歯科インプラント

抜歯即時インプラント埋入即時荷重とは

インプラント治療が必要になっても、その治療期間の長さがネックとなり躊躇してしまう患者さんも多いのではないでしょうか。今回は従来の方法よりも格段に短い期間で治療が出来る「抜歯即時インプラント埋入即時荷重法」という方法をご紹介します。

梅田 和徳

執筆者:梅田 和徳

歯科医 / 歯科インプラントガイド

抜歯即時インプラント埋入即時荷重とは

手術したその日のうちに人工歯を装着できる

手術したその日のうちに人工歯を装着できる

これまでは、抜歯とインプラントの埋め込みを2回に分けて行うインプラント治療が主流でした。そして、埋めこんだインプラントに人工の歯を装着するには、手術後数ヶ月の期間ををあける必要がありました。しかしインプラント技術が日々進歩し、インプラント体の表面性状も改良されたため、条件さえ整っていれば、抜歯と同時にインプラントを埋入し、隙間に骨補填を行う「抜歯即時インプラント埋入」を行っても予後に問題がないということがわかってきました。手術の回数が減り、患者さんの肉体的、精神的負担も少なくなりますので、近年はこの方法をとることが増えてきています。

さらに、抜歯即時インプラント埋入と同時に固定式の仮歯を装着し、審美面・機能面である程度の回復を図る。これを「抜歯即時インプラント埋入即時荷重」と言います。この手術方法では、患者さんは一度のインプラント手術の直後から白い歯が装着されます。やわらかいものであれば噛む事もできるので、食事や会話など日常生活への支障が大きく軽減されます。

即時荷重法が適応する条件とは?

前歯の抜歯即時埋入

前歯の抜歯即時埋入

まず、インプラントを埋入した際にインプラントがしっかり固定されるだけの十分な骨質であることと骨量があることです。骨の状態が悪ければインプラントを埋入しても安定しません。また、通常のインプラント手術と比べて初期固定が難しい手術となりますので、術者自体のインプラント経験や技術が非常に重要になります。

そして、もう1つ重要になるのが術後の患者さんのメインテナンスです。噛めるからといって噛みしめたり堅いものを食べたりしていると、まだ不安定なインプラントに過剰な力が掛かり揺れてしまう危険性があります。そうなってしまうとリカバリーのために治療期間が長くなり、かえって患者さんの負担が大きくなってしまいます。

ですので、患者さんにとって非常にメリットがある治療である反面、技術や経験や準備によっては逆にうまくいかない可能性も高くなると言うことを十分に理解し、主治医と相談した上で行うことが必要となります。

出来るだけ一度に行いたい理由

今まで数回に分けていた事を1度に行おうとしていることには、いろいろな理由があります。

まずは、身体の負担をできるだけ軽減しそのうえで効果的な治療を行う低侵襲治療を目指しているからです。抜歯、骨造成、インプラント埋入、2次手術……。全て麻酔下での処置になりますし多少の痛みや腫れを伴います。この回数をできるだけ少なくしたいのです。

そしてもう1つは1回で行った方が最終的な仕上がりが高いからです。特に審美性が高くなければならない前歯の場合には、うまくいった場合のゴールが数回かけて行った時よりも高いことが多くなります。なぜなら、何度も何度もメスを入れたり歯槽骨から骨膜を剥離することによって、どんな人がやっても組織は少なからずダメージを受けてしまうからです。 硬組織(歯槽骨)はもちろん軟組織(歯肉)に関してその影響は大きくなりますので、できるだけ抜歯前の天然歯がある状態の形態を崩したくないのです。

そのため、条件が揃った場合には1度にできるだけたくさんの事を行えるよう、工夫しているのです。
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