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今後上昇が期待できる10万円割安銘柄

三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は総資産293兆円、国内最大の金融コングロマリットを形成するメガバンクです。意外にも円安や原油価格の回復が業績にプラスに働く同社について、深く見ていきたいと思います

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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総資産298兆円、国内最大の金融コングロマリットを形成するメガバンク、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)

2005年10月に三菱東京フィナンシャル・グループとUFJグループが統合して誕生。現在は世界5位の貸手、総資産298兆円の国内最大の金融コングロマリットを形成するメガバンクです。
総資産ベースでは2位のみずほファナンシャルグループ(193兆円)、3位の三井住友フィナンシャルグループ(187兆円)を大きく引き離します。

総資産ベースでは2位のみずほファナンシャルグループ(193兆円)、3位の三井住友フィナンシャルグループ(187兆円)を大きく引き離します。

バランスシートを見ると、貸出金残高は政府等向け貸出の減少、為替影響による国内外の外貨建貸出減少を主因に前年度末比7.8%減の104.8兆円となりました。預金残高は、国内預金が増加したことで、0.4%増の161.6兆円となりました。預貸比率は0.65と、業界中央値の0.7近辺にあり健常と言えます。

経営の健全性を表す自己資本比率については、2016年9月末の普通株式等Tier1比率(リスク資産に対する優先株などの比率)は12.50%(前期末比+0.4ポイント)と金融業界水準で十分許容できる水準にあります(三井住友FG 11.90%、みずほ10.99%)。

円高懸念の後退、原油価格の回復で与信費用の縮小が見込まれる

銀行だが円安や原油高が業績にプラス!?

銀行だが円安や原油高が業績にプラス!?その理由は?

同社の特徴は、3メガバンクの中でも海外事業に強い点が挙げられます。国際業務では、米州・アジアでの海外展開で優位性を持ち、タイのアユタヤ銀行、MUFG AmericasHD、モルガン・スタンレーといった海外グループ会社による利益は全体利益の24%(16年3月期)に及ぶほどです。それゆえ、為替の影響を受けやすく、海外企業が手掛ける資源・エネルギー分野の不良債権化が注目点となっています。

同社の業績見通しは、海外におけるエネルギー・資源分野の不良債権処理に関連する与信関係費用が縮小するとの見方から明るくなりつつあります。振り返ると、同社の16年3月期業績では海外のエネルギー・資源関連分野に対する融資の不良債権化が重しとなっていました。2016年初から進んだ原油安を背景に、同社はWTI原油価格の前提について1バレル=35ドルとし、さらなる下落を見込んで17年3月期に750億円の引当金を見込んだのでした。

17年3月期の上期与信費用総額576億円の内、83%に相当する約480 億円が資源エネルギー業種向けであったため、大きな影響がありました。しかし、足元の原油相場は1バレル=50ドル程度で推移しており、円高懸念も後退している中で業績の見通しは明るくなっていると思います。同社によれば、WTI原油価格が1バレル当たり5ドル上振れすると与信関係費用は200億円減り、5ドル下振れすると300億円増えるといいます。

同社は2Q 決算発表の時点で与信費用の発生が国内外で抑制されていることを踏まえ、通期の与信費用総額の見込みを2,100 億円から1,500 億円へ修正しており、経済環境の改善によって下期以降、与信費用が更に抑制される可能性もでてきました。

ちなみに、16 年9 月末のMUFG の資源関連与信の不良債権残高は1,370 億円、不良債権比率は1.49%と貸出金全体の1.47%を僅かに上回る程度です。この不良債権残高の約9 割は担保・保証・引当金等で保全済みであり、非保全・未引当額は140 億円に留まります。

マイナス金利や円高の逆風受けるも、米国のMUAH、モルガンスタンレーが牽引

直近の2017年3月期第上半期の業績を確認すると、経常収益が前年同期比7.1%減の2兆7793億円、経常利益が18.0%減の7948億円、親会社株主に帰属する純利益が18.2%減の4905億円、一株当たり純利益が35.93円(前年同期42.97円)となりました。一方、通期業績予想については最終利益ついてのみ目標値を設定しており、前期比10.6%減の8500億円を想定しています。進捗率は57.7%と順調です。

2017年3月期上半期の業務粗利益は前年同期比6.6%減の1兆9,694億円となりました。海外の預貸金・手数料収益等は増加しましたが、金利低下を受けた国内預貸金収益の減少と運用商品販売の減少、そして円高影響が加わったことで減少となりました。営業費は全社的なコスト抑制努力もあり、前年同期比3.5%減少しました(1兆2440億円)。この結果、実質業務純益は、前年同期比11.6%減の7,254億円となりました。与信関係費用は総額前年同期比85.8%増の576億円となりましたが、前述の経済環境の改善を見込み通期では41.2%減の1500億円と想定しています。

子会社別で見てみると、米国のMUAH、モルガンスタンレーがよく業績貢献していることが判ります。同社の国内預貸金業務の割合は11.7%まで縮小している一方、銀行業務米国支店およびMUAHの割合は14%、そしてモルガンスタンレーからの寄与は過去5年平均11%であるということから同社収益のおよそ25%が米国事業による収益となっています。

良好な地合いのなか、バリュエーション修正の余地が大きな金融株

銀行株は、マイナス金利政策を受けた国内市場では国債利回りに加え、融資の指標となる銀行間取引金利も過去最低水準に低下するなど収益性が低下し、また海外業務でも米国経済の減速や円高傾向が進み、内外で収益環境が悪化していたことでバリュエーションが低くなっていました。

しかし、長期債利回りが上昇し、イールドカーブが急配(スティープ化)になってきていることから銀行収益は改善する期待感が高まっています。
市場コンセンサスによる業績予想

市場コンセンサスによる業績予想

同社の株価はトランプ勝利後、大きく上昇しています。しかし、2017年3月期の予想PERは10.9倍(市場コンセンサスによる)、PBRは0.67倍、予想配当利回りは2.5%です。同社の場合、海外での資源・エネルギー分野への融資も厚いことから、原油価格の改善に円高是正が進んだことも加わり、低くなりすぎたバリュエーションの修正が進んでいくものと思われます。

なお、17年3期に予想されている(同社の予想)配当は18.0円、配当性向は29.2%ですが、これに17年3月期における2000億円の自社株買いを入れると株主還元率は52.7%まで拡大します。同社は2014年1000億円、2015年も1000億円と自社株買いを実施しています(三井住友FGが29.3%、みずほが31.3%なので高水準であることが判ります)。さらに同社の場合、株主優待もあります。株主優待については7万円台!17年に狙いたい割安優良株主優待銘柄をご覧下さい。

参考:日本株通信


※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。
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