すぐにでも始めたい具体的な貯蓄の方法
今年こそは家計を見直し、お金を確実に貯めようと思ったはいいものの、1月は忙しかったり、何かと物入りになったりで、気づけばお金が貯まらなかったという方もいることでしょう。一般的に2月は日数が少なく支出が少ないため、お金が貯まりやすい月といわれています。そこで、今回は、2月から本格的にお金を貯めるために、すぐにでも始めたい具体的な貯蓄の方法をご紹介します。
2月はお金を貯めやすい時期!
まずは、なぜお金を貯めるのか「目的」を決めましょう
お金を貯めたい!と漠然と思っていても、人間は意志が弱く続かないものです。お金を貯めたいという願望は、ダイエットと同じで「痩せたい」に似ているのです。痩せる目的はモテるためなのか、健康維持のためなのか、メタボリックを改善するためなのか、目的によって少しずつモチベーションが変わってきます。お金を貯める目的は、もしものためなのか、教育資金のためなのか、老後資金のためなのか、住宅購入資金のためなのか、余暇・レジャーのためなのか、様々あります。まずはこの目的を設定しましょう。
次に数値化することが大事 「目標金額」「期間」
目的だけ設定して終わりでは意味がありません。PDCAという言葉を聞いたことがありますか? Plan(計画・目標)、Do(実行)、Check(反省・検証)、Action(改善)の略です。仕事をする上では欠かせない考え方です。時間やお金などのリソースが限られているため、効率よく業務を遂行していく必要があるからです。
お金を貯める時も同じです。この考え方を取り入れ、まずは数値目標を立てましょう。具体的には、「目標金額」「期間」です。
例えば、「住宅購入の頭金のために500万円を5年で貯める」です。そしてここで終わらせずさらに細分化して、「住宅購入の頭金500万円を5年で貯めるために、毎月8万5000円貯蓄する」と、より明確な目標にすることで実行もしやすくなります。
とはいっても、貯蓄をする習慣がない方は、初めはハードルが低い目標を設定した方がよいでしょう。まずは、「3年で100万円を貯めるために、ボーナスに頼らず毎月3万円を貯蓄する」という目標でもよいでしょう。
まずは生活費の6カ月から1年分の貯蓄を貯めよう
不況時になんといっても頼りになるのが「預貯金」です。新型コロナウイルスの影響で収入が減少している人も少なくないと思いますが、そんな時に預貯金があるかないかで、家計状況はまったく違います。いざという時に備えて、生活費の6カ月から1年分は預貯金で確保しておきたいところです。そのためには、毎月手取りの2割は貯蓄に回しましょう。
これからの時代、お金を増やしていくには投資の力を借りることが欠かせませんが、生活費の6カ月分の預貯金がないならば、おすすめはしません。投資の格言に「命金(いのちがね)には手をつけるな」というものがあります。日々の生活費まで投資してしまうと、お金が減ったときに生活が立ちいかなくなる、という意味です。投資はお金が増えることがある一方、減ることもあります。元本保証はありません。ですから、最低でも6カ月分の生活費を確保しましょう。
貯蓄を続けるには、「先取り貯蓄」「強制貯蓄」の仕組みがオススメ
冒頭でもお伝えしましたが、人間は意志が弱いもの。このように目標を立てたとしても、「来月からにしよう」「来年からにしよう」となりかねません。
そこでオススメしたいのが「先取り貯蓄」「強制貯蓄」の仕組みの活用です。つまり、給与から天引きで自動積み立てをするということです。
それを可能にする仕組みは以下が挙げられます。
(1)財形制度※
(2)定期預金自動積み立て(銀行、ネット銀行)
(3)投資信託自動積み立て
(4)個人年金保険
(5)つみたてNISA(積立NISA)
(6)iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)
※勤務先が制度を導入していれば利用可
「財形制度」の活用
財形貯蓄には「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」の3つがあります。このうち、「財形年金貯蓄」と「財形住宅貯蓄」には利子が非課税となる恩恵があります。・一般財形貯蓄
使用目的は限定せず、自由に使えるフレキシブルな貯蓄。貯蓄開始から1年経てば、いつでも自由に払い出しできます。非課税措置は無し。
・財形年金貯蓄
60歳以降に年金として受け取るための貯蓄。「財形住宅貯蓄」と合わせて、貯蓄残高550万円まで利子が非課税(保険などの商品の場合は、払込額385万円までが非課税)。 ただし年金以外の払い出しは、利子に課税されます。
・財形住宅貯蓄
マイホームの建設・購入・リフォームなど、住まいの資金づくりのための貯蓄。「財形年金貯蓄」と合わせて、貯蓄残高550万円まで利子が非課税。ただし、住宅の建設・購入・リフォーム以外の払い出しは、利子に課税されます。
ただし、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄において、次の「災害等の事由」が生じた日から同日以後1年を経過する日までの間で、当該事由が生じたことにより払出しを行う場合には、その払出しに係る利子等に対する課税が行われないこととされました。
【災害等の事由】
1. 勤労者が居住の用に供している家屋であってその者又はその者と生計を一にする親族が所有しているものについて、災害により全壊、流失、半壊、床上浸水その他これらに準ずる損害を受けたこと。
2. 勤労者が支払った医療費で、その者又はその支払の時においてその者と生計を一にする親族のためにその年中に支払ったものの金額が200万円を超えたこと。
3. 勤労者が配偶者と死別等をし、所得税法に規定する一定の寡婦又は寡夫に該当することとなったこと。
4. 勤労者が特別障害者に該当することとなったこと。
5. 勤労者が雇用保険法に規定する特定受給者資格者又は特定理由離職者に該当することとなったこと。
「定期預金自動積み立て」の活用
