貯蓄/平均貯蓄額などの気になるデータ

平均貯蓄1151万円から考える「豊かさ」とは?

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2017年)」(2人以上世帯)のデータを見ると、世帯の金融資産の平均値は1151万円。3割強の世帯が「貯蓄ゼロ」という実態も見られます。同データから、「豊かさ」についても考えてみましょう。

豊田 眞弓

執筆者:豊田 眞弓

教育費 ・ 奨学金ガイド

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金融資産平均は1151万円!中央値は380万円

「家計の金融行動に関する世論調査(2017年)」(2人以上世帯)の結果を見ると…世帯の金融資産の平均値は1151万円(金融資産ゼロ世帯を含む)、「中央値」では380万円でした。平均額が前年よりも約70万円もアップする一方で、中央値は20万円のダウン。格差が開いているのがよくわかります。

心の豊かさと貯蓄の関係

心の豊かさと貯蓄の関係



年代別のデータ、持ち家かどうかで分けたデータは下記の通りです(カッコ内は中央値)。持ち家と持ち家でない世帯では、持ち家世帯のほうが金融資産額が多いことがわかります。

<年代別金融資産額(カッコ内は中央値)>
•20代      321万円(77万円)
•30代      470万円(200万円)
•40代      643万円(220万円)
•50代     1113万円(400万円)
•60代     1411万円(601万円)
•70代以上   1768万円(600万円)

<住宅所有別>
•持ち家   1360万円(528万円)
•非持ち家   573万円(64万円)


全年齢平均の年間貯蓄率は平均9%

年間手取り収入からの貯蓄割合は、全年齢平均で9%(金融資産保有世帯)です。世帯主の年代別や持ち家かどうかで分けてみると下の通り。

<年代別手取り収入からの貯蓄割合>
•20代     16%
•30代   12%
•40代     10%
•50代     10%
•60代      8%
•70代以上  6%

<住宅所有別>
•持ち家   9%
•非持ち家 10%

20代・30代が平均16%、12%と高めで、40代・50代で子どもの教育費などがかかる世代では10%に下がります。60代で8%、70代以上でも6%の貯蓄ができているというのも驚きです。

持ち家かどうかでも貯蓄割合は異なります。持ち家の人は9%、持ち家でない人は10%。ほぼ同水準ですが、持ち家の方は住宅ローンの返済などもあって、毎月の貯蓄割合は低めになるのかもしれません。

3割強が貯蓄ゼロ?高年収で貯蓄ゼロも!

金融資産がない世帯が増加しているのがわかります。2003年に2割を超え、2013年以降は3割を超えました。

ただし、同調査では「金融資産」について、『運用の為または将来に備えて蓄えている部分とする。ただし、事業のために保有している金融資産や、土地・住宅・貴金属等の実物資産、現金、預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えている部分は除く』と書かれています。

つまり、調査日時点で貯蓄があっても、すぐに引き落とされる分や生活費で消える分、事業用の資金などは含まないことになります。借金まみれで自転車操業の人も含まれるかもしれませんが、文字通り口座がゼロということではないことも頭に置いてください。この定義に合わせると、私もほぼ貯蓄ゼロなのだと知って愕然としております…。

それはさておき、貯蓄ゼロ世帯は年代別では若い世代ほど陥りやすく、高齢世帯ほど減る傾向がみられます。

住宅保有別では、非持ち家世帯の方が多くなっています。住宅ローンでぎりぎり生活なのか、ぎりぎり生活だから家が買えないのか。いずれかだと想像されます。

<貯蓄ゼロ世帯の割合(年代別)>
•20代   35.6%
•30代   33.7%
•40代   33.7%
•50代   31.8%
•60代   29.4%
•70代以上   28.3%

<住宅保有別>

• 持ち家   27.5%
•非持ち家   41.1%

「貯蓄ゼロ世帯」は「収入なし」世帯が60.7%と特に高く、「年収300万円未満」39.1%、「300万~500万円未満」29.6%と続きます。

収入が高ければ金融資産がゼロにはなりにくいのではないかと考えがちですが、「500万~750万円未満」でも24.3%と高く、「750万~1000万円未満」で16.7%、「1000万~1200万円未満」11.5%、「1200万円以上」は9.9%が金融資産が「ゼロ」です。

普段の家計相談で拝見していても感じることですが、年収が高い人はそれなりの生活レベルを追求するため、貯められない世帯もあります。

<貯蓄ゼロ世帯の割合(年収別)>
収入なし        60.7%
300万円未満      39.1%
300万~500万円未満  29.6%
500万~750万円未満  24.3%
750万~1000万円未満  16.7%
1000万~1200万円未満  11.5%
1200万円以上       9.9%


「心の豊かさ」を実感している世帯は62.8%

最後に、「経済的な豊かさ」と「心の豊かさ」についても見てみましょう。

「心の豊かさ」を実感している世帯は62.8%(「ある程度実感している」も含む)で、実は「経済的な豊かさを実感している」割合を上回っています。経済的な豊かさが実感できなくても、心は豊かだという世帯も少なくないようです。

心の豊かさを実感するために大切なことのトップ3は、「健康」(72.2%)、「経済的な豊かさ」(54.8%)、「家族との絆」(45.7%)。これらがそろっているほど「心の豊かさ」を実感できるようです。

一方、経済的な豊かさを「実感している」(「ある程度実感している」も含む)とした世帯は39.8%。経済的な豊かさを実感するために大切なことは、「ある程度の額の年収の実現」(61.5%)と「ある程度の額の金融資産の保有」(54.3%)が多数派です。

<心の豊かさを実感する条件(複数回答)>
・健康            72.2%
・経済的な豊かさ       54.8%
・家族とのきずな       45.7%

・将来の生活への安心感    29.4%
・時間的な余裕        23.5%
・趣味の充実         20.7%
・仕事の充実         13.9%
・人や社会への貢献       7.7%

<経済的な豊かさを実感する条件(複数回答)>
・ある程度の額の年収の実現        61.5%
・ある程度の額の金融資産の保有      54.3%
・消費財購入やレジャー関連消費の充実   18.8%
・マイホームなどの実物資産の取得     16.8%
・その他                6.4%

みなさんはいかがですか? 「心の豊かさ」、実感できていますか?


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