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学力アップの秘訣!身体を動かすことの大切さ

「も~、じっとしてなさい!」子供に接する中で、思わずそう声を張り上げたくなることってありますよね。それでも実は、「身体を動かす」ことには、子供の成長にとってたくさんのメリットがあります。この記事では、「動く」ことが、子供の健やかな発達にとっていかに大切かを整理してみましょう。

長岡 真意子

執筆者:長岡 真意子

子育てガイド

 身体を動かすことにはたくさんのメリットがあります

屋内で走る

 たとえ「ただ動いているだけ」に見えたとしても、子供はたくさんのことを学んでいます。

「も~、じっとしてなさい!」子供に接する中で、思わずそう声を張り上げたくなることってありますよね。眺めているだけでも、こちらの目が回ってしまうほど動く子もいるものです。それでも実は、「身体を動かす」ことには、子供の成長にとってたくさんのメリットがあります。今日の記事では、「動く」ことが、子供の健やかな発達にとっていかに大切かを整理してみましょう。


幼児は「動く」ことで学びます

大人から見ると、ただ「動いている」だけのように見えても、子供というのは実にたくさんのことを吸収しています。例えば、食事中もじっとせずお皿を叩いてみる子は、「お箸とスプーンでは音が違うんだなあ」と感心しているのかもしれませんし、屋内で走り回る子は、「カーペットより木の床のほうが滑りやすい!」と大発見をしているのかもしれません。

バンガー大学心理学教授のエミリー・クロス氏によると、「新しい神経科学の研究では、動きのない学びよりも、動きのある学びの方が、脳の働き方自体を変化させ、子供の学習過程が加速されると分かっている」とのこと。例えば、プリントに綴られた数字を覚えるだけよりも、お友達とお菓子を分け合い、誰がどれだけ多いか少ないかと、実際にお菓子に触れ、手を動かし、言葉を交わしと、「動き」のある中で「数」に触れることで、数学の土台となる「数のセンス」をより身につけることができるでしょう。

子供たちは、五感をフルに活用し、身体全体で周りの物事を理解していきます。「動き」を制限することは、子供たちのこうした「学びの機会」を妨げることにもなり得るのです。


しっかり身体を動かすことは学力アップに繋がります

しっかり動くことで、学力が高まる、という研究も多く発表されています。たとえば、サウス・キャロライナ大学の研究では、算数のテストの10分から20分前に運動をした生徒の方が、しなかった生徒よりもより高いスコアを出したと報告されています。また、220人以上の児童に放課後60分の有酸素運動を毎日9ヶ月間するようにしたところ、集中力と認知能力が増したとされる研究もあります過去60年間に発表された59の研究を調べたところ、身体を動かすことは、子供の学業面の達成や認知力に決定的にポジティブな影響を与えるとも分かっています。


ごそごそと動く方が集中力が高まるタイプの子もいます

昨今、「ADHD傾向」にある子は、動くことで、より集中力が増し、認知能力が高まるといった研究も発表されています。2015年に公表された中央フロリダ大学による研究では、ADHDの診断を受けている子は、立ったり、スピンしたり、ごそごそしたりとより動いた方が、集中力や認知力を必要とするテストの点がより高くなると報告されています。

米国の公立学校には、「より集中力が高まる」として、椅子の代わりに小刻みに動くことのできる「ボール」に座る選択肢が与えられていたり、教室の後ろに小さなトランポリンが設置され、定期的に飛び跳ねることが許されるといった試みを取り入れる学校もあります。

ボールが椅子教室        ボールが椅子として使われる米国アラスカ州の公立小学校の教室。


子供たちの「身体を動かす」機会が減っています

こうして子供の発達にとって「身体を動かす」ことの大切さが報告される中で、昨今、子供の「運動不足」が問題になっています。埼玉県の143人の中学生を対象とした調査では、以下のグラフが示すように、51.7%の生徒に運動不足による何らかの「運動器不全」が見られたと報告されています。
運動器不全

(NPO法人全国ストップ・ザ・ロコモによる調査より)



運動不足の原因としては、テレビゲームの普及や安心して遊ばせることのできる場が減っていること、また、塾や習い事などで子供が外遊びをする時間が減っていることなどが考えられます。では、子供の生活に「身体を動かす」ことを取り入れるために、何ができるでしょうか?


「身体を動かす」ことを生活に取り入れるための工夫例

屋外で走る子

自由に動き回る時間を確保することで、じっとする必要のある場では、落ち着いていることもあるものです。


・スケジュールの優先順位を調整する

子供が自由に動くことのできる時間を少しでも確保できるよう、スケジュールの優先順位を整理してみましょう。動き回る子に「じっとしなさい!」と諭すよりも、しっかりと動く時を持つことで、必要な場では、しっとりと落ち着く場合もあるものです。

食事中お皿を叩く子には、お鍋や空き箱を与え、好きなだけ叩けるようにしてやり、屋内で走り回る子には、公園などで思う存分走ったりよじ登ったりできる機会を作ってやりましょう。

・運動をルーティンにする
学校の運動部やスポーツチームに入るのもいいでしょう。また「身体を動かすことは心身にも脳にもいいのよ」と話し合い、例えば、テレビゲームを30分したら腕立て伏せや縄跳びを5分するなど、ゲームとセットにしてしまうのも方法です。

・「外に飛び出したい!」と思うようなグッズを揃える

「外で動きたい!」というモーティベーションが高まるようなトゥールを揃えるのもいいでしょう。

ランニングバイク。幼児から用いることができ通常の二輪車にスムーズに移行できます。

身体をクネクネさせ動くフリッカー。『Yボリューシュン社』の製品は、遊びと運動を通し子どもたちの健やかな発育を応援する「動育」を基にデザインされています。

 ヘルメットとニーパッドをしっかりつけて ローラースケートもいいですね。

・親子でストレッチ
外出するのが難しい場合でも、家庭内で様々な運動が可能です。ヨガやストレッチ、簡単な有酸素運動など、今はインターネットで検索しても、様々な方法を参考にすることができます。子供と一緒に取り組むことで、子供の発達にとってのメリットになるだけでなく、ママやパパのストレス発散になりますし、親子の絆作りにもなるでしょう。

・休日は家族でアウトドア
休日には、登山やハイキングやサイクリングなど、身体を動かすアクティビティーを計画してみましょう。ママやパパの運動不足解消にももってこいです。


「動く」ことは、学力や成績アップだけでなく、心身の健やかさにも繋がります。日常生活に「動き」を取り入れ、家族皆でリフレッシュしたいですね!
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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