大阪、神奈川、長崎、北海道、東京、宮崎などがIR(統合型リゾート施設)の候補地に
カジノが日本の株式市場にどのような影響を与えるのでしょうか?
株式市場ではここ数年、カジノ法案の話題が出るたびに、関連銘柄が物色されてきました。今回の成立時には、「材料出尽くし」ということで大きな反応はありませんでした。しかし、今後は「理想買い」から「現実買い」に進むことが想定されます。今後、ギャンブル依存症対策を講じたり、候補地の選定の必要もあり、実際にIRが登場するのは東京五輪(2020年)よりも後になりそうです。テーマとして、長期的にも注目を集めそうです。
現在、IRを既に誘致方針だったり、候補と見られているのは大阪府大阪市の人工島・夢州、神奈川県横浜市の臨海部、長崎県佐世保市のハウステンボス、北海道では苫小牧市など数か所、東京都の台場地区、宮崎県・シーガイアなどです。今回の法案可決の付帯決議には、特定複合観光施設区域について「厳格に少数に限る」としており、当初は2~3か所程度と見られています。
誘致に積極的な大阪では、大阪経済同友会が、法案が成立した12月15日に「夢洲(大阪市此花地区)への誘致を実現すべく、大阪市をはじめ、関係機関に働きかけていく」などとの意欲を改めて表明。同会が16年3月に試算した経済効果は開業までの累計で1兆4711億円あり、開業後は毎年7596億円の経済効果があるとしています。開業の雇用創出効果も9万7000人余りに達するということです。
業績への寄与度がカジノ銘柄を探すポイントに
株式市場でカジノ関連を見るうえで重要なのは、業績への寄与度です。今から予想するのは困難ですが、継続的に収益が挙げられることが見込まれるのはカジノの運営企業です。運営主体になれば毎年の収益が見込めます。海外の運営企業も日本のカジノを狙ってきています。ノウハウが豊富な外資系との戦いもこれからです。
スロットマシンなどの機器も有望ですが、納入は基本的に一時的にとどまります。カジノが100か所などと大量にできるわけではないので、物色は長続きしないかもしれません。ただ、わかりやすい材料なので折に触れ買われることが想定されます。
また、IRということでカジノ以外、例えばホテルや商業施設に関連する企業も狙い目かもしれません。大阪の試算にもある通り、リゾートして地域経済の活性化が進めば集客力は魅力になります。
運営ではコナミホールディングス、セガサミーホールディングス、ユニバーサルエンターテインメントなどが候補です。紙幣識別などの機器ではオーイズミ<6428>、日本金銭機械、マミヤ・オーピー<7991>、グローリー<6457>などが挙げられているようです。大阪の名門ホテルはロイヤルホテル<9713>ですが、名乗りを上げるかは不明ですね。
注目されるカジノ関連銘柄
●コナミホールディングス<9766>北米向けスロットマシンの大手。14年にIR法成立後に国内カジノ施設投資の子会社設立を表明。カジノマネジメントシステムの開発・製造・販売・サービスも手がける。
●セガサミーホールディングス<6460>
同社が宮崎県で運営する「シーガイア」が候補に。同社は韓国で現地企業とカジノを含む施設を建設中。17年開業予定。ノウハウを学び、国内での運営に意欲。
●ユニバーサルエンターテインメント<6425>
パチスロの大手。運営するカジノ「オカダ マニラ」がフィリピンで16年内にも開業の予定。本社が台場地区付近にあり、国内運営にも関心があるもよう。
●テックファームホールディングス<3625>
アプリや各種システムの受託開発。カジノフロア向けモバイル決済ソリューションを手がける。16年9月の米カジノ業界最大の展示会「グローバル・ゲーミング・エキスポ」に米カジノ企業と共同出展。
●日本金銭機械<6418>
紙幣識別機など貨幣処理の大手。米国のカジノ向けでのシェアが高い。ポーランドやフィンランドなど向けにも展開。日本での納入も確実視される。
●文:和島英樹(わじま・ひでき)
和島英樹氏