4月決算に注目の株主優待銘柄、エイチ・アイ・エス
このコラムでは毎月、決算期末を迎える上場企業の中から注目すべき株主優待をピックアップし、企業トップへの取材や国内外の取材で得たリサーチを交えながら独自の視点で解説していきたいと思っております。4月末に期末もしくは中間期末を迎える企業群から今回ご紹介したいのは4月に中間期末を迎えるエイチ・アイ・エス(東証1部・<9603>)です。
エイチ・アイ・エス(H.I.S)と言えば、皆さまもよくご存知の格安航空券付きツアーなどを販売している旅行会社です。国内、海外旅行事業の他、ハウステンボスなどのレジャー施設を運営しています。
H.I.Sの株主優待は、年2回(4月・10月)となっており、4月及び10月の権利付き最終日までに株式を購入する必要があります。ちなみに今年4月の権利付き最終日は4月25日(火)、10月の権利付き最終日は10月26日(木)です。以下に銘柄の概要をまとめました。
【銘柄データ】エイチ・アイ・エス 東証1部<9603>
【2017年3月25日株価】 2705円
【株主優待獲得最低投資額】 100株以上 27万500円
【今期予想現金配当(1株あたり)】 26円
【株主優待権利確定】 毎年4月末日及び10月末日
【今期予想PER】 13.85倍
【株主優待の内容】H.I.S.株主優待券
※100株以上・・2,000円分相当
500株以上・・4,000円分相当
1000株以上・・6,000円分相当
※保有する株式数によって内容は異なります。詳しくはHPをご覧下さい。
http://his.co.jp/ir/guide/index.html
優待券をフル活用すれば、合計9000円分もお得に
株主優待の内容は、H.I.Sが販売している旅行商品で使用できる割引券と、ハウステンボスやラグーナテンボスなど、レジャー施設の入場割引券です。H.I.Sの株主優待券見本(同社HPより)
この株主優待券は12,000円以上の旅行商品につき一枚(1,000円分)利用でき、24,000円以上の旅行商品では二枚(2,000円分)利用できます。
また、ハウステンボス及びラグーナテンボスの入場割引券は500円分の割引券となっており、一枚で5名(2500円分)まで利用可能です。
仮に100株を一年間保有し、4月と10月の年2回に株主優待を受けた場合、旅行商品で4000円分(2000円×2回)、レジャー(ハウステンボス&ラグーナテンボス)で5,000円分(2500円×2回)フル活用すれば、合計9,000円分もお得になるわけです。
但し、株主優待券及び割引券には使用期限がありますので、ご注意ください。
千葉県浦安市に「変なホテル舞浜 東京ベイ」を開業
さて、H.I.Sと言えば、つい最近も千葉県浦安市に「変なホテル舞浜 東京ベイ」を開業し、ニュースとなりました。すでに「変なホテル」は、2015年7月に1号棟(長崎県佐世保市)がオープンしており、受付やクロークを担当するロボット、お掃除ロボットなどで話題を集めていますが、2軒目となる舞浜のロボットホテルでも9種類、140体のロボットが投入されています。
私も早速、取材で訪れましたが、受付ではベロキラプトルのロボットが『いらっしゃいませ。タッチパネルをご利用ください』と話しかけてきてくれ、思わずびっくり!してしまいました(笑)。
その他、ロビーには、水槽の魚類ロボット、実物大のティラノサウルスの模型などがあり、利用者の目を楽しませてくれます。
すでに開業して一年半になる長崎県の「変なホテル」では、チェックインやチェックアウト、清掃に至るまでをロボットが行い、今やスタッフ人員はわずか7人。オープン当初の30人体制から大幅に削減、合理化されているのだそうです。
この舞浜のホテルでも、人間とロボットが融合して働く、様々な工夫がされていくのでしょうね。
もちろん、「変なホテル」への宿泊プランでも株主優待券は利用できます。
先日、日本記者クラブにてH.I.Sの代表取締役会長兼社長(CEO)澤田秀雄氏を取材した際、澤田会長は『細かいベッドメイキングなど、ロボットが完璧に出来るのは7割~8割、残りの2割~3割を人間がサポートする。そうすれば、10人必要な人手が2人ですむ。これは働き方改革にもつながる』と述べていました。
また、澤田会長は『ロボットホテルは格安観光需要に合っており、人出不足対策にもなる、「変なホテル」の「変な」には「変化する・進化する」の意味が込められているとのこと。今後は名古屋、大阪、東京、台北(台湾)、上海(中国)などにも進出する計画だ』と、今後の事業展開について熱く語っていました。
現在、H.I.Sは日本国内に295店舗、海外に66カ国(141都市)230拠点のネットワークを持っています。
そもそも、澤田会長のこれまでの足跡を辿れば、1980年に格安航空券販売を始め、1996年にはスカイマークエアラインズを設立し、2010年には 経営難だった「長崎ハウステンボス」を再建に向けて子会社化し、2012年には熊本の九州産業交通を連結子会社化したりと、数々の組織や事業を立て直してきた敏腕経営者です。
澤田会長は『(これまでの事業再生では)まず最初に黒字になるイメージを描き、売上げの2割増に向けて無駄な経費を削減し、将来像につなげる戦略を練ってきた。どんな会社も経常(経常利益)4割増を目指せば黒字になるはずなのだ。とは言え、私自身も成功ばかりではなく数多く失敗してきたが…(笑)』と、振り返っていました。
5年先、10年先を見据えたビジネス展開を試み、旅行事業を始め、ハウステンボスなどレジャー施設の運営、ロボットホテルの経営、証券会社の経営、蓄電池の開発等エネルギー事業、植物工場を手掛ける農業に至るまで、澤田会長が率いるH.I.Sの事業は多岐に渡る拡がりを見せています。
最後に、澤田会長に直接、株主優待について質問させていただきました。
『事業展開の拡がりと業績の向上に伴って、株主優待も増やしていくお考えはありますか?』。
すると、澤田会長は『はい。そのつもりです。頑張ります!』と笑顔で答えて下さいました。事業の拡大と共に、株主優待も充実していくことを期待したいと思います。
※写真撮影は全て鈴木ともみ