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新耐震でも倒壊?気になる一戸建ての地震対策

住宅業界にとって今年最大のショックは熊本地震ではないでしょうか。それは「新耐震基準」の建物にも被害がでたからです。調査の結果、接合部の仕様が不十分であることが要因の一つとして推測されています。

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

家を建てるガイド

新耐震でも倒壊……接合部仕様の不十分が主な原因か

住宅業界にとって今年最大のショックは熊本地震ではないでしょうか。それは震度7を観測する地震が立て続けに発生し、新耐震基準の建物にも被害がでたからです。

今回の地震では全体的に約8000棟が全壊し、国土交通省が立ち上げた「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」は、接合部仕様が命運を分けたと報告。「接合部仕様が不十分であるため、地震動により接合部が先行破壊し、耐力壁が有効に機能しなかったことが被害を大きくした主な要因の一つと推測される」としています。

接合部とは、部材同士の取り合った部分のことで、筋かい端部や柱脚などです。

一般に家を建てる人は、設計者との打ち合せで耐震壁の位置の説明を受けますが、接合部の金物までは関心もなく、ほとんどが設計者に委ねることになります。ただ、これからは自分の家の建築現場に行った際、接合部の金物にも注目し、建物にどのような働きをするのかを確認してみることをおすすめします。

現場で確認すべきポイント

筋かいによって耐力を考える際の注意するポイントは次の箇所です。
■ポイント1
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間柱と筋かいが固定されているかをチェック。固定されていないと中間部で筋かいは座屈(※)してしまいます。

※座屈:構造物に荷重が加わった際、ある一定以上の荷重を超えると、大きなたわみを生じること

■ポイント2
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筋かいは横架材と柱に緊結することが原則です。しかし、横架材にしか緊結されていないなど、筋かいの効果が正しく発揮されない施工がなされていることもあるので注意が必要です。

■ポイント3
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平成12年の建築基準法改正でホールダウン金物が義務付けられました。これも正しい設置方法が浸透されていない業者もあります。ホールダウン金物を入れる所は耐力壁になる所で筋かい上部がとり付く柱の押さえなどにとりつけられます。


主な金物の名前と働きと役割もチェック

■ホールダウン金物
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地震などで建物が水平力を受けた場合発生する引き抜き力に抵抗するために用いられる。柱が基礎(土台)や梁から抜けるのを防ぐ重要な役割がある。

■筋かい金物
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筋かいを柱や梁に固定する際に用いる金物。地震による筋かいのズレや引き抜きを防ぐ役割があります。

■羽子板ボルト
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直行する構造材をしっかりと固定するために必要な金物です。

■短冊金物
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梁(横架材)の連結部分の補強に用いられる金物です。

■かすがい
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主に束と母屋、梁などを連結するための金物です。

耐震に構造用合板の力を借りる

日本の住まいは耐力を確保するのに構造用合板を採用するよりは筋かいによる方法が多く見られます。つまり「筋かいに依存した構造」なのです。

しかし、厚さ9mmの針葉樹構造用合板などは、杉30×90mmの筋かいと比較するとせん断力は2.6倍の強度があるのです。仮に構造用合板を張っていれば筋かいが座屈してもホールダウン金物の破壊をおさえることが可能です。

筋かいと構造用合板を併用して使うことで倒壊のリスクをかなり低くしてくれるのです。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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