災害はいつも想定外?
今年4月14日から断続的に発生した熊本地震から半年が過ぎ、様々なことが明らかになってきました。これから家を建てようとしている人は倒壊している映像を見て当然耐震性の高い家づくりに関心をもたれたことでしょう。建築基準法が制定されたのは1950年です。その後耐震に関しては1981年に新耐震基準が施行され、35年が過ぎました。
また、2000年には木造の接合部や水平構面などの構造性能の指針も公表され、地震に対しての対策も進んではいますが、今回の地震は想定外の地震(強い地震が続けて2回、その後も断続的に発生)ということで更なる対策を講じなければならないということを教えてくれました。
これらのことをふまえながら倒れない家をつくるにはどうしたらよいかを考えていきましょう。
熊本地震で倒れた家の特徴
熊本地震で倒れた家の特徴は次の5項目にまとめることができます。- 地盤に関しての意識が薄かった
地盤崩壊、不同沈下による被害が多くみられた - 建物の劣化
モルタル壁の中が腐朽し、蟻害による被害もあり建物の劣化が激しかった - 壁量不足
新旧和風住宅など壁量不足による被害も多くあった - バランスの悪い建物
建物の形が悪く増改築をしてさらに屋根などが複雑な形になっていた - 設計・施工に問題
筋交いの位置と納まり、そして接合金物の不具合も多くみられた
倒れない家をつくるには
- 必ず地盤調査をすることです。現在は法律で原則すべて行うことになっています。
- リフォームの際は耐震性を増すリフォームを行うことです。さらに新築であっても1年に1回は自分の眼で建物の内外を確認しておくことです
- 地震に強い家は耐震壁が偏りなく、なるべく左右対称、外側にバランスよく配置されています。そうすることで揺れに強い建物になります
- 最近は理由もなく「ベタ基礎」を採用しているところが多く見られます。本来は地盤の強さ、建物の重量などを考えながら決めていくものなのです
つまり地盤・基礎・建物(間取り)などを考慮しながら一体的に考えていくことが重要です - 当たり前ですが何と言っても良い業者を選ぶことです。住まい手がいくら勉強してもやはり素人には限界があります。良い業者を見極めるポイントとしては、大切なところはあいまいな表現ではなく、数字で示せるところは数字で示してもらうことです。
一般に住宅業界はこれまで「経験と勘」に頼る人が多くいました。勿論それも大切ですが、耐震性能など人の命に直結するようなところはより明確にしておいた方が安心です
ガイド佐川旭のアドバイス
熊本地震では新しい耐震基準の建物でもかなり損傷していたので驚いた方も多くいるでしょう。大きな被害を受けた地域には活断層がありました。仮に活断層はなくても倒れない家をつくるのであれば多少コストアップにはなりますが、耐震等級3をお勧めします。さらに耐震性を高めたいのであれば、制震と免震があります。
家は立地条件や環境にも左右されますがコストバランスも考えながら無理のない間取り、適切な壁量の配置、そしてきちんとした施工をすれば命に直結するようなことにはならないのです。