コインランドリーがクラウドとつながる
白物家電メーカーのアクアと日本マイクロソフトが、家電とクラウドを組み合わせた家電IoT(Internet of Things)サービス開発での協業を発表した。2016年9月7日に都内で記者発表会が開催され、アクアからはAQUA日本代表 執行役員 Chief Operating Officerの山口仁史氏、日本マイクロソフトからは代表取締役 社長の平野拓也氏が登壇。今回の協業の狙いと合わせて、取り組みの第一弾となる“AQUA クラウド IT ランドリー(仮称)”を明らかにした。【関連記事】最近よく聞くIoTって何?
山口氏は「新しい顧客体験をいかに作っていくか」という同社の課題において、イノベーション(革新)こそが今後の戦略の柱になるとし、その流れに家電IoTがあると説明。「今回の協業によって生まれるイノベーションを通じて、よりよい便利な商品を消費者に提供していきたい」と考えを語った。
アクアはすでに“AQUA IT ランドリー”として店内の空き状況や洗濯物の仕上がりがわかるといった一部IoT化を進めているが、今回の取り組みではこれをクラウド化するところから始める。そして、そこで得たビッグデータを蓄積・解析することで「声なき隠された潜在ニーズを取り入れ、商品化、サービス化していく」(山口氏)狙いだ。
そのクラウド化のプラットフォームとして採用されるのが、日本マイクロソフトが提供する“Microsoft Azure”。平野氏は今回の協業が「製品やサービスを次のレベルに上げていく」デジタルトランスフォーメーションの象徴的なものになるのでは、と期待を寄せてる。
日本マイクロソフトでは、現在177社とIoTパートナーを結んでいるが、アクアとの協業では、同社が抱えるIoT推進の専門部隊から多くの人員を割くことで「今後IoT家電の分野で大きく市場を切り拓いていきたい」(平野氏)と意欲を見せた。
コインランドリーのIoT化、具体的に何ができるのか?
AQUA IT ランドリーを導入しているコインランドリー店は日本全国で1252店舗あり、約16,000台以上の機器が可動中。今回の取り組みによって、機器の稼働情報、売上情報、故障などのトラブルに関する情報がリアルタイムにクラウド上で蓄積、分析されることになる。将来的には、地図サービス、ソーシャルメディア、電子マネー、他業種ポイントサービスとの連携も視野に入れている。懸念される個人情報については、上記のもの以外には性別など、個人が特定できないテータのみを収集するとのことだ。2017年内のテストマーケティング開始を目標としており、現時点で海外への展開は予定していない。
なお、今回発表されたコインランドリーはあくまで“第一弾”。詳細は未定だが、今後もさまざまな家電のIoT化を推進していくとのことだ。
【関連サイト】
アクア株式会社
日本マイクロソフト株式会社