全国各地で走りまわる現代の蒸気機関車
新幹線をはじめ電車が各地を疾走し、ローカル線ではカラフルなディーゼルカーが走りまわる21世紀であっても、蒸気機関車(SL)の人気は衰えることがない。1975年に一旦は旧国鉄の線路からSL牽引の定期旅客列車は姿を消したにもかかわらず、その後、各地でSLは復活を遂げ、イベント列車として元気に活躍している。近々、東武鉄道でもSLが復活するなど、ますます目が離せなくなった、日本の動態保存SLについてまとめてみた。D51ルームもオープン、ますます人気の「SLみなかみ」
(JR上越線、高崎~水上)(群馬県)JR東日本の高崎にある車両基地をベースに、蒸気機関車D51形498号機とC61形20号機の2台の機関車が交代で列車を牽引する。運転区間は、高崎と水上の間59.1kmを通常の普通列車の2倍近い2時間あまりで走る。客車は、青い12系客車(エアコン付き)あるいは茶色の旧型客車(時刻表ではレトロ客車と表記)を使用。2台の機関車を使った重連運転や七夕の時期に行われるSL列車同士のすれ違い、また高崎駅同時発車(水上行きと信越本線の横川行き)といった鉄道ファン好みのイベントも数多く企画される。
新前橋と沼田で5分程度、渋川では30分近い停車時間があり、ホームでのんびり機関車を眺めたり記念撮影も可能だ。終点の水上では、転車台で機関車の方向転換を間近で見物したり、整備する機関車をゆっくり眺めるスペースが設けられている。
D51形の人気にあやかって、高崎駅に直結するホテルメトロポリタンでは、D51ルームを1室オープンした。室内には、D51の壁紙が張られ、テーブル、浴室、ロッカーなどあらゆるところにD51関連の調度が置かれて鉄道ファンを飽きさせない。D51形498号機に因んで、部屋代は2食付2人で51498円。2016年10月の開業以来、人気沸騰だ。
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蒸気機関車C61形20号機、38年ぶりの復活運転
展望客車が大人気、「SLばんえつ物語」
(JR信越本線、磐越西線、新潟~会津若松)(新潟県、福島県)細身のボイラーがスマートで「貴婦人」の愛称があるC57形の180号機が大改装した12系客車7両を牽引し、新潟~会津若松間126kmを約4時間で結ぶ。長時間の旅を飽きさせないよう、中間の4号車はイベントスペース付き展望車、1号車は子供連れに人気のオコジョルームと展望室、7号車はパノラマ展望室付きグリーン車と、賑やかな編成である。
上下列車とも津川駅で給水や機関車整備のため15分程停車するほか、会津若松行きは、山都に10分、新潟行きは、野沢で10分停車する。新潟行きは午後遅くに会津若松を発車するため、秋が深まると旅の後半は夜汽車のムードが味わえる。闇夜に響く汽笛、窓を流れる煙はノスタルジックな雰囲気である。