ここ数年、バイク乗りの間で「電熱ウエア」が話題!
ここ数年真冬のバイク乗りの会話に、あるキーワードが出てくるようになりました。「電熱インナー」や「電熱グローブ」という言葉です。街中では充分に暖かい防寒用品でも、真冬のバイクの走行では耐えることができません。
真冬の雨天時となれば強烈な寒さでライダーの体温を奪います。もう5年以上片道25キロをバイク通勤していますが、ユニクロのヒートテックを代表とする機能性インナー、作業着メーカーやアウトドアメーカーのアウターなど様々な防寒対策をしてきました。
しかし、今まで電熱ウエアだけは使用したことがなかったのです。そこで今回はRSタイチの協力のもと、電熱ウエアのe-HEATシリーズをじっくり試してみました。
また、先日バイク用品店に遊びに行った際に某メーカーの機能性インナーのポップがあちこちに張られていました。ユニクロのヒートテックを代表とする機能性インナーは、最近は色々なメーカーから販売されています。
さすがにインナーをメーカーの広報に借りるわけにはいきませんので、今回は自腹で高級な機能性インナーを購入。効果を試して電熱インナーと機能性インナーどちらを買ったらお得なのかを検証したいと思います。
まずはRSタイチの電熱ウエア「e-HEAT」シリーズを試してみた
まずは室内でRSタイチの「e-HEAT」シリーズを試してみました。今回は電熱インナーの他に電熱グローブもお借りしています。専用の充電機で充電し、5時間で満充電完了。早速グローブとインナージャケットにバッテリーを接続します。
電熱ウエアはその名の通り、「電気の力」で発熱するものです。
グローブは手首のところにジッパー付の小さなポケットがあり、この中にしまわれている配線にバッテリーを繋ぐという仕組みとなっています。
また、ジャケットも前側のポケットの中にしまわれている配線にバッテリーを繋ぎ、ポケットの中に収める方式になっています。
e-HEATグローブとジャケットはそれぞれハイパワー・ノーマル・エコノミーの3つのモード選択が可能となっているので、まずは真ん中のノーマルを試してみました。
驚いたのは電源を入れてすぐに暖かくなること。1分もたたないうちにジャケットやグローブが暖かくなりました。まずはノーマルのままバイクにまたがって走ってみました。
ジャケットの方はお腹の部分と背中部分に暖かくなる電熱線が入っていますが、若干前傾の姿勢になるバイクだった事もあり、背中は電熱部分と体がピッタリと接触するので非常に暖かく感じました。
しかし、お腹部分は隙間ができてしまうので背中ほどの温かさを感じることはありませんでした。とはいえバイクを運転していて体がこんなに温かいのは初体験です。例えるならば手と体部分だけコタツに入っているような感覚です。
またジャケット自体も毛足の長いフリース素材を採用しており、電熱機能が切れても優れた防寒インナーとして使うことができそうです。
電熱グローブは手の甲の部分と指の周りが熱を持つようになっていますが、中が全体的に暖かくなり気温は一桁台前半なのに手汗をかくような状態でした。このような場合には、一時電源をオフするかエコノミー(弱)でも充分だと感じました。
グローブは個人的には若干操作がしづらい印象を受けましたが、私の経験的には冬用のグローブはおろしたてだと動きが硬いことが多々ありますので、使っているうちに馴染むレベルでしょう。
モンベルの「スーパーメリノウールEXP ラウンドネックシャツ」を試してみた
正直、はじめは機能性インナーに関してあまり期待していませんでした。機能性インナーの多くは汗を吸って発熱するという理論のようですが、バイクは同じ姿勢で風をきり続けるので汗をかく暇がないように感じるからです。
色々なメーカーから機能性インナーがリリースされているなか、あえて選んだのがモンベルの「スーパーメリノウールEXP ラウンドネックシャツ」。以前モンベルの広報担当者と話をした際に「登山の服装選びは命に関わる」というコメントを聞き、登山で使う機能性インナーはきっとすごいはず!という直感から選びました。
機能性インナーとしては8100円(消費税込)とかなり高額なハイエンド商品であることも今回試してみたかった理由の一つです。ちなみにウール系のインナーだと8000円前後は相場となるようです。
早速室内で着替えてみると、あまりウール独特のチクチクとした感じはなくサラッと肌触りの良い感触です。しかし、部屋の中で着た感じは普通のインナーとの違いを感じることができませんでした。寝起きで体が冷え切っていたこともあるのかもしれません。
上にいつものようにトレーナーとアウターを着込んでバイクに乗りましたが、走り出してすぐに普段とは異なる点に気づきました。
いつもは“寒くない”のに、今回は“暖かい“のです。通勤の1時間ちょっとの間ずっと上半身が暖かい状態。「寒くない」と「暖かい」の違いは非常に大きく、職場に付く頃には若干汗ばむぐらいでした。
今回購入したスーパーメリノウールEXP ラウンドネックシャツは生地の厚さが「厚手」の物でしたが、他に「中厚手」と「薄手」があり、東京都内を真冬に走るぐらいであればアウターにもよりますが、中厚手か薄手でも良いかもしれません。
他の機能性インナー同様にスーパーメリノウールEXPラウンドネックシャツも水分を吸って発汗する仕組みなので、寝起きの体が冷え切った状態などでは暖かさは感じません。
今回の場合もアウターを着て、バイクを取り回し始めたぐらいから暖かさを感じ始めました。一度暖かくなるとシャツ全体が暖かい感じで非常に快適でした。
汎用性では機能性インナー、バイクに特化するなら電熱インナー。用途に合わせた使い分けがオススメ
電熱ウエアはバッテリーを装着しなければならないので若干重くなります。また東京近郊で普通に暮らしていれば、電熱ウエアが必要になるほど寒くなることはありません。インナーとアウターの工夫で充分に暖かく過ごすことができます。しかし、バイクに乗れば話は別です。気温3度、湿度30%の環境下で時速100キロでバイクで走行すると体感温度はマイナス12.8度になるといわれています。この環境下で暖かいと感じるためには、電熱インナー以外に選択肢はないでしょう。
気になる点としては、持続時間ですが、ノーマルモードでジャケットは6時間、グローブは3時間暖かさを持続することができます。ただこのデメリットもバイクから電源をとる「12V車両接続ケーブルセット」で解消することができます。
初日の出ツーリングなど、早朝に長距離走る目的がある場合などには最強の防寒アイテムと言えます。
また、モンベルの機能性インナーの汎用性も見逃せません。当たり前ですが電源が必要ない機能性インナーは冬場のバイク通勤では強い味方となります。モンベルには今回使用したメリノウールシリーズの他に、ジオラインという機能性インナーがありますが、広報担当によると
ジオラインは速乾性に優れ、ウールは保温性に優れています。運動量が多い場合や、汗をかくことが多い場面ではジオライン。運動量も少なく、汗もそれほどかかない場面はウールをオススメしています。
とのこと。という事であればバイクの場合はジオラインよりもメリノウールの方が向いていると言えるでしょう。
今回はモンベルの機能性インナーを試しましたが、最先端の機能性インナーは非常に優れています。初めは金額にビビリますが長く使うことを考えれば初回の出費は目をつぶってもよいかもしれません。