「夫の稼ぎで生活できる」からラク?
1980年からのデータですが、もしかしたら第一次産業の世界では、そもそも夫婦で仕事も協力しあっていたのではないでしょうか
それでも世界的に見ても専業主婦世帯が多い日本。それは、戦後復興を目指した政策として、専業主婦が優遇されるシステムを構築してきたためだといわれています。例えば、年金は妻自身が働かなくても配偶者が働いていれば受給でき、妻が働いたとしても103万円以内に抑えておくことで、夫の所得税は配偶者控除を得られます。しかし、少子高齢化を含めた複合的な理由により難しくなってきているのが現状です。
よく「年収600万円以上の人と結婚したい」という話が出ます。確かに専業主婦願望が強いならそのぐらいあると夫婦二人ならゆとりはあるでしょう。ただ、厚生労働省の資料によれば、平均年収600万円以上の収入があるのは、40~50代の男性。20~30代の男性では平均年収400万円台。「年収600万円以上」の男性との結婚は、あまり現実的ではなさそうです。
それでも専業主婦になりたいのなら、どこでどんな暮らしを求めているのか、各夫婦の考え方次第であり、やりくり次第ですが、「ラク」かどうかは別かもしれません。共働きの場合、お互いに「今ほどがむしゃらに働かなくてもいい」と思えたなら、少し気持ちはラクになるかもしれませんね。
子育てやママ友、専業主婦だとラク?
結婚式を挙げるまでは「結婚式」や「新婚旅行」をどうするかが目標になり、その後の実際の生活のことまで想像しにくいもの
はっきりいってしまえば、子どもが生まれた時点で「ラク」ではないかもしれません。代わりに「大変だけど幸せ」な時間が待っています。
専業主婦じゃなきゃ子育てと家事の両立は難しいのかというと、現在のような家電があれば、仕事と家事・育児は両立できると思います。要領よくできるか、完璧にできるかは別として。ただ、専業・兼業、どちらのほうが、ラクと感じるかは好みの問題であり、個人差がありそうです。
母親をするには「心のゆとり」が必要です。
働きながらの子育ては、子どものテンポを尊重するのが難しく、子どもの成長の様子を週末以外ゆっくり見られない寂しさがあり、思いがけない発熱ですぐに保育園から呼ばれバタバタします。
とはいえ、子どもと24時間向き合うことで精神的に追い詰められる場合もありますので、決して専業主婦の子育てが「ラク」とは言いがたいものがあります。また、ママ友達の影響を良くも悪くも受けやすいのも専業主婦のほうではないでしょうか。
「親元でのルール」から逃れられてラク
結婚したらラクになれる……と考えている人の理由は、経済以外に、「親のルール」から逃れられること、かもしれません。これについては、モラハラ男などと結婚しない限りは、確かに正解でしょう。しかし、結婚すれば親戚づきあいも当然増えます。ほかにも家事、家計、税金、年金、保険などの事務処理、自治会の役員など、自分でしなければならないことはいろいろあります。そこに子どもができれば、親としての役割とともに、さらにおつきあいや、PTA役員、子ども会の役員などの業務が増えることも覚えておいたほうがいいかもしれません。
男の勘違い「結婚」=「実家と同じだけラクできる」
専業主婦なら夫が稼いでくることに感謝を。夫は仕事に専念できる環境をつくってくれる主婦の妻に感謝を。どちらも兼業するのなら家事も一緒に。二人で家事をするのは楽しいものです
よくいわれる「セックスできるお母さん」を求める男性が、日本には多いようです。海外暮らしの長い女性たちによれば「日本の男性は海外で全く需要がない」のだとか。
「実家のような家庭にしたい」という思い。もちろん彼女も同意しているのならいいのです。でも「結婚」は二人のもの。
どちらの実家の良さも持ちよって「二人の理想の家庭」を再構築する作業が必要です。全く違う価値観、全く違う流儀を持ちより、文字通り「新しい家庭」を築くのが結婚です。「結婚前と同じ」がいいのなら、実家で暮らすことをお勧めします。「愛しい妻との甘い時間」が欲しければ、男性も変わる必要があるのです。
女のいう「三食昼寝付きで養ってもらえる」というラク。男のいう「母親のように世話をしてくれてなおかつ性的に満たしてくれる」というラク。そういう一方的な「ラク」を期待すると、ちょっとガッカリするかもしれません。
「結婚」とは「新しい家庭」を築くこと。決して「ラク」なことばかりではありません。
仕事と、家事・育児。どちらも背負ってきた身としては、夫は仕事、妻は家事と子育てと分業することは、お互いにとても支えになるとは思います。しかし、それも、お互いにそのことを相手に「感謝」できることが大前提です(これが難しい)。
でも、仕事が好きなら、仕事の量を調整して「細く長く」働き続けることをお勧めします。
シングルマザーさんの場合は特に、「ラクになりたいから」と経済的な援助に重点を置いて再婚してうまくいった話をあまり聞いたことがありません(皆無ではない)。再婚はさらに、「苦楽を共にしてでも、再び、夫婦という関係を育んでみたい」と思えるほど、大切だと思える相手に出会った方にのみ、筆者はお勧めします。