ストーカー規制法が改正されてSNSでのつきまといも対象となった
SNSでのつきまといも対象に
2017年1月3日、SNSによるつきまといを新たに規制対象とした改正ストーカー規制法が施行されました。ストーカー行為の罰則の強化なども盛り込まれています。改正による変更点と共に、被害の実態などについてお伝えします。改正前は、現実社会におけるつきまとい行為と、拒まれているのに電話やFAX、電子メールを送ることなどがつきまとい行為と定義されていました。現実には若者の多くはSNS中心のコミュニケーションを取っているにも関わらず、SNSは対象とはされていなかったのです。
2016年5月に小金井市でミュージシャンの女性がファンの男にTwitterでしつこく書き込みをされた上で、刃物で刺された事件がきっかけとなり、今回の改正につながりました。
改正後は、TwitterやLINEなどのSNSでメッセージを連続送信したり、ブログに執拗な書き込みをしたりすることも対象とされることになりました。これでようやく実情に法が近づいたと言えるでしょう。
ストーカー行為の罰則も強化
改正に伴い、ストーカー行為の罰則も強化されました。ストーカー行為罪の罰則上限は「懲役6月または罰金50万円」から「懲役1年または罰金100万円」に引き上げられました。同時に、被害者が告訴をしなくても起訴できる非親告罪となったため、被害者が加害者からの報復を恐れて告訴できないという事態も避けられるようになりました。また、緊急の場合は、事前の警告なしに都道府県の公安委員会が加害者に禁止命令が出せるなど、状況に応じて迅速に対応できるようになっています。
中高生に広がるSNSストーカー被害
最近は、コミュニケーションの場が完全にSNS上に移っています。SNSで知り合った異性間トラブルが多く、10代の中高生が多く被害に巻き込まれているのです。2016年5月には、東京都の高校1年女子(16)の元にはLINEで知り合った男(20)から「死ね」「殺す」などのメッセージが一日100通も届く事態に。返事をしつこく求められ、ブロックすると事実無根の噂を友人に流される嫌がらせをされるという事件も起きています。
被害者、加害者とならないために
SNSなどのネット上でのやりとりでは、相手との心理的な距離感がわからなくなったり、一方が思い詰めて暴走したりしがちです。ブロックや友達削除などは簡単にできますが、その行為が相手の神経を逆なでして暴力行為につながった例もあります。ストーカー被害を防ぐためには、住所や学校名などの必要以上の個人情報は開示しないことが大切です。相手から被害を受けたら保存・記録しておき、警察などに相談すること。また、身に危険が及ぶ可能性を感じたら、居場所を公開しないことや、一人きりにならないなどの工夫も必要です。
同時に、自分は付き合っているつもりでも、相手に嫌がれていて自分がストーカー加害者と認定される可能性もあります。SNS上での過度な書き込みやメッセージは避け、すべてをSNS上だけで済まさず、リアルなコミュニケーションを大切にすることが大切です。