「コンプレックスのある女性がいい」の真意
コンプレックスのある女性が好きという男性の心理とは?
前回、男性のコンプレックスを女性たちはどう見ているかについて書いたが、今回は、コンプレックスを抱いている女性を男性がどう見ているのかを考えてみたい。
同じように、「劣等感にさいなまれて、いじけているのはイヤだ」と言うかと思いきや、男性は少し考え方が違うようだ。
コンプレックスが“ない”女性は上から目線?
コンプレックスのある女性のほうが、自分にやさしくしてくれると思っている男性が多い。
いちばん多かったのは、そういう意見。なぜか劣等感のある女性を、男性たちは歓迎しているのだ。
「上から目線で威張られるより、コンプレックスのある女性のほうが、人に優しい気がするから」
そう言ったのは、32歳のツヨシさん。彼は、友だち同士の飲み会で知り合った女性とつきあってひどい目にあった経験があるのだという。
「きれいだし、みんなにちやほやされて、モテてきたんでしょうね。つきあい出してすぐから、『今から迎えに来て』なんて電話が入るようになった。最初はこっちも低姿勢だから、夜中だろうと車を出しましたよ。『なんかあなたのファッションってセンスがイマイチ』なんて言われたりもしたから、彼女好みの服装でまとめたり。でもね、そうやって彼女の言いなりになっている自分がだんだんイヤになっていった。そのうち、性格的なことにも文句を言うようになって。考えてみたら、ずっと上から目線でものを言われていた。1年もたずに別れました」
それで、逆説的に、コンプレックスのある女性なら上から目線でものを言うこともなく、自分に寄り添ってくれるのではないかと考えているのだそう。
「僕もそう思います」
リョウスケさん(33歳)も同意見。
「自信満々な女性が好きじゃないんですよ。口説き落とすのも大変だし、ようやくつきあってもらえることになっても、こちらがひたすら気を遣わないといけない。ものすごく尽くしたのにキスさえさせてもらえず、半年後にポイと捨てられたことがあるんです。一緒にいると男たちが振り返るくらい美人だったから優越感を覚えたけど、あとから考えるとその子とつきあって楽しい思いをしたことはほとんどなかった」
その後、つきあった彼女もかわいい人ではあるのだが、ひとつ大きなコンプレックスがあるのだという。
「彼女曰く、胸が小さいのがコンプレックス、と。僕は、胸の大きさなんて本当にどうでもいいんです。一緒に楽しい時間を過ごしたい、お互いに刺激し合っていい関係を作りたい。その彼女となら、そうできると思ったんです。……それがコンプレックスのせいかどうかはわからないけど。
僕にだってコンプレックスはいくらでもありますから。お互いに劣等感があるほうが共感しあえる部分があるし、相手にも寛容になれるんじゃないでしょうか」
コンプレックスに甘える女はズルい
「コンプレックスのある女性=優しい女性」、と男たちはとらえがちのようだ。
それは一面、真理でもあるのだろうが、どうやらそれを鵜呑みにしてはいけないようだ。
「コンプレックスといっても、自分ではどうにもならないことと、努力すればカバーできることの2通りがありますよね」
必ずしもそうとは言い切れないと言う男性もいる。
「前につきあっていた彼女は、『私は不器用で、料理が苦手』と言っていたんです。僕は料理が好きだから、『できるほうがやればいいんだよ』と話しました。でも彼女、不器用だからできないんじゃなくて、家事全般、やる気がないんですよ。彼女の家に行って料理を作ろうとしたら、米がカビててびっくりしたことがあります。別にそれはそれでいいんだけど、自分が努力する気もないことをコンプレックスと置き換えて甘えるズルさみたいなものが、なんだか僕はイヤだったんですよね」
トオルさん(35歳)はそう話す。
「一緒に料理しようよと言っても、『私はできないんだもん、無理強いしないで』と逆ギレされました」
彼女は「不器用なことをコンプレックスに感じている」という態度をとっておいたほうがいいと計算したのだろう。それを見抜いたとき、イヤな女だなと思ってしまうのかもしれない。確かに、努力する気さえ起こらないなら、それは本来、コンプレックスにならないはずだ。
女性は、コンプレックスを抱えて卑屈になる男性をいやがったけれど、男性は、「現状に甘えて、開き直る女性の計算高さ」に嫌悪感を覚えるようだ。
人が何に劣等感を覚え、それとどうやってつきあっているのか、そのパターンは無限にある。例えば、卑屈になるか、利用するか、努力するか、気にせず笑い飛ばすか……だれかとつきあうときには、意外と大事なポイントになるのかもしれない。