平成27年分の相続税の申告者数が増加している
平成28年12月に国税庁より発表のデータによると、平成27年分の相続税の申告者数が増加していることが分かります。これは平成27年からの相続税の増税による影響です。しかしながらこれはあくまで自ら申告した数であり、本来は申告すべき人で申告しなかった人も多数いると考えられます。相続税の申告数はどれくらい?
東京国税局(東京都、神奈川県、千葉県、山梨県)のデータによると、被相続人数は平成28年は253,150人【平成29年は256,737人】、相続税の申告数は以下の通りとなっています。- 相続税の申告件数 平成27年44,535件【45,662件】
- うち相続税がかかった数 32,209件【32,909件】
- うち相続税がかからなかった数 12,326件【12,753件】
相続税の申告をして相続税がかからない、とは?
相続税は基礎控除のほかに、小規模宅地の特例という申告をして認められる特例があり、この結果、相続税はかからないということがあります。今回発表のデータを見る限りだと、思ったより少ない印象です。相続税の申告をしていない人は?
本来は相続税の申告をすべき人でも申告をしていない人(無申告)が多くいると考えられます。特に、相続税の申告をして相続税がかからない、に該当する人は後から税務署に指摘されても罰金が無いので、言われたら申告すればと考えている人が多くいるのではないかと思います。注意したいのは、本来は相続税がかかる人なのに、かからないと誤って判断して申告をしておらず、後で税務署に指摘されるケースです。後で税務署に指摘された人はどうなるの?
相続税の申告をしていない人でも、実は税務署で調査されています。同じく平成28年12月に国税庁より発表の東京国税局の平成27事務年度データによると、無申告で後の税務調査で指摘され税金を支払ったケースが122件【129件】あり、財産では151億円【169億円】、税金では8億円【18億円】の漏れがあったとのことです。なおこの相続税には更に罰金(加算税・延滞税)が課されます。※【】内は平成29年12月発表の平成28年データです
罰金が強化され更に厳しくなった!
加算税制度が改正されました。平成29年1月1日以後は罰則(加算税)がより厳しくなり、支払う罰金も多くなります。なお改正のうち、無申告だったケースの「無申告加算税」は以下の通りとなります。- 税務調査通知前 → 5%加算(従来通り)
- 税務調査通知後かつ更正等予知前で相続税本税50万円まで → 10%加算(従来は5%)
- 税務調査通知後かつ更正等予知前で相続税本税50万円超部分 → 15%加算(従来は5%)
- 税務調査による更正等予知後で相続税本税50万円まで → 15%(従来通り)
- 税務調査による更正等予知後で相続税本税50万円超部分 → 20%(従来通り)
これまでは税務調査が入ると通知があった場合に、指摘される前に申告してしまえば5%の加算だけで済んでいましたが、こういったケースを悪質と考えての改正になったと考えられます。相続税がかかるか否かの判断は、やはり専門家に判断してもらうのが一番です。