の苦痛をマネジメントする



投資の世界でいえば、苦痛とは損をすること。それから、正しいタイミングが来るのを、ジリジリと待つこと。そして、早く利益確定したい焦りを抑えることです。

苦痛を避ける人、向き合える人

この3つの苦痛を避けたいと思う人は、苦痛を避けた代償として、快楽や収穫にあずかれません。結局は、期待した成果が得られずに、苦痛が継続することになります。これは拷問のごとしです。

その反対に、この苦痛に前向きに取り組む(逃げない)ことで、人は投資家として、成長し、成熟します。苦痛を克服できるのは、苦痛を耐えるロジック(理屈)を頭に叩き込むことであり、相場に対して沸き起こる感情的な(無意識的な)反応を、無視できるようになることです。

では、投資において、苦痛と向き合うとは、どういうことでしょうか?

投資における3つの苦痛

投資を始める人に、私はいつも次の3つを強調してきました。

・損をしない投資はない
・直線的に利益が増えることはない
・損を耐える抵抗力は、経験に比例する

リアルな金融市場では、下落(ドローダウン)があるから、上昇があります。一時的に、損が出ることは、公正な市場で闘っているかぎり、仕方がないことです。

逆に、一時的な損の報酬として、爆騰やラリーが存在します。そもそも、一時的な損すらしたくないという人は、投資などしてはいけません。

苦痛を克服する3つの対策

損失に耐えるための第一の対策は、予測を立てることです。この投資では、最悪このくらい資産が減る可能性があるという認識です。そして、それに耐える覚悟を最初にしておくのです。

損失の予測値を超えたときは、損切りをするポイントです。この想定を、「リスク許容度の把握」と専門的にはいわれています。ぜひ、損失の予測と、損切りポイントの決定をしてから、投資を始めてください。

貯蓄や保険のように、直線的に利益がでることがないのが、投資なので、上記のリスク許容度の把握と損切りポイントの設定ができた人は、日々の運用成果を見ないことをおススメします。

あなたが運用成果を見ていて、結果を変えることができるのであれば別ですが(そんなことはウォーレン・バフェットにもできません)、そうでないならば、ハラハラドキドキして、途中で余計なことをしてしまうのがオチです。たとえば、損切りポイントの到達以前に、手仕舞って逃げてしまったり、ナンピン(追加投資)をして過分なリスクを負うことです。

運用資産の値動きをリアルタイムで監視することは、メリットよりもデメリットの方が多い。ですから、十分に分散された長期投資をしている人なら、運用成果を見るのは、年に一度くらいでよいでしょう。

損失を予測する、取引ルールを決める、そうしたら、放置しておく。こうした手法で、市場の大きな下落(ドローダウン)を乗り越えられた人には、大きな報酬が与えられます(リバウンド)。

苦痛に対する心の抵抗力を高める

苦痛をマネジメントして、ドローダウンを克服できた人には、二次的なの恩恵として、苦痛に対する心の抵抗力というボーナスが与えらます。なぜなら、二度目の下落では、あなたのポートフォリオはもうマイナスにはならないからです。

たとえば、100万円投資していて、一時的に80万円に減りました。そこをこらえてみたら、次のピークは150万円に来ました。そこから、二度目の下落が20%来たとしても、今度は時価は120万円に踏み止まります。つまり、最初の苦痛を耐えたことで、次からは投資元本を割らなくなるのです。

余裕ができた人は、そこで追加投資をすれば、さらに効率を上げることができます。下がったら逃げるのではなくて、下げたら買う、下げたら買うを繰り返すのです。

ただし、繰り返しますが、これは十分に分散した長期投資家だけに当てはまることです。特定の銘柄や通貨に絞った集中投資をしている場合には、下げて買うほどに損が膨らむことがあります(いわゆる”下手なナンピン、スカンピン”)。下げてから、上昇するまでに時間もかかりますから、すぐに成果を出そうとする人にも、押し目買いは勧められません。

投資行動から生まれる苦痛とうまく付き合って、苦痛を感じなくレベルに到達するまで、トレーニングを続けてください。
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