感染症

レジオネラ菌感染症の症状・対策法…温泉・加湿器から感染も

【医師が解説】レジオネラ菌感染は温泉や銭湯などの入浴施設で集団発生することがあります。感染後の症状に適切な治療を行わないと、肺炎を起こし、死亡することも。レジオネラ菌の感染経路、感染した場合の症状、菌が死滅する温度、対策法などについて解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

レジオネラ菌とは…温泉や銭湯などで集団感染が起こることもある身近な菌

温泉イメージ

気持ちいい温泉などの入浴施設。しかしレジオネラ菌感染の集団発生が起こることがあります

レジオネラ菌は特別珍しい菌ではありません。河川、湖水、温泉や土壌などの自然界に生息している、私たちの身近な環境にある細菌です。

温泉などの入浴施設で集団感染が報告されることがある「レジオネラ菌」。感染すると肺炎や発熱などのレジオネラ症を起こします。レジオネラ菌とはどのような危険性がある菌なのか、感染による症状、治療法・対策法について、わかりやすく解説します。
 

レジオネラ菌

主に水の豊富な環境を好み、循環式の銭湯や温泉などの入浴施設での集団発生が報告されています。入浴施設に限らず、噴水、ビル屋外の冷却塔、ジャグジー、加湿器などでレジオネラ菌が増え、そこから発生するエアロゾルによって感染することもあります。日本では、スポーツ施設、温泉、ホテルなどの集団発生報告がありますが、集団発生しないケースでは、なかなか診断が困難です。

レジオネラ菌は、1976年にアメリカのフィラデルフィアで開催された米国在郷軍人会(the American Legion。現役を離れた軍人の会)で原因不明の肺炎が集団発生し、legionnaires' diseaseとして報告されたことに由来しています。

日本では、夏(特に7月、9月)に発生が多く、レジオネラ感染者の報告は年々増加傾向にあり、2000年には154例でしたが、2018年には2130例の報告があります。60歳代をピークに中高年の男性に多いです。夏に多い原因として旅行との関連が言われています。
 

レジオネラ肺炎・ポンティアック熱の症状

レジオネラ菌によるレジオネラ症は、主にレジオネラ肺炎やポンティアック熱に分けられます。

■レジオネラ肺炎の症状
細菌性肺炎と同じような症状が起こります。感染してから発症までの潜伏期間は2~10日です。
  • 38℃以上の高熱
  • 頭痛
  • 全身倦怠感、食欲不振、筋肉痛、寒気
  • 咳……乾いた咳から始まり、数日後には膿のような痰や、赤褐色の痰のある咳になる
  • 胸痛
咳

高齢者や新生児の肺炎で注意すべき原因です

レジオネラ肺炎は、他の細菌性肺炎と違って、傾眠、昏睡、幻覚などの神経の症状が出てくることがあり、さらに、進行が早いのも特徴です。まれに心筋炎を起こします。

■ポンティアック熱の症状
ポンティアック熱は、1968年にアメリカのミシガン州Pontiacでの集団感染事例に由来していて名づけられたもので、一過性の症状を起こします。

ポンティアック熱は発病率が95%、感染してから発症までの潜伏期間は1~2日です。症状は突然の発熱、寒気、筋肉痛のみですぐに治まります。
 

レジオネラ菌の感染経路・潜伏期間・特に注意すべき人

レジオネラ菌は、人から人へは感染しません。そのため、集団発生するときには、ほぼ同時期に発生します。

レジオネラ菌に感染すると、新生児、高齢者、透析者、糖尿病、悪性疾患など、主に免疫機能が低下した人で肺炎を起こしやすく、重症になります。喫煙者やアルコールを大量に継続的に飲む人も危険性が高くなります。
 

レジオネラ菌の検査法・診断法

レジオネラ菌に感染しているかどうかは、「尿中レジオネラ抗原」といって菌の一部の成分を検出するキットで簡単に速やかに検査することができます。

肺組織、痰、胸水、血液などからレジオネラ菌を分離するために、レジオネラ専用の細菌培地を使って、菌の増殖を見たり、遺伝子検査(LAMP法)も行われることがあります。

血液検査では、レジオネラ菌に対する抗体を測定し、発熱などのある急性期と治ったときの回復期の2度検査して比較し、4倍以上の上昇があれば、感染していると判断されます。1回の検査でも抗体が高いと、感染の可能性があります。

また、レジオネラ菌による肺炎の診断のため、胸部X線、さらに胸部CT検査を行います。
 

レジオネラ菌感染およびレジオネラ肺炎の治療法

レジオネラ菌に有効な抗菌薬であるエリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬、レボフロキサシン、シプロフロキサシンなどのニューキノロン系抗菌薬、ミノサイクリンなどのテトラサイクリン系抗菌薬などの抗菌薬を使用する必要があり、他の抗菌薬では効果に乏しくなります。

このような有効な抗菌薬の投与がなされずにレジオネラ肺炎になると、7日以内に死亡するケースもあります。いかに早期に正しく診断するかが大切です。
 

レジオネラ肺炎に対する予防法・対策法

現時点ではレジオネラ肺炎を予防できるようなワクチンはありません。入浴施設などでは、エアロゾルを発生する水を適切な殺菌剤で処理するか、水は循環させずに水を換える換水をするのが望ましいとされています。温度も重要で、20~45℃が危険とされています。60℃以上で5分間でレジオネラ菌は死滅するので、殺菌可能です。

利用者としては、レジオネラ菌感染リスクの低い入浴施設かどうかをチェックするポイントとして、以下のようなところを気にしてみるのもよいでしょう。
  • 温泉などの施設ではお湯の循環せず、かけ流しか
  • 源泉の温度が高いか
  • 配管も含めてしっかりと清掃されているか
  • エアロゾルが発生しやすいジャグジーはなるべく避ける

レジオネラ肺炎の場合、診断した医師は感染症法による4類感染症として、保健所に速やかに報告することになっています。
 

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