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コミコミ300万円に収まるシトロエンC4ディーゼル

DSを含む、プジョー・シトロエングループが導入したディーゼルエンジンモデル。1.6Lターボ、2.0Lターボともにトルクフルな走りが魅力で、完成度の高さも目を見張るものがある。中でも279万円という戦略的価格を付けたシトロエンC4ディーゼルは「買い」といえるだろう。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

プジョー・シトロエングループが日本にディーゼル仕様を導入

シトロエンC4ディーゼル

プジョー・シトロエングループのディーゼルは「BlueHDi」を名乗る。中でも「C4 FEEL BlueHDi」は279万円という戦略的といえる価格設定で、輸入車のクリーンディーゼルモデルで最安となっている


プジョー、シトロエン、DSの3ブランドにディーゼルエンジンを導入したプジョー・シトロエングループ。車種により1.6Lディーゼルターボもしくは2.0Lディーゼルターボが搭載され、ニーズそして予算に応じて選べるようになっている。なお、プジョー、シトロエン、DSからなるPSAグループのディーゼル車は「BlueHDi」を名乗っている。

これは、DPF(ディーゼル・パーティキュレイト・フィルター)、AdBlue(アドブルー)式SCR(セレクティブ・キャタリティック・リダクション)を持つ同グループの最新ディーゼルエンジンの呼称。

「Blue」は、欧州車がよく使うクリーンな環境性能を表す象徴で(たとえば、メルセデス・ベンツのBlueTecなど)、「HDi」は「High Pressure Direct Injection(高圧直接噴射)」の略とのこと。

今回取り上げるシトロエンC4のディーゼル搭載車は、1.6L(1650cc)の直列4気筒ターボで、車名は「C4 FEEL BlueHDi」。279万円というディーゼルエンジン仕様車としては「破格」といえる設定で、ガソリンエンジン車を含めたCセグメントモデルの価格破壊をもたらすほどの戦略的な価格設定だ。

なお、同セグメントのベンチマークとして自他ともに認めるところのフォルクスワーゲン・ゴルフはガソリン仕様のみで、エントリー仕様の価格は249万9000円~。C4ディーゼルの価格設定は、ゴルフTSI コンフォートライン(280万9000円)を意識した値付けなのだろうか。

ディーゼルエンジンは、エンジン自体を丈夫に作る必要があるうえに、AdBlue式SCRという比較的高額な排ガス後処理システムを使っているから「儲けがあるのか」余計な心配をしてしまうほど。もちろん、輸入車のクリーンディーゼルエンジン車としては最もロープライスとなっている。

1.6Lでも分厚いトルクでよく走る

シトロエンC4ディーゼル

「C4 FEEL BlueHDi」のボディサイズは全長4330×全幅1790×全高1490mm


さて、価格の話ばかりになってしまったが、走りっぷりももちろん気になるところだ。筆者は2.0L搭載車、1.6L搭載車のディーゼルをプジョー508SW、プジョー308に試乗済みだったので、1.6Lターボでも街中から非常にトルクフルであることは予想どおりだった。

508SWだと車両重量が1700kgあるため、2.0Lディーゼルターボの組み合わせは当然だろう。一方のC4ディーゼルは1380kgで320kg、大人4~5人ほども軽くなっている。そのため、1.6Lでもトルク感は十分以上で、街中では余裕綽々でストップ&ゴーをこなしてくれるし、青信号に変わって直後の素早い発進も容易だ。

シトロエンC4ディーゼル

アイドリング時はディーゼルらしい音・振動が伝わってくるものの、アイドリングストップが作動すればもちろん気にならないし、走り出してしまえばディーゼルとしては静かな方だろう



120ps/3500rpm、300Nm/1750rpmというスペックからも分かるように、最大トルクは乗用域で発揮してくれる分厚さが魅力だが、速さを決めるピークパワーは数値的には心許ない。しかし、高速道路の追い越し車線をリードする程度ならパンチ不足を感じさせない。

また、アイシンAW製のEAT6は、1速-2速、2速-3速の変速フィールにやや「間」を感じさせるし、ディーゼルターボのターボラグも意識させられるシーンもあるが、日本車のCVTやATからの乗り換えでも許容範囲といえるフィーリングに十分収まっている。

シトロエンらしい乗り心地の良さも魅力

シトロエンC4ディーゼル

C4はシンプルかつ小粋なスタイルが魅力。飽きのこないデザインで長く付き合うにはいいかも


シトロエンの美点である乗り心地も満足できるレベルだ。同ブランドのイメージから想起させるほど柔らかな乗り味ではないが、ドイツ勢と比べればまだソフト。しかも、高速走行時の直進安定性もまずまずで、ロングドライブも苦にならない。

一方、同じCセグメントのプジョー308と比べると、「ファン・トゥ・ドライブ」度合いではやや譲る印象だ。現行308が小径ステアリングと、クイックなハンドリング設定であるのに対して、シトロエンC4はもっと穏やかにノーズの向きを変えていく。

高速域のフラットライドな乗り心地も含めて、走りの新しさという点では、1世代新しいプジョー308が上なのは当然だろう。しかし、どちらが好みかは人により異なるだろうし、逆に言えば「せわしない」感じもする308のハンドリングよりも、ゆったりと走るならC4の方が向いているのも確かだ。

また、シトロエンC4ディーゼル仕様でひとつ気になったのは、中・低速域のノイズが大きめである点で、こもり音に車内が支配される。タイヤ起因のパターンノイズ、ロードノイズは試乗車特有のものだったのか他の固体に乗っていないので定かではないが、試乗できるのであれば確認しておきたいポイント。

シトロエンC4ディーゼル

インパネはプジョー308よりもオーソドックスで、ある意味使いやすい。試乗車にはナビに加えて、1DINオーディオも用意されていた



それにしても「C4 FEEL BlueHDi」のコスパは抜群だ。プジョー・シトロエングループが日本に上陸させたクリーンディーゼルモデルの「BlueHDi」は、全車エコカー減税対象車で重量税、自動車取得税が100%、自動車税は概ね75%減税となる。

日本法人では、登録諸費用込みで300万円以下に収まるように設定した価格というから狙い目のCセグメント車といえるだろう。もちろん、軽油で済むという利点、20.2km/Lというカタログ燃費も見逃せない。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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