雇用統計を見る上でのポイント
大統領選挙後、初の雇用統計!今回は平均時給の伸びに注目です!
まず、基本的なことですが、雇用統計の説明をします。雇用統計とは毎月第1金曜日に米国労働省が発表する、米国の雇用関連の経済指標のことです。よく取り上げられる非農業部門雇用者増減数だけでなく、実際には色々な数字が発表されます。民間部門雇用者数増減、製造業雇用者数増減、失業率、平均時給、労働参加率、週平均労働時間などです。これらの数字が予想に対してどのような結果になるかによって、株や為替に影響が出てくるわけです。
ここではまず、よくニュースなどで取り上げられる非農業部門雇用者増減数と失業率について、前月の数字を確認しましょう。11月4日に発表された10月の非農業部門雇用者増減数は前月比16万1000人増となり、8月の15万6000人増よりは拡大したものの、市場予想の17万3000人には達しませんでした。一方、失業率は9月の5.0%をやや下回る4.9%となり、こちらは市場予想通りでした。しかし、この2つだけを見ると(たとえば、非農業部門雇用者増減数が予想を下回るなど)今1つ米国経済の力強さが伝わって来ない印象です。
平均賃金の伸び率に注目
そこで注目したいのが賃金の伸び率です。米国経済の好況を受けて、米国の労働市場は引き締まっており平均時給(前月比)の推移を見ると、明らかに強い推移となっています。前月比の推移を見ると、9月は+0.3%、10月は+0.4%となっており、前年比では2.8%の上昇に。これは2009年半ば以来で最も高い数値になります。コアCPIを差し引いた実質賃金ベースでも賃金の伸び率は拡大基調となっており、労働市場の引き締まりを背景に企業側が人材を確保するために賃上げで対応している様子が伝わってきます。実質賃金の上昇は消費拡大に繋がり、個人消費がGDPの7割を占めるという、米国経済全体にとっても非常に重要です。
11月の市場平均予想を見てみると、非農業部門雇用者増減数が前月比18万人増、失業率は横ばいの4.9%、平均時給については前月比では0.2%増、前年比では2.8%増が予想されています。非農業部門雇用者増減数がどの程度の伸びになるかはもちろん重要ですが、前述にもあるように、実質賃金がどの程度の伸び率になるのかは米国経済がどの程度の勢いで伸びているのかの、1つの重要な物差しになりますので、今回の発表でも、平均時給がどの程度の伸びになるかに注目しましょう。
参考:日本株通信
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