突然打ち明けられる、過去の傷つき

親子

子どもから「傷つき」について打ち明けられるのは、それだけ信頼されているということです。

「実はあの頃こんなことがあったんだよね」子どもがふと、過去の傷つきについて話し始めることがあります。いじめだったり、友達や先生とのトラブルだったりするかもしれません。あるいは、暴力被害や、親の言動に傷ついたといったことかもしれません。

そんな時、親はどういった対応をすればいいのでしょうか。


NG対応1「なんでその時言わないの」

今更どうにもならないこともあるでしょう。前のクラスであったこと、とか、その後になんらかの選択を経て今がある場合など、その時に言ってくれれば一緒に考えることもできたし、別の対応をしていれば、今とは違う状況になっていたかもしれないと思うとき、じれったい思いを抱いてしまうかもしれません。子どもの置かれていた状況や子どもの気持ちに気づけなかった自分自身への歯痒さから、つい「どうしてその時言ってくれなかったの」と言いたくなってしまうかもしれません。

でも「相談せずに自分だけで処理する」というのは、その時その子が、最善の方法だと思って、あるいは色々考えた末にそうするしかないと思って、自分で決めた行動だったのです。

色々な思いがあったことでしょう。心細かったかもしれません。親として、人生の先輩として「こうすればよかったのに」と思うことはあるでしょう。ですが、今更、しかも当事者以外の人間が、その時の状況を正確に把握するのは不可能です。その時ちいさな背中で自分の問題を自分で背負おうと決めた子どもの勇気を尊重し、ねぎらう気持ちを忘れないようにしましょう。


NG対応2「忘れてしまいなさい」

その時は言えなかったけれど今なら言えるということは、言葉にできるくらいに気持ちの整理が進んでいるということです。

それでも、話しながら涙があふれるなど、今なお残る子どもの心の傷つきを目の当たりにすると、早く立ち直ってほしいと焦る気持ちになったりします。

でも「あの時はつらかった」と親の前で泣けるようになったのだと、肯定的に捉えましょう。

「忘れてしまいなさい」と言うのは簡単です。子どももできるなら忘れてしまいたいと思っています。でも忘れられないから、打ち明けてくれたのですよね。

「忘れたいのに忘れられない」「許さなければと思っているのに許せない」そんなふうに思ってしまうとき、私たちは自分を情けなく感じてしまい、自分を責めて、なお一層つらくなったりします。

「忘れられなくて当然だよね」「許さなくていいんじゃない」そんな声がけもいいのではないでしょうか。「~できない自分」ではなく、「忘れない」「許さない」と決めた上で関わっていくという選択肢もあります。「許さない」イコール「復讐」ではありません。相手を傷つける行動を起こすわけではないけれど、「絶対に許さない」と、心の持ち方を自分で主体的に選択する、つまり「許さない自分を許す」ことによって、先に進めることもあります。


NG対応3「そんなふうに捉えるあなたが悪い」

自分の対応が子どもを傷つけていたと知った場合は「そんなつもりじゃなかった」と言い訳をしたくなるでしょうが、まずは傷つけてしまっていたことを謝りましょう。

今になって打ち明けられたのは、今の自分なら「わかってくれる」と思ってもらえたということかもしれません。少なくとも「わかってくれるかも」という期待があるということです。

傷つける気持ちなど全然なかったのに「傷ついた」と言われると親も傷つきます。ですが、そのショックから「そんなふうに捉えるあなたが悪い」と言ってしまうのは最悪の対応です。

気持ちにズレが生じてしまう場合、「伝える側」「受け取る側」双方に問題がある場合がほとんどです。ですから、そのズレがどうして生じたのか、それを話し合いましょう。

おともだちとのトラブルの場合も「そんなふうに捉えるあなたが悪い」というのは、相手の肩を持ち、子どもを責めることになってしまいます。「そんなつもりなかったんじゃない?」というのも、子どものつらさの行き場をなくしてしまいます。

まずは「つらかったね」と、子どもの傷つきを受け止め、「どうしてそんなふうに感じてしまったんだろう?」と聞くなどして、子どもの気持ちの整理を手伝えるといいですね。


できていることに目を向けよう

傷つきながらも、毎日学校に通い、勉強やスポーツを頑張ってきたこと。ごはんをしっかり食べてきたこと。相手に対して色々な思いを抱えながらも、関わってきたこと、仕返しをしなかったこと、いいところを見つけようとしてきたこと。それらを具体的な言葉にして「よく頑張ってきたね」とねぎらいましょう。

「死にたいと思ってた」なんて本音が語られるかもしれません。その時は「生きていてくれて本当によかった」「これからは、そんなにつらくなってしまう前に、話してね」と伝えましょう。

そういった局面を乗り越えてきたのは、その子の力です。「そのことから、何を学んだ?」「その経験が、あなたを成長させたところはある?」と聞いてみると、これまで知らなかった側面が見えてくるかもしれません。

「当時のつらさが100だとすると、今はどれくらい?」と数値化してみるのもいいですね。「全部はなくならないとして、これからどれくらい時間が経てば、いくつくらいまで減りそう?」と聞いてみてもいいかもしれません。

つらさが未だに高い数値で推移している場合や、楽になる見通しが立っていない場合は、トラウマがうまく処理できていなかったり、他に大きな傷つきが隠れていたり、うつ病などの可能性も考えられるため、心療内科の受診やカウンセリングなど、専門家の力を借りることも検討しましょう。


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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。