日経平均株価も上がり続けているが……
2017年の投資方針は
――ドナルド・トランプ氏が次期大統領に決まって以来、円安が進み、日経平均も上がり続けています。今からこの波に乗ってもいいのでしょうか?
藤川太さん 今は、無理して勝負をかけるタイミングではないと思っています。むしろ注視していかないといけない時期です。今は、期待感だけで膨れ上がって円安に進んでいる状態。少し過熱しすぎですよね。トランプ氏は、2017年の1月20日に就任式を迎えますが、具体的な政策がでてきたら円高に振れるのではないかとみています。トランプ氏自身、いろいろな発言はしているけれど、実際には現実路線になる可能性も強いし、逆にそうじゃないかもしれない。ちょっと読めない状況です。場合によっては大きく動くかもしれないので、リスクをとった状態のままでいないほうが賢明です。
――大切なのは、チャンスに備えてお金を貯め、動かしやすい状態にしておくことだと。
藤川さん その通りです。前回お話ししたように、今は10年に1~2回のチャンスがくるかもしれないタイミングに差し掛かっています。チャンスの時に乗り遅れないように、流動性のある方法でお金を貯めておくことが大切です。今は、転職市場も活況で扉が開かれている状態。こうした時期に、しっかりと仕事を得てお金を貯めておき、経済クラッシュで価格が下がったときに思い切って投資をし、景気がよくなるまで持っておく。資産形成の王道を頭に入れておくことです。
――収入を増やすことが難しくなる40~50代は、どんな風にお金を貯めればいいでしょうか。効果的な家計の引き締め術はありますか?
藤川さん 転職をして収入をどんどん伸ばすといったことが難しくなってくる世代なので、支出のコントロールをして損益分岐点を下げていくというセオリーをしっかり実行していかないといけません。今の20~30代は、ずっと厳しい時代のなかで生きているので、倹約の考え方が染みつている人が多いけれど、その上の世代は、まだまだ節約意識に乏しかったり、旧来型の家庭管理をしている人も少なくない。収入が伸びないのに教育費がかかりすぎていたり、生活のレベルも落とせないというケースをよく見ます。一回開いた蛇口は締めるのが難しいですからね。
特に多いのが、固定費を膨らませてしまっているケース。若い世代と比べると貯められる時間が限られているので、その分、大きなところから見直して貯蓄ペースを速めないといけません。たとえば住宅ローンを組んでいる人なら借り換えをやるとか、保険の見直しをする。他にも、通信費や車にかかるお金を見直したり、教育費も減らせるところをがないかチェックするなど、家計の洗い出しして取り組むことです。
★次は2017年、家を買うタイミングについて解説します
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教えてくれたのは…
藤川太さん
取材・文/西尾英子