貯蓄/平均貯蓄額などの気になるデータ

2016年は貯金ゼロが3割、平均貯蓄額は100万円超の減少

2人以上世帯が保有する金融資産額は平均で1078万円と前年比10.8%の減少となりました。株価の下落に加えて、収入の伸び率の鈍化や減少により金融資産を取り崩す家計が増えたことがその背景のようです。貯蓄が0円の世帯も30.9%もあり、2013年の過去最高の31%に次ぐ高水準でした。家計の金融資産はこの1年度のように変化したのでしょうか。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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2人以上世帯が保有する貯蓄は、131万円の減少

家計の貯蓄は1割の減少

家計の貯蓄は1割の減少

金融広報中央委員会は11月4日に2016年の「家計の金融行動に関する世論調査」を公表しました。2人以上世帯と単身世帯の調査をそれぞれ公表していますが、まずは2人以上世帯から見ていくことにしましょう。

2人以上世帯が保有する金融資産の保有額は、平均で1078万円と2015年と比較して131万円の減少となりました。

平均保有額は2004年以来の水準まで落ち込んでいますが、中央値は400万円と前年と変わっていません。調査したのが2016年6月17日から7月26日なので、株価の下落が減少の大きな要因と考えられますが、細かく見ると全金融資産の保有額が減少していることから、株価の下落だけではなく、収入の減少なども保有減に影響していると考えられます。

保有額1078万円は金融資産を保有していない世帯を含めた平均値です。金融資産を保有している世帯だけに限ると、平均保有額は1615万円になりますが、2015年と比較すると204万円も減少しています。中央値も950万円と前年と比較して50万円減少していることから、この1年は金融資産を保有している世帯ほど打撃が大きかったと言えるでしょう。

株価の下落により、資産が減少した人が増加

金融資産を保有している世帯において、現在の金融資産残高が1年前と比較して「減った」と回答した世帯は31.7%と2015年と比べ5.5ポイント増えています。一方、残高が「増えた」と回答した世帯は22.3%と前年と比べると7.8ポイントも減少しています。

金融資産残高が減少した理由は、「定期的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから」が35.8%で前年比6.4ポイント減、「こどもの教育費用、結婚費用の支出があったから」は27.5%で前年比5ポイント減、「耐久消費財(自動車、家具、家電等)購入費用の支出があったから」は26.8%で前年比5.9ポイント減といずれも減少しています。

ライフイベントによる支出増ではなく資産価格の下落が金融資産保有世帯を直撃したといえそうです。「株式、債券価格の低下により、これらの評価額が減少したから」は25.6%と前年比19.9ポイントも増加しているからです。ただ、11月に入り株価は急回復していることから、金融資産残高は大幅に持ち直しているかもしれません。

金融資産残高が増加した理由も上げておくと、「定期的な収入が増加したから」は37.8%と6.9ポイントの増加、「定期的な収入から貯蓄する割合を引き上げたから」が27.5%と前年比4.8ポイント増加しています。

一概に収入減であったわけではないことをうかがわせます。また「配当や金利収入があったから」は7.2%と前年比7.6ポイント減、「株式、債券価格の上昇により、これらの評価額が増加したから」は6.9%と前年比19.5ポイントの減少です。やはり、平均保有額が大幅に減少した最大の理由は、株価の下落や円高といえるでしょう。

金融資産の保有目的及び選択

金融資産の保有目的は「老後の生活資金」が70.5%と最も多く、2015年と比較すると4ポイントの増加となりました。次いで「病気や不時の災害への備え」が63.7%(前年と変わらず)になります。以下、こどもの教育資金、とくに目的はないが、金融資産を保有していれば安心、耐久消費財の購入が続きます。

金融商品の選択で最も重視していることは「元本が保証されているから」が29.9%と前年比0.6ポイントの増加、「少額でも預け入れや引き出しが自由にできるから」は18%と前年比0.8ポイントの増加、「取扱金融機関が信用できるから」は15.8%と前年比1ポイント減少しています。

今後保有を希望する金融商品は、預貯金は47.2%で前年比0.5ポイントの減少、有価証券の保有を希望している世帯は13.7%と前年比2.9ポイントの減少です。有価証券の中では、株式が前年比1.6ポイント減の8%、株式投資信託が前年比1.7ポイント減の4.1%となっています。調査の時期が英国のEU離脱(ブリグジット)と重なったことから、投資の対して尻込みしている感じがうかがえます。

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