“閉じた家”から“開く家”に
毎週日曜日の夕方に始まる国民的テレビアニメ「サザエさん」。この磯野邸は親世帯の波平夫婦に子世帯のマスオさん一家が同居する二世帯住宅です。この番組が昭和44年にテレビ放送が開始され長寿番組になっている理由のひとつは、日本で住まいの核家族化が進み、昔ながらの安心感のある暮らしに幸せの原型を感じている人が多いからではないでしょうか。
ただ近年、特に東日本大震災以降たとえ核家族であっても地域とのつながりを求める工夫や住まいづくりが見られます。つまり地域に閉じた家づくりではなく、“開く家”づくりです。今回はその考え方と工夫の仕方を紹介します。
開く家の作り方
■リビングにウッドデッキをつなげる間取りを工夫してウッドデッキを確保し、できればそこにテーブルやイスをおけるようにしたいものです。近所の井戸端会議に利用することはもちろん、家族も天気の良い日は庭を見ながらくつろぐことが出来ます。子どもも元気に戸内と戸外をいったりきたりと動きまわるでしょう。
ウッドデッキを活用して昼はもちろん、夜は星を眺めることもできます。
■薪ストーブを設置してみる
親しい友人が訪ねてきた際、何らかの演出があると何気ない言葉をかわしやすいものです。バーベキューや薪ストーブなどはそういった意味ではとても有効な仕掛けといえます。
薪ストーブは家の中にあって開く家のイメージはないかも知れません。しかし、逆に薪ストーブがあることで友人を呼べるのです。玄関近くに土間を設けそこに設置すれば気軽に入りやすくもなります。さらに新しいライフスタイルを演出することも出来ます。
■自宅をいずれ交流の場に
若い時には子どもがいてなかなか余裕あるスペースを作ることは出来ません。しかし将来仮に自分一人になった際地域の人とコミュニティを作りたいと考えているのであれば設計段階から考えておくことです。
リビングの天井を高くしたり、あるいは2階の子ども部屋を使ってギャラリーにしたいのであれば階段の位置、広さ、昇りやすさを検討しておくことなどです。
プライベートスペースを使って交流スペースに利活用するといった事例はまだまだ少ないのですが、さらなる高齢化社会を見すえると、こういったことも考えられるのではないでしょうか。
リビングの天井を高くすることで、人が集まっても息苦しさを感じさせません。
ガイド佐川旭のアドバイス
人は自分が何らかの災害に遭ってみて始めて人のありがたさ、また身近な近所の助け合いがいかに大切かが身にしみてわかるものです。近年は省エネや耐震といった様にどちらかというと壁を多くして建物をつくる閉じた家です。しかし、開く家はなにも南側全面開放の家ということではなく、仮に薪ストーブを設置することでも十分に開く家のつくり方になるのです。
ぜひ自分達家族のライフスタイルを求めると同時に地域のコミュニティーも意識した家づくりを心掛けてみて下さい。生垣や花の咲く樹木を庭に植えることでも、充分意味のある取り組みになると思います。