給与が振り込まれる銀行口座で、定期預金に自動で積み立てする日を給与振込日の翌日に設定すれば、ほぼ給与天引きの状態となり確実にお金を貯めることができます。とはいっても、大手都市銀行の定期預金利子率は0.01%なので、少しでも高い利子率で貯蓄したいところです。そのためには、ネット銀行がオススメです。積立定期預金はソニー銀行、楽天銀行、イオン銀行などがありますが、各銀行で預け入れ期間や利子率が異なります。また、住信SBIネット銀行は、定期自動入金サービスを行っていますので、こちらを利用するのも手です。
「投資信託自動積み立て」の活用
投資信託とは、金融機関が投資家からお金を少しずつ集めてひとまとまりにし、そのまとまったお金をプロである運用担当者が運用する金融商品です。投資信託は、株式や債券などの“詰め合わせ”で、日本企業の株式だけもあれば、海外先進国企業の株式だけもあります。「国内株式と国内債券」「国内株と海外債券」というように、複数の国内外の資産がまとめて入っている投資信託もあります。投資信託一つ一つが分散投資の役割を果たしていて、自分で株式や債券の分散を行わなくてよいので、便利な商品といえます。ほとんどの銀行や証券会社で投資信託自動積み立てのサービスを提供しています。投資初心者にとってはハードルが高い選択肢ですが、少額で毎月一定額ずつ購入(積立投資)すれば、「時間の分散」もできます。この購入の仕方を「ドルコスト平均法」といい、リスクを抑えることもできるため、投資タイミングがわからない初心者は、投資信託で積立投資するとよいでしょう。
「個人年金保険」の活用
個人年金保険は金融商品としては貯蓄と似たような性質があります。保険料払込期間中に死亡した場合は、死亡給付金を受け取ることができ、払込完了後は、年金を受け取ることができます。毎月一定額の掛金を払い、保険会社はそれに一定の利息をつけて積み立てます。設定した年齢になれば、その積立金を受け取ることができます。
ただし、個人年金保険の利率は、他の金融商品に比べて決して良いとはいえません。銀行に預金した時と同じか場合によっては悪いこともあります。
しかし、個人年金保険は加入することにより、「個人年金保険料控除」という所得控除を受けられるようになるため、節税のメリットを踏まえると有効な金融商品です。所得控除とは、所得税を計算する元となる所得額から減額できることです。
なお、個人年金保険料控除を受けるには、個人年金保険に「個人年金保険料税制適格特約」を付加しなければならないので、加入しようとしている個人年金保険にこの特約が付加されているかどうか確認しましょう。
「つみたてNISA(積立NISA)」の活用
「つみたてNISA(積立NISA)」は、投資で得た利益にかかる約20%の税金を、20年間ゼロにできるお得な制度です。つみたてNISAでは、投資信託とETF(上場投資信託)の中から運用商品を選びます。選べる商品は、金融庁の厳しい基準をクリアした商品だけ。2021年1月18日現在、193本から選ぶことになります。2037年までの制度のため、スタートが遅くなればなるほど、投資できる年数が減るのがネックでしたが、5年間延長され、2042年まで投資できるようになるため、2023年までにスタートすれば、年間40万円まで、20年の投資期間を確保することができます。
「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」の活用
2017年1月から制度が改正されており、ほとんどの会社員※、公務員、専業主婦(夫)、個人事業主と、20歳以上の方なら誰でもiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)に加入できるようになります。ただし、国民年金保険料を滞納したり、免除になっていたりしないことが条件です。※勤め先に「企業型確定拠出年金制度」がある場合、加入できないケースもあります。
確定拠出年金とは、老後資産をつくるための制度であり、現役時代に一定金額を毎月積み立て運用し、その運用結果を老後に受けとることができる仕組みです。iDeCoは、毎月の掛金が全額所得控除になることで所得税・住民税の負担が減る、運用中の利益に税金がかからないなど、節税効果が得られるメリットがあるため注目されている制度の1つです。
特に凄いのが、掛金が全額所得控除されること。年末調整や確定申告を行うことで、所得税が還付され、翌年度の住民税が安くなります。
例えば、年収600万円の人が、年間24万円の積み立てを行った場合、所得税で2万4000円、住民税(一律10%)からも2万4000円と、合計で4万8000円の税金が取り戻せます。老後まで30年あれば、節税だけで144万円も得できます。(復興特別所得税は考慮せず)
ただし、iDeCoは老後の資産形成が目的なので、積み立てるお金は60歳まで引き出すことができません。なので、毎月貯蓄できる金額があまり多くできない方は掛金を少なくして活用したり、途中で解約したいニーズがあるならつみたてNISAを優先的に活用したりするとよいでしょう。
投資の第一歩として「ポイント投資」を活用しよう
もし、「いきなり投資はちょっと怖い」「投資に振り向けるお金がない」という場合は、ポイント投資がおすすめです。ポイント投資は、株や投資信託といった金融商品にポイントを利用して投資できるサービス。Tポイント、dポイント、楽天ポイント、Pontaポイントのいわゆる「4大共通ポイント」をはじめとして、今やさまざまなポイントを投資に利用することができます。ポイント会社と証券会社などがタッグを組んで、ポイント投資のサービスを続々と展開しています。
通常の投資と同じく、買った商品が値上がりすれば儲けが出ますし、逆に値下がりすれば損が出ます。しかし、ポイント投資の元手は基本的にはポイントですから、仮に値下がりしても手持ちの現金が減ることはありません。
よって、初心者の方でも投資資金がない方でも取り組みやすい投資だといえます。投資へのはじめの一歩として、ぜひ試してみてください。
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