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トランプラリーでもアップル、アマゾンが下がる理由

トランプ勝利でニューヨークダウは最高値を更新しています。しかしながら、アップル、アマゾン、アルファベット、フェイスブックなどのグローバルIT銘柄の株価は下がっています。今回はその理由について考えてみます。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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トランプ勝利で関連銘柄(金融、インフラ、医薬セクター)は大幅上昇

トランプラリーは金融、インフラ、医薬に。逆風は本国投資法懸念でナスダック上位100銘柄と環境関連

トランプラリーは金融、インフラ、医薬に。逆風は本国投資法懸念でナスダック上位100銘柄と環境関連

上図はトランプ勝利後3日間の米国株の銘柄や指数別の騰落率となります。これを見ればわかりますが、トランプ新大統領が打ち出している、規制緩和や大幅減税、大規模なインフラ投資拡大などに注目が集まり、トランプ勝利後3日間では関連銘柄が大きく上昇しました。

まず勝ち組となったのは、セルジーン(CELG)~ファイザー(PFE)までのバイオ医薬及び製薬大手企業で、これはクリントン氏の高すぎる医薬品価格に制限をかけようとする発言で2015年から下がってきたセクターの反発です。そして10年間で1兆ドル以上とも言われる巨額のインフラ投資期待からキャタピラー(CAT)のような建機株のほか、セメントや鉄鋼株、そして銅価格も7年間で最大の上昇週となりました。

さらに規制緩和期待で、特にドッドフランク法の見直し機運によって銀行株が急騰。また、インフラ投資拡大や大幅減税については国債発行の可能性が高まることや、それらの政策によって景気が刺激される見通しであることから長期金利(10年債利回り)が急伸し、イールドカーブが急激にスティープ化したことで金融株には収益改善期待が出ています。11月11日(金)は500を優に超える銘柄が1年最高値を更新しましたが、その多くは銀行、住宅ローン、保険などの金融株でした。日本でもメガバンク株や非鉄金属資源株が急騰しています。伝統的に共和党政権では減税、規制緩和の期待が高まります。

ニューヨークダウ高値更新なのに、アップル、アマゾン、アルファベット、フェイスブックが下がる理由

トランプラリーでニューヨークダウ最高値更新も、グローバルIT企業の株価が下がるのは増税となる恐れがあるためです

トランプラリーでニューヨークダウ最高値更新も、グローバルIT企業の株価が下がるのは増税となる恐れがあるためですトランプラリーでニューヨークダウ最高値更新も、グローバルIT企業の株価が下がるのは増税となる恐れがあるためです

一方、トランプラリーで逆に値を下げているのが、アップル、アマゾン、アルファベット、フェイスブック、マイクロソフトなどのグローバルIT企業の巨人と、民主党の掲げる太陽光などのクリーン・再生エネルギー関連です(テスラなどの電気自動車株も入ります)。共和党は環境問題に熱心でありません。むしろ石炭・化石燃料に関する規制を緩めるとの期待で石炭株や石油株が上がっています。とりあえず、ダウがトランプラリーで大幅高だった2日間に、これら著名IT株は全て続落しています。米国株大幅高と一言で伝わっても、実情は完全に二極化している訳です(日本株にも同じような状況が少なからずあります)。

トランプ氏は上のような大手IT企業に度々攻撃発言を行ってきました。さらに重要なのは、こうしたグローバルIT大手企業が多額の利益を海外拠点に滞留させ、税金を逃れている点です。米国多国籍企業全体で海外留保利益は2兆5000億ドルほどもあると言われています。トランプ氏はこれらの海外滞留資金に税金を掛け、その税収をインフラ投資拡大に回そうとしています。おそらく飴と鞭を使い、2004年の本国投資法のように、米国に戻して投資を行うのであれば税金は一度限りで優遇し、海外に残せば懲罰的な税を課すなどするのではないでしょうか。そして、それを期待してドル高円安となっているのであり、戻ってきたお金がアメリカ国内で投資され、米国株は空前の好景気になる可能性もあると思います。

ともあれ、グローバルIT企業においては税率が上がり、一株利益が減ることになって売られているのです。米国の法人実効税率は40%を超えますが、こうしたグローバル企業は上述の通り税金を逃れ、実際の税率は20%台などに留まります。これが法定通り40%に近づき、減税が実施されても利益は減るでしょう。削られる利益はインフラ関連セクターに回る訳です。一方、国内事業オンリーの中小企業は元々税の逃れ道がなかったところに減税によって利益増となり、これが「ラッセル2000」という小型株指数の大幅上昇に繋がりました。

参考:日本株通信

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